企業インタビュー

【株式会社プレイド執行役員兼STUDIO ZERO代表 仁科奏氏 Senior Business Architect 伊藤貴彦氏インタビュー】事業家集団が仕掛ける実行伴走型コンサルティング。プレイドの「STUDIO ZERO」が描く企業の変革とは

株式会社プレイド

事業会社での豊富な経験を持つメンバーが集まる株式会社プレイド。その中で「事業開発領域の実行伴走型」コンサルティングを手掛けているのがプレイドの社内起業組織「STUDIO ZERO」部門だ。STUDIO ZEROのメンバーは自らを「コンサルタント」ではなく「ビジネスアーキテクト」と称し、事業のリアルな目線から確実な実行を目指して支援に徹する。
多様なバックグラウンドを持つ彼らだからこそできる「変革」とは何か。大切にしているポリシーや今後の展望も合わせて聞いた。

仁科 奏(にしな・そう)
執行役員兼STUDIO ZERO代表
NTTドコモ、セールスフォース・ドットコムで営業/営業企画などに従事。当社のSaaS事業の営業活動全般をリードし、上場に貢献。その後、PR TableにてCFO/CPOとして全社業績の大幅改善を実現。当社復帰後にSTUDIO ZEROを立ち上げ、現在管掌中。三井物産と共同で立ち上げた株式会社ドットミーの経営アドバイザー。人的資本開示の国際規格「ISO30414リードコンサルタント」。自治体DX外部人材スキル標準「プロデューサー」(CIO補佐官等)。武蔵野美術大学ソーシャルクリエイティブ研究所 連携研究員。早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。

伊藤 貴彦(いとう・たかひこ)
Senior Business Architect
千趣会にてフルフィルメント企画、全社BPRプロジェクト、EC戦略などを担当した後、任天堂との新規事業を立ち上げ。その後、フーディソンの創業初期フェーズに参画。小売事業、BtoB生鮮EC事業、新規事業開発の事業責任者を担い、執行役員としてグロース市場IPOを経験。大手企業での事業推進からベンチャーでの0→1、1→10まで幅広い経験を持つ。

目次

「ART」の精神で変革を仕掛ける組織体制

——株式会社プレイドの事業内容について教えてください。

仁科:CX(顧客体験)のプラットフォーム事業と、戦略設計や事業変革を支援するプロフェッショナルサービスの2軸で事業を展開しています。

CXプラットフォーム事業では、クライアント企業が保有する1st Party Customer Dataなどのデータをもとに、リアルタイムかつユーザーに合わせたアクションをワンストップで提供、多彩な機能を備える「KARTE」シリーズなどのプロダクトを開発。ユーザー解析からカスタマージャーニー設計、サイト改善に至るまで幅広くサポートします。

プロフェッショナルサービス事業では、データをもとに戦略を立案・運用し事業成果創出に至るまで一貫して伴走支援する「PLAID ALPHA」と、事業開発に精通したノウハウを武器に各産業の事業変革を支援する「STUDIO ZERO」の2つを手掛けています。

——仁科さんと伊藤さんのお二人はSTUDIO ZEROに携わっているということで、STUDIO ZEROの目的や存在意義について教えていただけますか?

伊藤: STUDIO ZEROは「産業と社会の変革を加速させる」ことをミッションに掲げ事業を運営しています。そのために大事にしているスタンスが3つあり、頭文字をとって「ART」と呼んでいます。

1つ目は、アウフヘーベン(Aufheben)。例えばAとBという対立する意見を、どちらか一方ではなく両方を活かしてより高次の「C」という新しい解を生み出す考え方です。2つ目は、リスペクト(Respect)。クライアントと我々が対等な立場で互いにリスペクトし合うことです。最後はトラベル(Travel)。 予測可能な未来ではなく、従来では考えられないような変革を一緒に目指すという意味を持ちます。

この「ART」のスタンスこそが、私たちの存在意義です。戦略を描いて終わりではなく、「実行」と「インパクト」に徹底的にこだわります。

——STUDIO ZEROでは「コンサルタント」ではなく「ビジネスアーキテクト」という呼称を使われていますね。

仁科: はい。私たちはクライアント企業のビジネスだけでなく、持続的に成長可能な組織そのものを一緒に「構築(Architecture)する」というスタンスで臨んでいます。そのため「ビジネスアーキテクト」という呼称を使っています。契約書上は外部の人間ですが、「最終意思決定に関わる一員」という当事者意識を持って動かなければ、本当の変革は起こせないと考えているからです。

——組織体制についても教えてください。

仁科:現在は約20名が在籍しています。リーダー陣が5名、メンバーが13名という構成ですね。もっとも、そのうちコンサルティングファーム出身者は1名のみで、組織の大半を事業会社の経験者で構成しています。

これは我々の強みである一方、採用の難しさでもあります。事業経験者の中には、クライアントワークの経験がなくても複数の関係者とコミュニケーションを取りながら「アウフヘーベン」を起こしてきた方もいます。一方で、過去の採用では「自分の論理が一番正しい」と固執してしまう方とのミスマッチもありました。クライアントワークの経験は必須ではありませんが、自分の都合を押し付けず他者の考えをリスペクトできるかは非常に重要です。

一次情報を集め、本質的な課題を探す

——実際のプロジェクトはどのような体制で進めるのでしょうか?

仁科: 現在動いているプロジェクトだと、最小2名体制、最大で6名で担当しています。私たちは1つのクライアントに対して事業開発というテーマに取り組みながら、時には新規事業を練り上げたり、事業開発をできる人材を育成したりしているため、アカウント全体で見ると人数が多くなる傾向があります。ただし、1人のメンバーが深く顧客にインパクトを提供するために、1人あたりの同時アサインは最大2案件を上限としています。

——「ビジネスアーキテクト」の具体的な仕事内容について教えてください。

伊藤: 私が実際に支援している例で言うと、ある大手企業様の「データビジネス領域で新規事業を作りたい」という案件を担当しています。新規事業のテーマはあるものの、レッドオーシャンであり、先行プレーヤーもまだ大きな成功を収めていない領域で、「どの課題をどう解くか」から一緒に作り上げるフェーズです。まず徹底したのは一次情報の収集です。私たちが中心となり、1ヵ月で50〜60人のターゲット従業者にインタビューを実施しました。「そこまでやるのか」と驚かれましたが、この一次情報の徹底的な深掘りを基に、毎週クライアントと「解くべき課題は何か」の議論を重ねます。こうした地道な業務を含め、クライアント企業やその組織、人と徹底的に向き合う仕事が多いですね。

——答えを提示するのではなく、一緒に議論するのですね。

伊藤: はい、クライアントも私たちに答えを求めているわけではありません。ファクトに対して「我々はこう解釈したが、どう思うか」と問いかけ、本気で議論を重ねます。新規事業の開発支援を例にしてお話しましたが、既存事業の変革支援においても同様です。クライアントは事業戦略に課題があると思っていたが、議論を繰り返して課題を紐解いていくと、本質的な課題は「組織構造」や「意思決定プロセス」だった、というケースも少なくありません。

——当初の依頼内容と違っても、本質的な課題を指摘するのですか?

伊藤: もちろんです。通常のコンサルティング会社なら「それは契約範囲外です」と言うかもしれませんが、私たちは「本当にインパクトを出すなら、先にこっちをやるべきです」と臆せず伝えます。それが私たちのスタンスである「リスペクト」であり「アウフヘーベン」の実践です。

豊富な事業経験とSTUDIO ZEROジョインのきっかけ

——お二人のこれまでのご経歴と、STUDIO ZEROにジョインされた経緯について教えてください。

仁科: もともとのキャリアの原点は、20歳頃にぼんやりと抱いた「50歳で自己効力感を高めるインフラを作りたい」という夢でした。そこでまずはインフラを学ぼうと、新卒でNTTドコモに入社。しかし次第に営業力を学ぶことこそがインフラづくりには重要だと分かり、NTTドコモでは企画メインで営業を学べないために退職しました。

その後、「営業を科学できる」というキーワードだけを頼りに、セールスフォース・ドットコムの代表電話に連絡して転職。カスタマーサクセス部門で経験を積む中で、当時はまだ珍しかったSaaS事業の可能性を感じ、縁あって当時まだ上場前だったプレイドにジョインしました。ただ、入社当初はスタートアップに対する認識が不足していたこともあり、マネジメントやバリュエーションで失敗も経験し、体系的に経営を学ぶため早稲田大学のMBAに通いました。スキルを学んだ後、実践経験を積むため一度プレイドを退職。シリーズBのスタートアップ企業でCFO兼CPOとして資金調達やプロダクト開発を経験しました。

——そこから、どのようにSTUDIO ZEROの立ち上げに携わることになったのでしょうか?

仁科: 前職から卒業したタイミングで、プレイドの創業者の倉橋と再会したんです。当時プレイドは上場直後だったのですが、彼と話していく中で、「プレイド=マーケターの課題解決」という企業イメージが強すぎることに課題感を持っていることが分かりました。

プレイドには「PLAY&AID(プレイアンドエイド=何かに全力でのめり込むことや自身の能力を発揮すること、何より楽しむことを大切に、事業を通じてそれらを積極的に支援したい)」という創業時からの価値観があります。その原点に立ち返り、「もっと経営層に入り込み、事業や組織全体の変革を支援する存在になりたい」という相談を受け、アドバイザー的に関わり始めました。その後、2021年にプレイドへ戻り、STUDIO ZEROを立ち上げたのです。

——次に伊藤さんのご経歴について教えてください。

私は現職が3社目です。新卒で入社した千趣会ではフルフィルメント企画、全社BPRプロジェクトやEC戦略立案、任天堂との新規事業の立ち上げなどを経験しました。

しかし、楽天やAmazonなどのEC企業が急速に新たな価値を世の中に生み出していく中、自身もよりスピード感のある環境で変革を起こしていきたいと思い、スタートアップへ転職しました。

——2社目は水産業界のスタートアップだったそうですね。

伊藤: はい、フーディソンという会社です。元々、一次産業や伝統工芸に対して日本ならではの良さを消費者として感じつつも、業界としては衰退している状況に危機感を感じていたので、これらの領域で変革を起こしたいという想いに至りました。その中で、水産流通に変革を起こそうとしていたフーディソンに創業初期フェーズからジョインし、新しい生鮮流通の構築、新規事業の立ち上げ、資金調達、コロナ禍、そしてグロース市場IPO…と、スタートアップの荒波を経験しました。

執行役員として事業を推進する中で、入社から10年が経ち、私自身も40歳の節目を迎えたタイミングで、また一から新たな挑戦をしたい自分に気づきました。そんな折に仁科と出会いました。事業会社の社内起業組織、コンサル事業を展開しながら「事業家集団」を標榜するユニークさ、さまざまな業界の第一線で活躍してきたメンバーが集う異質性に魅力を感じたことを覚えています。「なんだこの組織は?」と思いつつ直感的に「面白そう」と感じ、実際に仁科と話をしてみると、その圧倒的な熱量とワクワク感に心を動かされ、すぐに入社を決めました。

求めるのは「R→A→T」の交差体験と「素直さ」

——STUDIO ZEROで活躍できるのは、どのようなスキルやマインドを持った方でしょうか?

仁科: 私たちのスタンス「ART」の視点を、業務レベルで理解・実践できる方が向いています。実はこの「ART」には流れがあり、まず「R(リスペクト)」から始まります。クライアントの組織や文化、時には「なぜ彼らはできないのか」という構造的課題にまでリスペクトを持つ。その上で構造を整理し、こちらがリスペクトされる存在になる対等な関係ができて、初めて「A(アウフヘーベン)」という意見の交差が起きるのです。その結果として「T(トラベル)」という未踏の地への挑戦が可能になります。

この「R→A→T」のプロセスを、事業開発やアライアンス交渉など、立場は問わず物事を前に進めた経験がある方は、親和性が高いでしょう。

伊藤: 「素直さ」も必要ですね。私は入社当時、事業会社での経験に自信を持っていましたが、ここでの業務の向き合い方はまったく異なっていたのです。経験豊富な方ほど、過去の成功体験が邪魔をすることがあります。成功体験を一度忘れ、新たな手法と素直に向き合えるか。この考え方ができないと、リスペクトのスタートラインすら立てないかもしれません。

——事業会社で経験を積んだ方が、STUDIO ZEROに挑戦する魅力は何だと思いますか。

伊藤:私が感じる魅力が2つあります。1つは打席の数が圧倒的に多く、かつ深いことです。事業会社にいれば1つの事業に深く関わることはできても、同時並行でさまざまな業界の変革プロジェクトを実行するのは困難です。これを実現できるのがSTUDIO ZEROの魅力であり、仕事の面白さですね。

2つ目は、スタートアップと大企業の「いいとこ取り」ができることです。スタートアップのスピード感で仮説検証を回しつつ、大企業が持つ圧倒的なアセットやリソースを掛け算して、ダイナミックな変革を仕掛けられる。私はこれを「スタートアップ筋と大企業筋」と呼んでいますが、この両方を同時に鍛えられて、インパクトを生み出していける環境は最大の魅力だと思います。

——働き方についても伺えますか?プレイドは、銀座にオフィスを構えていますが、出社とリモートのバランスはどうでしょうか。

仁科: 週3日程度の出社を推奨していますが、クライアント先への訪問も多いため、オフィスにずっといるわけではありません。唯一全員が対面で集まるのは毎週月曜の朝会くらいですね。

また育児中のメンバーも多く、送り迎えなども柔軟に対応できる環境です。プロフェッショナルとして自律しつつ、柔軟に働ける環境だと思います。

変革を通じて、社会に自己効力感を伝播させたい

——最後にSTUDIO ZEROとして、また個人として、今後どのようなことを実現していきたいですか?

仁科: STUDIO ZEROとしては、クライアントを巻き込んだ新たな変革の事例をつくり続けたいです。その事例をアカデミックな領域とも連携しながらノウハウとして発信し、「自分たちにもできるかもしれない」という自己効力感を社会に広げたい。それが私の個人的なミッションでもあります。

——グループ全体として、STUDIO ZEROはどのような役割だと考えていますか?

仁科:STUDIO ZEROが経営層の変革を後押しする一方、プレイドのプロダクトやテクノロジーなどのアセットを駆使した改革も促し、PLAID ALPHAがCXやDXコンサルティングとしてこれらを結び付ける…。こうした三位一体で変革を支援するパートナーであり続けたいですね。

——伊藤さんはどのような役割を担いたいと思いますか?

伊藤: 私は、個人の言葉で言うと「アニマルスピリット」を増やしたいと思っています。経済学者ジョン・メイナード・ケインズの言葉で、「不確実な状況でも未来を信じて行動する意欲」といった意味です。変化が激しく先の読めない時代だからこそ、今後は大企業においても、ひいては日本全体としても「不安もあるがやってみよう!」という挑戦的な意欲が重要だと考えています。

クライアントとともに、私たちが率先して未踏の領域に飛び込み、クライアントの情熱に着火する。そして、「アニマルスピリット」を今度はクライアント自身が社内に伝播させていく。そのようなワクワクする瞬間を、STUDIO ZEROを通じて一つでも多く生み出したいと考えています。その先にこそ、私たちのミッションである「産業と社会の変革を加速させる」が実現していくのだと思っています。


【インタビュー後記】

STUDIO ZERO のポリシー「ART」に深く共感しました。これは単なる戦略提言ではなく、Aufheben(思考の昇華)をしながらクライアントの構造的課題と企業文化 にリスペクト を持ち、解くべき課題の本質を見極め、実行を通じて変革を加速させるビジネスアーキテクト集団の実態がインタビューで明確になりました。

特に、事業家としての視点 を持ち、内部と外部の立場でクライアントと膝を突き合わせる スタイルは、「絵に描いた餅」で終わらない 実効性の高いプロジェクトを推進されています。また企業と個人の自己効力感を高めたいという熱意や、不確実な時代にアニマルスピリット を増やすという強いビジョンは、日本の産業と社会の変化を牽引していきたいという方にとって申し分のない環境だと感じました。

コンサルネクスト・シニアコンサルタント
塚田真仁

株式会社プレイド 企業情報

所在地〒104-0061 東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 10F
資本金3,091,157千円(2024年9月時点)
代表者倉橋 健太
事業内容CXプラットフォーム「KARTE」等のSaaSの開発、提供及びプロフェッショナルサービスによる企業や組織、自治体等のDX支援

株式会社プレイド 求人情報

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