テクノロジーの進化に伴い、ITと業務が密着に連携するようになった現在。多くの企業がDXに取り組むものの、推進プロジェクトが迷走するケースは少なくない。そんな中、顧客のDXを確実にゴールへと導く手助けをするのが株式会社クオンティアだ。
ITと戦略策定の両輪で実効性ある解決策を導き出す同社は、今後どのようなビジョンを描くのか。コンサルタントという役割に対する思いと社員への願い、今後の展望について、代表取締役の吉沢耕太氏とシニアコンサルタントの林源氏に聞いた。
吉沢 耕太(よしざわ・こうた)
慶応義塾大学卒。新卒で製販一体型のSIerでセールス兼エンジニアとして従事した後、アビームコンサルティングにコンサルタントとして転職。製造業や小売業、商社の顧客を支援した経験を経て、AIスタートアップへセールス・デリバリーの責任者として参画した。同社が上場企業に買収されたことをきっかけにクオンティアを創業し、代表取締役に就任。その傍ら、他ベンチャーの共同創業(1年で70名規模まで拡大)や社外取締役など、0→1や1→10フェーズを中心に幅広い経験を有する。
林 源(はやし・げん)
慶応義塾大学卒。新卒でデロイトトーマツに入社し、官公庁や地方自治体のデジタル関連プロジェクトを手掛けるパブリックセクター・デジタル戦略室に所属。スマートシティをテーマにデジタル関連の新規事業の立ち上げ、実証実験、実装支援に従事したうえ、自社独自のアプリ開発案件にも携わった経験も有する。その後吉沢氏からクオンティアへの誘いを受け、転職。現在はクオンティアでシニアコンサルタントとして従事している。
真に成果を創出するDX化に向けて支援
——クオンティアの事業内容を教えてください。
デジタル基盤の活用を前提とした事業戦略の策定からITシステムの実装までを一気通貫で支援しています。DX化を成功させるにはITと戦略を組み合わせ、双方が有機的に機能することが求められます。そこで当社は、実効性のある戦略策定と戦略遂行に不可欠なITシステムを組み合わせることで、DXを通じた成果創出を担えるよう注力しています。
そのほか、ITベンダーやSIer向けの新規事業開発も支援しています。こうした企業の中には製品やサービスを提供するだけではなく、自社に蓄積する知見を活かしたコンサルティングを新事業として視野に入れる企業が増えています。多くの企業が新規事業開発で迷走する中、当社の新規事業開発のノウハウを使って新たな事業の柱を築けるようにするのが当社の役割だと考えます。
——メンバー構成やプロジェクト体制について教えてください。
20代後半~30代前半がボリュームゾーンで、大手コンサルティングファーム出身者や、事業会社の経営企画出身者、エンジニア出身者など多様なバックグラウンドのメンバーが集まっています。
プロジェクトは2~3名体制で担当するのが一般的です。マネジャークラスが最前線に立ってプロジェクトを進めることが多いです。顧客とともに新規事業開発に踏み込むことが多いため、顧客先で勤務をすることも少なくありません。しかし最近は顧客と従業員の状況を考慮し、リモートワークの頻度を増やすなど柔軟に働ける環境づくりにも注力しています。
——大企業や中小、ベンチャーなど、どういった顧客が多いのでしょうか。
大企業の顧客が中心です。プロジェクトの規模は大小さまざまで、相対するカウンターパートも状況に応じて異なります。一般的なプロジェクトの規模なら部長クラスが多く、全社で取り組む大規模プロジェクトなら現場の方とも相対することが多い印象です。
支援する期間は3ヵ月から年単位に至るまでさまざまです。当社の支援はシステム開発や事業戦略を立てて終了するわけではなく、支援を通して顧客のありたい姿に近づけることがゴールです。常にゴールを見据えた戦略や施策を打ち出し、部分最適な支援でとどまらないようにするのが当社の役割です。目先の課題だけにとらわれず、ゴールまでのアプローチを模索し続けることこそ重要だと考えます。
経験よりも、コンサルタントとしての素養や自分の役割に責任を持てる人を迎え入れたい
——御社は現在、採用を強化していると聞きました。どのような人材を求めていますか。
コンサルタントとしての経験は必ずしも重視しません。素質があり、将来のビジョンが明確な人材を求めています。具体的には、ビジョン実現に向けて努力する強い成長意欲を持っている方が適していると言えます。
もっとも、人間性も重要なポイントです。コンサルタントは顧客の状況に応じて、時には苦言を呈さなければなりません。単にコンサルタントとしての技術が求められるのではなく、顧客が聞き入れるような人柄や関係性の構築も欠かせないのです。自分の立場や考えより、顧客の状況を優先しようとする姿勢を示せない人に当社の業務は務まりません。コンサルタントとしても不向きなのではないでしょうか。
——御社ではこれまで、どのような方が入社されているのでしょうか。
コンサルタント経験者をはじめ、システム開発や営業、経営企画などの業務に関わった経験者が入社しています。コンサルタント未経験でも、営業一筋ではなく営業経験後に経営企画を手掛けるといったように、いくつかの事業領域で研鑽を積んだ人が活躍しています。
コンサルタントは素質が求められがちですが、粘り強く顧客と向き合う精神力も不可欠です。そういった側面から考えると、地道に努力を継続できる根性のある人が自然と当社に集っていると感じます。
——実際に働かれているシニアコンサルタントの林さんにもお聞きします。どのような人材を求めていますか。
行き詰まって成果が出ず、逃げ出したくなるような局面を迎えたときでも、自分の役割と向き合い続けられる方を求めています。
私自身、コンサルタントとして辛酸をなめるような経験も何度かしてきましたが、苦しい状況の中でこそ真の人間性が垣間見えるのではと思っています。
チームが苦しい状況に置かれたとき、勇気を出して火中の栗を拾いに行き、解決の糸口を見つけようとする人がプロジェクトを救う場面を何度も見てきました。そういった逆境の中でも周囲に気を配り、自分の役割を再認識しながら立ちはだかる課題と向き合えるような人とともに切磋琢磨してともに成長できればと思います。
信頼できる仲間を迎え、クオンティアがついに始動
——吉沢さんのこれまでのご経歴を教えてください。
慶応義塾大学で統計学を学んだ経験から、データを使って仮説を導く楽しさに気付き、マーケティング領域の道に進むことを志しました。卒業後は製販一体型のSIerに入社。顧客への提案からシステムの納品まで携わり、システムエンジニアだけでなくPMとしてのスキルも含めて数多くのことを学びました。
その後はアビームコンサルティングに転職し、製造業や小売業の顧客を支援するコンサルタントとして従事していました。しかし時が経つにつれ、学生の頃から抱いていた起業という夢について、解像度を上げたい思いが募り始めます。そこでAI領域に強みを持つスタートアップ企業に転職することにしました。
スタートアップ企業では起業に向けて、実際に肌で触れながら必要な要素を学ぶ機会をいただきました。1年半ほど経ったころ、その会社が上場企業に吸収されたのをきっかけに、クオンティアを創業。人を採用できるフェーズまで至ったころ、1人目の社員として林さんをスカウトしました。
——学生の頃から起業を志していたのですが、何かきっかけがあったのでしょうか。
以前からぼんやりと自分の会社を持ちたいという想いはありました。起業しようと決意したのは、大学時代のサークルの先輩である古賀大貴さんに起業に誘われたことがきっかけです。当時はタイミングが合わずジョインは叶いませんでしたが、アメリカで日本のイチゴを生産する「Oishii Farm」という企業を立ち上げて国内外で注目されている姿を見て、夢の輪郭がより明確になったように感じたのです。
——林さんを1人目の社員としてスカウトされたとのことですが、林さんはお話をもらった際にどう感じましたか。
私ももともと将来的に起業を志していたため、ゼロから会社を立ち上げるフェーズを経験したいと思い、承諾しました。私も吉沢と同じ慶応義塾大学出身で、卒業後はデロイトトーマツに入社し、官公庁向けのコンサルティングを手掛けていました。ただしデロイトトーマツは成熟した大企業で、起業を見据えて学べることは少ないのではないかという思いを抱き始めました。そのタイミングでスカウトのお話をいただいたためまったく迷いはありませんでした。
——林さんは新卒でデロイトトーマツに入社されたとのことですが、なぜコンサルタントを志したのでしょうか。
大学時代の留学経験をもとに、ビジネスパーソンとして能力を開発するにはコンサルタントという職がもっとも適していると考えたためです。大学時代にバスケットボール部のマネジャーを担った経験から、自分の性に合っているのではないかとも思っていました。
バスケットボール部のマネジャー時代は、組織運営のコンサル本を片手にチーム運営や日々のマネジメントに取り組んでいました。こうした経験から、コンサルタントもマネジャーに似た部分があると考えるようになりました。
もちろん実際に試合に挑むプレイヤーがいなければチームの目標達成は成しえませんが、マネジャーもプレイヤーと同じ目線で勝利を追い求めることで、目標に大きく近づけることを体感しました。将来的にはマネジャーのような立ち位置で、プレイヤーである顧客を支援したいと考え、コンサルタントを志すようになりました。
クオンティアから起業家を輩出できるような土壌をつくりたい
——再び吉沢さんにお聞きします。社名の「クオンティア」に込めた思いや由来があれば教えてください。
久しく遠いと書く「久遠」に、未開拓の領域「フロンティア」へ挑戦したいという意思を込めて名づけました。永遠に挑戦し続ける姿勢を忘れず、事業を前に進めていきたいという思いが込められています。
——吉沢さんから見て、クオンティアの社員の働き方はどのように映っていますか。
少数精鋭のブティック系ファームの中でも、専門家というよりはジェネラリストで、また胆力があり、活発で人から愛されるキャラクターの人が揃っているという印象を受けます。大手の看板に頼ることができないブティック系ファームだからこそ、コンサルタントとしての手腕が問われます。当社では経験や知見を重視するのではなく、地頭の良さやコミュニケーション力の高さ、人間性やビジョンを重視して採用し、入社後は読む・聞く・話すといったコンサルタントに求められる基礎的な素養である「素手力」が身につくよう育成しています。この採用・育成方針により、まったく知らない領域でも臆さず対峙できる人が当社に集まったのではと感じます。
将来的に当社の社員には、コンサルタントとして役目を終えるのではなく、事業責任者などの自分が責任を負う役割になってほしいと願っています。コンサルティングが価値のある仕事であることは言うまでもありませんが、顧客の成功をサポートするという立場から外れることはありません。当社での経験や知見を積んだ人が新たな事業を創造し、価値を生み出すことで国の発展につながると信じています。だからこそコンサルタントで役目を終えないようなキャリアを描いてほしいと願っています。
——クオンティアという会社を今後、どのように成長させていきたいと考えますか。
現在のビジネスモデルを拡充するほか、当社の知見をプロダクトやソリューションとして顧客に提供する新たな事業も視野に入れています。当社から起業家が生まれるような土壌をつくっていくことも、代表である私の役割であると考えます。
マッキンゼーやリクルートなどの多くの卒業生が経営者として大成している企業は、こうした人材の動向が自社のブランディングにも寄与していると思います。当社も国内外を問わず戦える会社に成長し、多数の経営者を輩出できるように挑戦し続けていきます。
——クオンティアで実際に働く林さんの、将来のビジョンを教えてください。
成長段階のクオンティアで働く中で、人を巻き込んで会社を大きくしていく過程や日々変化する課題への立ち向かい方などを起業家の視点で学ぶことができました。コンサルタントの仕事は、正解のない問いに対して仮説を立てて検証しながら進めるというものですが、この姿勢はまさに自ら事業を成長させるときに求められるものではと考えています。クオンティアの成長フェーズから携わることで起業家としての目線を醸成できると考えます。
代表が持つ「将来的にクオンティアから起業家が輩出される環境にしたい」という願いは、私も同じです。将来的に自分の会社を立ち上げるとき、「自分はクオンティア出身なんだ!」と誇りをもって言いたいと思いますし、当社で働く社員がこう感じてくれれば、これ以上に嬉しいことはありません。今はまずクオンティアのメンバー全員で挑戦と成長を続け、価値のある時間を過ごしたいと考えています。
株式会社クオンティア 企業情報
会社名 | 株式会社クオンティア Quontier, Inc. |
資本金 | 2,000万円 |
設立 | 2022年3月14日 |
代表 | 吉沢 耕太 |
社員数 | 20名(契約社員・業務委託含む) |
取引銀行 | 三井住友銀行 他 |
事業内容 | ・戦略コンサルティング ・IT・業務コンサルティング ・DXコンサルティング |
本社所在地 | 東京都港区南青山3-3-3 |