製造業の海外進出を支援する案件を数多く手掛けるHopejets Consulting Japan株式会社。海外に住む約300名のコンサルタントと連携し、顧客の要望に叶うコンサルタントをアサインできる強みを打ち出す。国内市場の縮小を見据えて海外に打って出る企業が増える中、顧客の国際競争力強化に向けた事業戦略や業務改革の支援に余念がない。今後アメリカ、東南アジア、シンガポール、欧州にオフィスを設立し、更にグローバルを強化する予定だ。
海外展開を加速させたい顧客に対し、どのような未来を提案するのか。Hopejets Consulting Japanとしてどのようなビジネスプランを描くのか。さらには、どんな仲間と一緒に会社を成長させたいと考えているのか。顧客や自社への思いと、仲間として一緒に働いてほしい人物像について、代表取締役 CEO 李時豪氏と、最高財務責任者 板倉翔一氏に話を聞いた。
李 時豪(Adel Li)
HEC経営大学院(HEC Paris)修士卒。日立製作所にて機械エンジニアを経験後、Accenture、Capgiminiでビジネスコンサルタント、セールスとしての経験を積み、製造・エネルギー・IT業界を中心に戦略構想策定からハンズオン型の実行支援まで広範なテーマに多数従事する。特に海外進出戦略、新規事業戦略、グローバルM&A PMI支援に強みを持つ。中国、ヨーロッパ、東南アジアなどにおけるグローバル知見やネットワークが豊富。2021年、香港でHopejetsグループを創業。企業のグローバルビジネスモデル、グローバル成長に独自な見解を活かして、日本の製造業のモノづくりに関する専門メディア等で記事を執筆した経験がある。
300名のコンサルタントと企業をマッチングするサービスを強みに顧客の海外展開を支援
——Hopejets Consulting Japanの事業内容を教えてください。
当社は主に、業界を問わずグローバル案件が中心で、海外の生産拠点や営業拠点設立、現地採用を前提とした業務の設計、現地法人とのM&A実現など、日本国内にとどまらないコンサルティング案件に多数携わっています。
また、最近は日本に営業拠点を構えようとする海外製造業、IT企業が増えています。日本で新規事業を立ち上げたいと考える海外企業も目立ちます。日系企業に限らず、海外展開を加速したい企業に伴奏支援するのが当社の役割だと考えます。
こうした海外志向の強い企業の大半が、グローバル化を前提とした組織やシステムの構築を推進しています。現地採用した人材をグローバルでどう管理すべきか、世界中に散在する拠点のガバナンスをどう強化すべきかなど、グローバル企業として成長するための土台を築こうとする企業が目立ちます。そこで当社は、多数の海外プロジェクトを成功に導いた実績を武器に、顧客のグローバル化をより加速させる支援策を打ち出せるようにしています。
——グローバル化を進める顧客に対し、具体的にどのような支援を手掛けているのでしょうか。
海外を視野に入れる企業に話を聞くと、「そもそも何から着手すべきか分からない」「コンサルティングファームに依頼するほどの規模ではなく、十分な予算もない」「現地に精通する人材を採用できず、現地に拠点を構えるのは難しい」などの声が少なくありません。そこで当社は、一般的な現地調査やマーケティング、競合分析はもとより、その国や地域、さらにはその町で暮らす消費者の特性も含めて徹底的に調べ、顧客を取り巻く状況を可視化します。顧客にとって想定されるリスクを洗い出し、それらを解消する何通りもの手段や施策を提案できるようにしています。その一方で、1ヵ月という短期間で現状の業務を分析して課題を洗い出す簡易コンサルティングサービス「Quick Win」も用意します。例えばPLMシステムを本格導入する前の課題を整理したり、営業拠点を構える前の現地調査を短期間で実施したりするなどの用途で使われています。
グローバル化を前提とした基幹システムの設計や開発を支援することも珍しくありません。国内向けにオンプレミスで構築していたERPやSCMシステムをクラウド化し、世界中の製造情報や顧客情報を一元化できるようにするといった案件もあります。ITシステムのグランドデザインを描き直し、基幹システムをどのように刷新すべきかの計画立案から携わることもあります。上流の設計から下流の運用、定着化まで、あらゆるフェーズを支援しています。
そのほか、現地の消費者を想定した営業プロセスを検討したり、一時的に人材が不足するときに必要なリソースを補完したりすることもあります。売り上げが低迷する海外の営業拠点向けに、目標や課題を再設定したりワークショップを開催したりし、現実的な施策を導き出すことも多いです。
——さまざまな事業領域のグローバル案件を成功に導く秘訣はどこにあると考えますか。
当社は世界中のコンサルタントと連携し、適切な経歴やスキルを持った人材を案件にアサインできる仕組みを構築しています。それが「InsightWing」です。「エキスパート」と呼ぶ約300名のコンサルタントと、特定分野の知見やノウハウを持った人材を求める企業をマッチングするサービスで、企業のニーズに応じたエキスパートを案内できるのが特徴です。エキスパートの経歴は、R&D研究者やMBAを取得した学生、コンサルティングファーム出身者、事業部門の責任者などさまざまです。大半のエキスパートが海外に在住しているため、海外展開を検討する企業にとっては現地の文化や商習慣に精通するコンサルタントと手を組み、事業推進や課題解決に乗り出すことが可能です。
日本に限ると、専門的な技術を持つ人材やデータを経営に活かせる人材などが総じて不足しています。グローバルな視点で海外展開を加速させられる経営者も少ないのではないでしょうか。「InsightWing」を利用すれば、必要な知見やノウハウ、アイデアを持つ人材を部分的に取り入れることが可能です。人材不足が常態化する日本企業こそ、「InsightWing」が強く求められていると感じます。
経験やスキルより、謙虚で素直な姿勢で顧客に寄り添える人を仲間に迎え入れたい
——御社は現在、採用を強化していると聞きました。どのような人材を求めていますか。
当社では、会社とともに成長したいと考える仲間を募集しています。具体的には、グローバルマインドセットがあって、顧客のグローバル経営課題解決を支援したい人や、当社の事業全般を支えてくれるリーダーになりたいという志の高い人です。
当社が求める人材で何より重視するのは、謙虚さであり素直さです。他社の場合、これまでの実績やスキルが求められがちです。これらは確かに大切ですが、当社ではそれよりも謙虚さや素直さといった姿勢を重視しています。
コンサルタントは顧客の状況に応じ、さまざまなことを提言します。時には顧客を指導する立場として、顧客の経営体質や事業戦略を否定することもあります。このような状況下では、自身の主張を押し通そうと顧客の提案や意向を跳ね除けてしまうコンサルタントも珍しくありません。しかし、顧客の声に耳を傾けず、自分の意見を強引に推し進めるような人を当社は求めていません。
当社のコンサルタントに求めるのは、顧客の意見を受け入れる姿勢です。自分の意見だけを信じてプロジェクトを着地させようと考える人は、当社には向いていません。顧客と同じ目線で課題と向き合えるか、顧客と対等な関係で意見を言い合えるか。こうした関係を顧客と築けなければ、顧客に寄り添った提案をできませんし、プロジェクトを成功に導くことももちろんできません。
例えば、顧客先の担当者が業務に精通していない新人なら、その人の目線に合わせて会話すべきです。専門用語を並べず、担当者でも理解できる言葉を使ってコミュニケーションを図るべきです。相手が経営者や現場の担当者でも同様です。常に相手に配慮し、相手の意見を尊重する謙虚さ、相手の考え方を許容する素直さが当社のコンサルタントには不可欠です。
このとき大切なのは、担当者がなぜそのような考え方に至ったのか、なぜそのような意見を主張するようになったのかを探ることです。意見の裏側に潜むストーリーを模索することで、相手の主張からだけでは読み取れない真意に気付き、本質に沿った解決策を導出できるようになります。ストーリーを描けるまで会話のキャッチボールを続けられる人こそ、当社のコンサルタントとして活躍できるのではと考えます。
グローバル案件では、日本ならではの考え方が通用しないことは珍しくありません。現地ならではの考え方や、企業独自の文化が根付いた顧客もいます。そこには確固たる正解も不正解も存在しません。こうした中でも課題の解決策をどのように導き出すか。この答えの1つとなるのが、過去の実績や経験ではなく謙虚さや素直さなのです。
——グローバル案件の多い御社では、語学力が採用基準の1つになるのではないでしょうか。
確かに語学に精通しているかどうかは、採用の可否を判断する重要指標の1つです。しかし当社では、語学が不得手な人でももちろん歓迎します。たとえ共通言語でコミュニケーションを図れなくても、相手のニュアンスを読み取ったり、体全体で意思を伝えたりすることは可能だと考えます。相手の言いたいことを本気で読み取ろうとする姿勢や、どのような手段を使っても自分の考えを伝える心構えこそ求められると思います。
当社が取り扱うグローバル案件の中には、日本語を一切使わないものも少なくありません。たとえ語学が苦手でも、こうした案件に関わることに喜びを感じられる人に入社していただければと思います。
なお、コミュニケーションスキルは顧客との関係構築の手段になるだけではなく、当社のエキスパートを統括するためにも必要なスキルです。スキルをさらに磨き、「このプロジェクトはトラブルが起きるかも」「このまま進めればミスが起きるかも」といったリスクに敏感になってもらえると、コンサルタントとしてより成長できるのではないかと考えます。
——御社に応募する人の性格や人柄、成長意欲などといった潜在的な能力を重視しているのでしょうか。
豊富な実績や経歴、海外展開をドライブさせるためのスキルを備えた人材にも来ていただきたいと考えています。しかし一方、会社として「グローバル案件に是非関わりたい」などの強い意欲を持つ人の挑戦を支えたいという思いもあります。当社では先輩コンサルタントの下、コンサルティングの基礎を学ぶ環境を整えています。マネジメントスキルや提案力、データ分析スキルなどを学ぶトレーニングプログラムを用意し、社員が学びたいスキルの習得を支援する研修制度も設けます。コンサルタント未経験の人や経験の浅い人でも、意欲さえあれば成果や結果を積み上げることは十分可能です。何より大切なのは挑戦する意欲、自主性、積極性、さらには起業家精神です。
当社は創業して間もない企業です。今入社すれば創業メンバーの役員候補として、会社が成長するのを見届けることもできます。今後は海外拠点を増やし、希望すればその支店長を任せることもあります。「世界を舞台に活躍できる」という夢を実現できる会社がHopejets Consulting Japanなのです。
各自の裁量を最大限尊重し、場所や時間を制約しない働き方を推奨
——李さんのこれまでのご経歴と、創業に至った経緯を教えてください。
中国生まれの私は、大学を卒業して最初の企業に就職するまでの25年間を中国で過ごしてきました。大学卒業後に入社したのは日系企業で、日本の製造ノウハウや技術に触れる機会を得ることができました。その後、日本に留学したのを機に日本で転職。日立製作所でエンジニアとしての経験を積みつつ、日本企業の強みである技術力や開発に取り組む姿勢などを数多く学びました。
その後はフランスに渡り、現地のコンサルティングファームに転職しました。若い頃から経営に携わりたいと考え、実現するには企業の現状を目の当たりにできるコンサルティング業界に飛び込むべきと考えたのです。
転職したコンサルティングファームは小規模だったこともあり、入社1年目にも関わらず自ら営業して案件を受注するような経験を積めました。主な顧客は日本企業で、ITシステムの導入や製造業の現場改革、設計や開発部門の業務改革などの案件に携わらせていただきました。
その後はフランスの大学院でMBA(経営学修士)を取得したものの、新型コロナウイルス感染症の影響で日本に戻り、日本で新たな職を探すことにしました。フランスに戻ることも考えましたが、日本や中国の案件で結果を残したい思いが強く、日本を拠点にコンサルタントの道を模索することにしました。
そのような中、グローバル案件に精通するコンサルタントとして、アクセンチュアからスカウトされました。私が携わりたいと思っていた案件に関われると知り、アクセンチュアに入社してグローバル案件を担当するようになりました。新たに立ち上げた部署に配属されたこともあり、ITシステムの提案からM&Aの調査や交渉などのさまざまな案件を担当しました。
一方で、コンサルタントとして働けば働くほど、「コンサルティングでは特定の業種や業務しか支援できない」という思いを抱くようになりました。日本企業を支援する中で、「日本企業は海外進出に打って出なければ乗り遅れる」という危機感も募り始めます。そのような考えが膨らむ中、「必要な人材をマッチングする仕組みを駆使すれば、より多くの企業を支援できる」と思い、現在の「InsightWing」の原型となるサービスを着想しました。自分の手で企業のグローバルビジネスを成長させたいという思いがさらに強まったこともあり、起業に踏み切りました。2021年1月に香港で創業し、1年後の2022年1月に東京で日本法人を設立しました。
——社名の「Hopejets Consulting」に込めた思いや由来があれば教えてください。
私がもともと飛行機好きで、飛行機同様に素早い推進力を得たいという思いを込めて「jets」を使いました。「Hope」は顧客の思いを汲み取る企業であることを表しています。さらに、自社の希望、日本や世界の希望を繋げたいという思いも込めています。顧客が望むことをスピード感を持って実現したいという意味が社名には込められています。
——板倉さんはどのような経緯でHopejets Consulting Japanに参画したのでしょうか。
李からSNSのコミュニティー経由で連絡をもらったのがきっかけで、コンサルティング業界や会社の財務などの話をするうちに意気投合して事業をサポートするようになりました。私が参画する以前は社内に財務的な視点が不足していたこともあり、現在はCFO(最高財務責任者)としてファイナンス戦略の施策立案などを手掛けています。
私は大学卒業後、日立工機でグローバルの経理や財務を担当し、販売会社のCFOとして従事しました。その後、アクセンチュアに転職し、M&AやPMI支援、マネジメント教育などの分野でコンサルタントとしての経験を積み始めます。その後、日系の投資会社にヘッドハンティングされ、ソーシングや投資実行業務、さらにはハンズオンという形で投資先の事業拡大に寄与してきました。その後独立し、投資家として金融業界に投資しつつ、大手企業の新規事業支援やスタートアップ企業のIPO支援、営業戦略立案などに従事しています。
——板倉さんから見て、Hopejets Consulting Japanのスタッフの働き方はどのように映っていますか。
各スタッフに幅広い裁量を持たせているのが特徴です。当社では、上司や先輩がマイクロマネジメントすることはありません。スタッフの行動を過干渉することもありません。各自が時間を管理し、自身の裁量に基づいて働けるのが大きな特徴であり強みでもあります。ただし、入社したばかりの社員が孤立しないように、チーム内で頻繁にコミュニケーションを図り、学んだり刺激を受けたりする環境も意図的につくり出すようにしています。
当社は上下の関係を気にすることなく、相談しやすい風土が醸成されていると感じます。なお、原則としてリモートワークを推奨しています。働く時間や場所も含めて、スタッフの自己裁量を尊重しています。
——入社後にどれくらいの案件を担当することになるのでしょうか。
入社した方の経験やスキルに依存しますが、1人につき2~3案件を同時に担当するのが一般的です。もちろん本人の意欲を尊重しますが、過度な負担がかからないよう配慮しています。先輩コンサルタントとともに案件を担当したり、複数のエキスパートを束ねて案件を統括したりするケースも珍しくありません。
——Hopejets Consulting Japanという会社を今後、どのように成長させていきたいと考えますか。
当社は2021年に創業したばかりの会社です。現在は過渡期を迎え、社内制度や体制の確立、スタッフの拡充、コンサルティング案件の拡大などをまさに進めている段階です。一方でその先を確実に見据え、2028年のIPOを目指して準備も進めています。今後は多くの仲間を迎え入れ、事業領域をさらに広げられればと考えています。さまざまな経歴を持つスタッフが集まり、海外のエキスパートも拡充し、より大規模なプロジェクトさえ成功に導けるようにしていきたいと考えます。現在の成長する過程を楽しみつつ、顧客から信頼されるパートナーとしての確固たる地位を築いていきます。
Hopejets Consulting Japan株式会社 企業情報
会社名 | Hopejets Consulting Japan株式会社 |
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設立日 | 2022年1月 |
所在地 | 東京都港区三田1丁目3-40 7階 |
資本金 | 300万円 |
代表者 | 李 時豪 |
電話番号・FAX | 03-5427-1878 |
社員数 | 20名(業務委託を含む) |
主要事業 | コンサルティング事業(経営戦略、海外進出、デジタルトランスフォーメーション)、エキスパートマッチング事業 |