実行を伴った経営コンサルティングを行う株式会社リブ・コンサルティング。”100年後の世界を良くする会社”を増やす ことをミッションに掲げ、コンサルティングを通して世の中に新たな価値を与えられるようクライアントとともに日々邁進している。同社の特徴は、ミッションに即した「戦略と実行の往復運動」というコンサルティングスタイル。クライアントに伴走し、時には成り代わるように戦略を実行することで他業界の知見を深め、新たな事業開発も行っている。またこのような新規事業開発のスタイルだけでなく、社員がエンゲージメント高く働ける組織体制も完備。その結果、10年連続で「働きがい認定企業」(Great Place to Work)ランキングにおいてベストカンパニーに選出された。クライアントとともに熱く仕事に尽力する、同社のミッションにかける想いについて聞いた。
武山 慎吾(たけやま・しんご)
東京大学経済学部を卒業後、三菱商事、ボストン・コンサルティング・グループを経て、2017年にファーストリテイリングに入社。同社の人事部長としてグローバル本社の組織構造改革、人事制度企画、経営人材育成等をリードした後、リブ・コンサルティングにCHROとして参画。
戦略と実行の双方を行うことで、コンサルティングの原点回帰を
——まず、御社が大切にされているミッションを教えていただけますか?
“100年後の世界を良くする会社”を増やす、というミッションを掲げています。これはコンサルティング業界へのアンチテーゼとも考えていますが、昨今多くのコンサルティングファームではミッションやビジョンが定められている中、本当の意味でそれらを意識している組織は少ないのではないでしょうか。もちろん各社さんともにクライアントの課題解決に向けて取り組まれていると思うのですが、私は課題解決をして組織が大きくなればOKとは思いません。コンサルティングを通じてクライアントが変わり、人々の生活を豊かにするところまで見据えるような、より本質的なコンサルティングを行いたいと考えています。
——コンサルティングの原点回帰といったところでしょうか。
はい。当社ではこのミッションに即して、収益的に難易度の高い案件にも積極的に取り組むようにしています。たとえば大企業の経営企画やシステム開発などは安定しており、収益性も良いでしょう。しかし当社では、中堅・中小やベンチャー、スタートアップ企業を中心にコンサルティングを行っています。地方やニッチな業界を支えたい中堅・中小企業や、自分のサービスを世に出して驚かせたいベンチャー・スタートアップ企業など、将来を見据えて挑戦する経営者の方々を支援させていただく中で、ミッションの実現を目指しているのです。一方で最近は、世の中に新しい価値を生み出すような事業に挑戦する大企業からのニーズも増えてきています。大企業からも当社のビジョンに共感していただけたり、30~40代の次世代を担うリーダー層から将来を見据えた相談があったりと、頼りにしていただける機会は徐々に増えている印象です。案件の割合としては中小企業が5割、ベンチャー・スタートアップ企業が2割、大企業が3割と、支援するクライアントは多岐にわたるようになりました。
——具体的には戦略策定をされているのですか?
いえ、当社のコンサルティングスタイルは「戦略と実行の往復運動」であることが特徴です。多くのコンサルティング会社ではIT戦略を策定し、システム開発・運用・保守まで行うことを一気通貫と呼んでいますが、当社ではIT以外の領域においても戦略を策定し、それを戦術・計画にまで落としこみ、クライアントの社員とともに、あるいは社員に成り代わって実行しています。ここまでクライアントにコミットして目に見える変化や成果を担保することで、どの規模の企業であってもフィーを払っていただける収益構造を生み出せるのです。また実行まで踏み込むことで、クライアントの業界で起こっている価値観の変化やトレンド、顧客や競合の動向に関する解像度も上がり、それを戦略にフィードバックすることでより精度が上がります。戦略と実行の往復運動はそのまま経営にも生きてくるため、経営のレベルも上がるのです。この好循環を生み出すために、クライアントとのお付き合いは3~6か月のPJ単位ではなく、年単位といったようにだんだんと長くなっていきます。最初はクライアントの業界について理解を深めるためにキャッチアップの時間を多く要しますが、関係性が長くなるにつれ、その時間は短縮され、当社の収益性も高まっていきます。
——戦略と実行のどちらもコミットしていただけるのは、心強いですね。
実行まで行うというのがクライアントを動かすうえで非常に大切な部分だと思っています。何か新しいことを始める際、最終的に人を動かすのは納得感や感情の高まりなど、ヒューマンな部分だと思っているためです。現場に落とし込めないような机上の空論であったり、一緒に過ごしている時間が短いため信用されなかったりという、戦略とは関係のない部分で、人は動かないものです。私たちが自ら動くことで現場の解像度を上げ、クライアント側にも実行に移すマインドを持っていただけるようにすることが大切です。また戦略と実行どちらも行うことで、変化の激しい時代でも柔軟に対応できます。10年前では良い戦略を練ると数か月から数年は優位性の源泉となったかもしれませんが、現在では数カ月後でも戦略が陳腐化することも珍しくありません。もちろん最初に良い戦略を立てることは非常に重要ですが、それをどうブラッシュアップするかは今後求められる部分でしょう。戦略と実行で課やチームが離れている場合はその連携が難しい一方、当社では同じ人間がどちらも担当するため、効率良くブラッシュアップのサイクルを生み出せるのです。
既存事業だけでなく、GX事業など新たな領域にも挑戦
——現在はGX(グリーントランスフォーメーション)の事業も始められたそうですね。
現在、エンタープライズ企業向けの新規事業開発を手掛けています。GX領域で事業戦略立案に挑戦するクライアントに対して、当社ならではの強みを生かして定義した「EVX(EVトランスフォーメーション)」に関する事業戦略・マーケティング戦略の策定を支援させていただきました。当社ではもともと住宅業界・モビリティ業界の中小企業とお付き合いがあり、カーディーラーの方と連携しながら支援させていただく機会も多くありました。カーディーラーの中で近年大きな戦略の柱となっているのは、「EV車をいかに売って顧客単価を上げていくか」という部分。その支援を行う中で、モビリティ×エネルギーの知見やノウハウが当社に蓄積されていきました。そして2021年、EVを中心にモビリティとエネルギー領域におけるビジネスの変化が活発化する現代で新たに生まれる市場を「EVX」と定義し、書籍を出版するなど情報発信を積極的に行っていました。
——モビリティ業界で支援されたことが次の新たな領域にもつながったのですね。
はい。そういった新たな領域への展開事例としてもう1つ、リユース蓄電池事業の構築プロジェクトも手掛けました。
EV普及に伴うリユース蓄電池の需要の高まりに関して、ある大手電力会社はリユース蓄電池の事業展開を考えていました。しかし業界に関する知見不足により、なかなか事業立ち上げに踏み込めずにいたのです。
——そこで、モビリティ業界での知見を電力会社の事業に転用したのですね。
戦略と実行で蓄積したモビリティ業界の知見を活用し、蓄電池事業立ち上げに向けての調査から行うことで、大手電力会社のクライアントも支援させていただきました。プロジェクトは4カ月ほど行い、事業仮設の検討やPoCモデル案の構築など、リユース蓄電池やモビリティ業界に関してクライアントの解像度を上げ、事業立ち上げの足掛かりをつくったのです。このように1つの業界における知見を他業界にも発展させられる点も、当社の強みといえるでしょう。
——既存事業で行っていることを足掛かりに、新たな領域にも挑戦していくというイメージでしょうか。
既存事業にももちろん尽力するのですが、そこで得た知見を掛け算して新たな領域をつくっていく、いわゆる事業開発を自社でも行っているイメージです。
またモビリティ業界だけでなく住宅領域の知見もあるため、不動産テック企業のクライアントをメインにした部隊もいます。住宅業界といえば日本きってのアナログな領域ですが、その現状を変えようとしているスタートアップ・ベンチャーの不動産テック企業は多く存在します。今まで当社では住宅事業も手掛けていたからこそ、住宅業界を変えようとしている経営者の気持ちが手に取るように分かるのです。直近3年で不動産テック企業を支援する部隊は20人ほどにまで増えており、不動産テック企業に寄り添う唯一無二の存在になれればと思いながら日々支援しています。
「第2のユニクロをつくる仕事」に惹かれ、リブ・コンサルティングへ
——続いて、武山さんのご経歴を教えてください。
新卒で商社に入社し、大企業の中で細分化された業務を行うのが性に合わなかったため外資系戦略ファームに転職。6年半在籍していて最初の2~3年は裁量の大きな仕事に満足して楽しく働いていたのですが、だんだんと「自分の仕事に意味があるのか」ともやもやする気持ちが募りました。多くの報酬を要する大手ファームに頼めるのは、結局日本国内で成功している大企業が大半の中で、何か新しい価値を生めているのかという葛藤がありました。また日本国内では高い地位や知名度を維持していても、世界で見ると日本企業のプレゼンスは下落しています。そういった背景もあり、このままで良いのかと自問自答する日々が続きました。
——その疑問を抱える中で次に選んだのが、ファーストリテイリングだったのですね。
私が物心ついたころ、ユニクロといえば山口県発祥の新進気鋭のベンチャー企業という印象でした。それがあれよあれよと会社が大きくなっていく姿を見て心を打たれ、思い切って飛び込みました。入社してみると、世界に対してポジティブな影響を与え、人々の生活を豊かにしている会社であると感じ、骨を埋める気持ちでいました。
——どういったきっかけで御社を選んだのでしょうか?
ある日ヘッドハンターの方から「武山さんがユニクロのことを大好きなことは知っています。でももし仮に、第2・第3のユニクロをつくろうとしているコンサルファームがあるとすればどうしますか?」と問われたのがきっかけです。その言葉に大いに惹かれた反面、疑いもありました。前職での経験で、コンサルティング会社というのはすでに成功している大企業から報酬をもらうもの。第2・第3のユニクロというのは博打ではないかと思っていたためです。
しかし、いざ戦略と実行の往復運動の話やそこから派生する自社内における事業開発の話などを聞き、胸が高鳴りました。また「会社の仲間に加わったのであれば、一人前のコンサルタントにまで育成する」という従業員と当社の関係性も、リブ・コンサルティングが掲げるミッション達成につながっていると感じました。
高い報酬で良い人を採用し、上手くいかず辞めてしまったらまた高いコストをかけて採用するという方法は他の大手ファームが採っている手法。しかしリブ・コンサルティングでは個人と会社との関係を長期的に見据えた組織構造、そしてそれがクライアントと会社との中長期の関係にもつながると知り、大企業でなくてもサステナブルな収益構造であることに強い魅力を感じたのです。
——大手コンサルティングファームや事業会社を経験された武山さんだからこそ気づけた部分ですね。
大手企業へ行くとどうしても仕事が細分化されていたり大企業のクライアントから任される仕事が決まっていたりと、自分のできることは限られてくるものです。しかし若い方たちがコンサルティング業界を目指す動機の多くは、高い報酬やワークライフバランスというよりも意味のある・価値のある仕事がしたいなど、本質的な課題解決に取り組みたいという素朴で素直な動機なのではないでしょうか。戦略と実行の両面からスキルを磨けることで、そういった想いに応えられると思うのです。
また戦略と実行のスキルを磨くことで、今後の生成AI時代でも活躍できる人材になれると考えています。事実を論理的に積みあげるなど、コンサルタントが得意としていた部分はおそらく生成AIのほうが精度高くできるようになります。では私たちコンサルタントに何が求められるかというと、今後のビジョンを描いたり人の心を動かしたりといったような、ヒューマンな部分だと思うのです。戦略策定ではなく実行までをコミットすることで、生成AIに取って代わられることのない人材になれるのではないでしょうか。
「一人前のコンサルタント」を社員全員が目指せる体制
——「働きがいのある会社(Great Place to Work)」に選出された御社。どのような部分が評価されたと考えていますか?
コンサルティングファームには未経験で入社する方が多い中、「一人前のコンサルタントになりたい」という想いを叶え続けられているという実感を個人が持つことこそ、エンゲージメント高く働くことにつながると考えています。当社は従業員が一人前になれることにこだわっており様々な取り組みをしていますが、今回はその中から2つご紹介させていただきます。
1つは、トレーナー制度です。名前だけ聞くと多くの会社が取り入れているもので、仕事や会社に慣れるまでの半年~長くて1年担当するというパターンが多いと思うのですが、私たちは担当する対象者が一人前のコンサルタントになるまで、2~3年ほどトレーナーが付きます。加えてトレーナーと対象者のコミュニケーション方法についても成長を促進できるよう徹底しています。週に一度、1時間の1on1を行いますが、「どうして上手くいったのか、/上手くいかなかったのか」「どうして楽しく仕事ができたのか/できなくなったのか」というように起きた事象や感情についても対象者に言語化させることで、学びを自分で気づけるようにしています。
——このコミュニケーションの流れはクライアントにも行っていることだと思いますが、それを社内でも行うというイメージでしょうか。
はい。自分の気づきや学びを言語化することで、「では次はどうすれば良いか」というアクションにつながり、再現性を持った仕事ができるよう成長できます。またこの活動はトレーナーにも負荷がかかるものであるため、トレーナーの役割給という制度も設けて報酬を払います。その代わりにしっかりと取り組んでいただきますし、活動を管理するためにトレーナー同士の集まりもあり、状況を共有することでトレーナー自身もレベルアップできるようにしているのです。
トレーナー制度はどうしても、面倒見の良い人は多くのエネルギーを使い、そうでない人はあまりそこにコミットしないというように、熱量の差が出てしまうものです。お話しした制度をつくることにより、トレーナーごとにばらつきがないよう工夫しています。
——2つ目の取り組みは何でしょうか?
評価制度のフィードバックを細かく行いながら人材育成を行っていることです。多くの会社では5~6つほどのざっくりとした評価項目で行われることが多い一方、当社では「一人前のコンサルタントになるために必要な25のスキル、11のマインド、押さえないといけない20の基本アクション」を設けており、半期に一度評価を行います。25のスキルについては1~8段階でレベル分けされているため、評価者はいわゆる感覚やノリでフィードバックをすることはできません。自分が次のレベルに上がるためには何が足りないかも分かるため、成長の回り道をすることはない点もポイントです。一人前のコンサルタントになるための道のりを明確にすることで、エンゲージメント高く働けるようにしています。
——最後に、どういった方と働きたいか教えてください。
仕事をするからには世の中や社会に何らかの良い価値を残したい、自分だけでなく次世代につなげられるような試みをしたいという、純粋な想いを持った方が向いています。クライアントは中小・ベンチャー・スタートアップ企業やリスクを背負ってまで新規事業に挑戦したい大企業の次世代リーダーなど、志を高く持つ熱い人材です。そういった方たちに信頼されるには、仕事の出来不出来ではなく「仕事を通してどんな価値を提供したいか」というベースの部分に意思がないと、見透かされるものです。
また当社の社員も純粋な想いを持った熱い人が多いため、夢を一緒に語り合うことでエンゲージメントにもつながります。もちろん当社には、具体的な夢を持っていない人もいます。しかし、「意味のある仕事がしたい」という根底にある気持ちが同じであればきっと楽しく仕事に打ち込めるでしょう。今後もクライアントと熱く語りあいなりながら、仕事を通して多くの価値を社会に残していければと思います。
株式会社リブ・コンサルティング 企業情報
会社名 | 株式会社リブ・コンサルティング(英名:LiB Consulting co.,ltd) |
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事業内容 | 総合経営コンサルティング業務 企業経営に関する教育・研修プログラムの企画・運営 |
設立 | 2012年7月 |
グループ社員数 | 330名(2024年7月) |
代表者 | 代表取締役 関 厳(せき いわお) |
役員 | 常務取締役 権田 和士 取締役 加藤 有 |
本社所在地 | 〒100-0004 東京都千代田区大手町1丁目5-1 大手町ファーストスクエア ウエストタワー 19階/20階 TEL: 03-5220-2688 |
拠点所在地 | タイ(バンコク) |
関連会社 | 株式会社プルーセル 株式会社Impact Venture Capital LiB Consulting(Thailand)CO., Ltd. 株式会社Goofy |
海外提携先 | ISKRA Consulting Inc.(韓国) |