財務との連携を見据えた人事コンサルティングに強みを持つセレクションアンドバリエーション株式会社。大企業から中小・中堅企業までの幅広いクライアントを抱え、要望に寄り添いながら一気通貫のコンサルティングを数多く手掛ける。
採用活動を始めた2020年以降に入社した社員の中には、コンサルティング未経験からの中途入社後10ヵ月でマネジャークラスに昇格した人もいるという。「人と組織の成長をあたりまえにする」をミッションに掲げた同社が求める人物像と今後の展望を、代表取締役の平康慶浩氏に聞いた。
平康 慶浩(ひらやす・よしひろ)
1969年大阪生まれ。アクセンチュア、アーサーアンダーセン、日本総合研究所を経て現職。大阪市立大学経済学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。グロービス経営大学院 客員准教授を務めるほか、特定非営利活動法人 人事コンサルタント協会理事として従事。大阪市特別参与として区長・局長・部長公募面接、校長公募面接も務める(2011年~2016年)、ファイズホールディングス株式会社(東証スタンダード上場)独立社外取締役報酬委員会議長(2017年-2023年)
社会の発展には企業一社一社の成長が不可欠と気づき独立を目指す
——まずご経歴からお聞かせいただけますか?
経済を理解することで社会も理解できるのではないかと考え、大学は経済学部に進みました。大学時代は写真部に所属し、撮影のためにバックパッカーとして各国を渡り歩きました。自分の今後について考える時間も多くあったため、社会にどのように貢献できるか、身近な人を幸せにするには何が必要か、などの問いと向き合いながら過ごしていたのを覚えています。
新卒でコンサルティング業界に入ったのは、1つの業界ではなく多くの業界を良くすることで、社会の発展に寄与したいと考えたためです。大学を卒業して10年ほど外資系コンサルティング会社で働いた後、シンクタンク系のコンサルティング会社での勤務を8年ほど経て独立しました。
——独立されたきっかけは何でしょうか?
実は学生時代に起業を志していたわけではなく、コンサルティングファームで働く中で独立を考えるようになりました。
新卒で外資系コンサルティング会社に入社した当初、社会を良くしたいという想いから国家コンサルタントを目指していました。日本だけでなく発展途上国などを良くすることが、社会の発展につながると考えていたためです。しかし業務に携わる中で、国を発展させるには1つ1つの企業を良くするしかないと気づきました。1つ1つの企業を良くする方法を模索する中で、企業の根幹である組織や人事を支援すべきという考えに至ったのです。
——外資系コンサルティング会社、シンクタンク系コンサルティング会社の経験が独立に活かされているのですね。
外資系コンサルティング会社では大手企業、シンクタンク系コンサルティング会社では中小企業というように、企業規模はもとより組織や風土、課題も異なるクライアントと向き合い続けたことは、独立において非常に大きな経験だったと感じています。大企業向けのコンサルティング経験を活かすと中小企業には物足りないと感じられ、一方で中小企業向けのコンサルティング経験を活かすと大企業が求めるソリューションを提案しにくくなる場合もあります。現在は、双方のメリットとデメリットを理解しながらコンサルティングできるのが強みと考えています。
人や組織の成長を前提としたコンサルティングが強み
——事業の内容について改めてお聞かせいただけますか?
当社の特徴は2つです。1つは財務に直結する人事コンサルティングをしていることです。新規事業構築による利益創出や事業の収益改善などを前提とした人事戦略を策定し、それを実現するためのプロセスも含めて支援できるのが当社の大きな特徴です。
もう1つは、人事戦略をつくって終わりではなく経年的に運用支援をしていることです。中には20年ほどのお付き合いになるクライアントもあり、一時的な支援にとどまらずに長く寄り添うことを心がけています。
このような特徴を打ち出しているのは、当社のミッション「人と組織の成長をあたりまえにする」を実現するために他なりません。人のより良い行動を促すためには何が必要かを常に考え、1つ1つの施策や業務に落とし込むようにしています。これにより、クライアントの全スタッフが普段の業務を通じて成長を実感し、組織や企業全体も成長し続ける企業風土を醸成できるのではと考えます。「人」や「組織」を良くすることを前提としたコンサルティングこそ、当社の強みであり武器であると自負します。
——現在、社員は何名いらっしゃいますか?
4年前に採用活動を始め、現在は社員が10名、インターン生が8名在籍しています。社員10名のうち事務が1名で、9名はコンサルタントとして勤務しています。
コンサルタント9名はチームなどで分けず、コンサルタント、シニアコンサルタント、マネジャー、シニアマネジャーの等級に分かれています。なお、当社は東京と大阪、名古屋に拠点を構えていますが、担当するプロジェクトも拠点ごとに分けているわけではありません。
チームはないものの、プロジェクトは必ず2名以上で担当するようにしています。1名だけのプロジェクトだと、クライアントにとって最適なソリューションを提供できないリスクが生じます。組織として価値を提供する意味でも、必ず2名以上でプロジェクトを組成しています。そうすることで、プロジェクトで得たノウハウを組織に還元しさらなるソリューションの発展につなげられるというメリットもあります。あわせて、1名だけでは急な休みのときにクライアントに迷惑をかけかねず、他業務で多忙な際に品質を損なう恐れもあるので、ワークライフバランスの観点からもそういう体制を心がけています。
——1人で何社のプロジェクトを抱えているのでしょうか?
ランクによりますが、コンサルタントクラスだと1名につき平均2社を担当しています。作業工数は1社につき週に2日ほどで、それ以外の時間を学習の時間と機会を持ってもらっています。プロジェクト期間は様々ですが、年単位の長いお付き合いになるクライアントも少なくありません。戦略を固めるところから設計を経て運用までご支援する場合には、1年~2年ほどご支援させていただくこともあります。
——設計から実際の運用まで一気通貫で支援しているのですね。
はい。もっとも、すべてのクライアントを一気通貫で支援するわけではありません。私が大手企業と中小企業それぞれを数多くコンサルティングした経験があるからこそ分かることなのかもしれませんが、どの企業にも波はあると感じています。「短期間に集中的に設計部分だけお願いしたい」「制度は自社で設計したのでその後の運用と評価者教育を支援してほしい」「四半期ごとの後継者育成の議論として各1ヵ月ずつコンサルティングしてほしい」など、クライアントごとに要望は異なって然りです。一気通貫で全方位的にコンサルティングする一方で、必要なフェーズや期間だけ支援するコンサルティングも用意し、クライアントの要望に適切に応えられるよう工夫しています。
企業の成長に直結する制度づくりに携われるのが魅力
—―次に、実際に現場で働かれているマネジャーの平野さんにお伺いします。まずはご経歴を教えていただけますか?
新卒で金融機関に入行し、5年目のときに当社へ転職しました。第二新卒ともいえる状態で当社に入り、最初はコンサルタントという位置づけでしたが、それから約10ヵ月後にマネジャークラスへと昇格しました。
——スピード出世ですね!転職するきっかけなどはあったのでしょうか?
金融機関での業務はやりがいがあったものの、昔ながらの年功序列な人事制度に疑問を抱いていたのも事実です。この体制で立場を上げたり権限を持ったりするには長い時間がかかると感じていました。私は大学時代にサッカー部でキャプテンをしていたこともあり、組織にまつわる課題は個々のパフォーマンスに影響すると常々思っていました。同時に、人が最大限のパフォーマンスを発揮できる組織づくりにも興味を持つようになっていきました。こうした自身の経験も含め、組織や人事をコンサルティングする会社への転職を考えるようになったのです。
組織や人事改革を手掛けるコンサルティング会社を調べる中で、当社を選んだ決め手は2つあります。1つは幅広い業界で実地経験を積める点です。私は金融機関で5年の勤務経験があるため、大手コンサルティング会社に転職したら金融業界のクライアントを担当する可能性が高くなります。私が希望する多様な業種についての人事改革を担当できない可能性が高いと考えました。さらに大企業がクライアントの場合、支援する業務も細分化するため、広範な実地経験を短期で積むのは難しいと考えました。
もう1つは、企業の経営や制度に携われる点です。人事コンサルティングというと、研修や教育事業を展開するコンサルティング会社が少なくありません。しかし私は研修や教育に軸足を置くより、企業の成長に寄与する戦略・企画領域として制度の検討や設置を支援したいと考えていました。自分の希望と目指す姿の実現方法を熟考した結果、当社に辿り着いたのです。
——自分のやりたいことと御社がうまくマッチしたのですね!経営者層の方たちと実際にお会いして業務を進められるのですか?
人事部門や人事制度に関わるコンサルティングの場合、社長や役員といった方々と打ち合わせすることが少なくありません。そういった方々と相対して思うのは、スピードを重視した改革に取り組んでいるという点です。意思決定に必要な判断材料が少ない中でも経営層は決断を迫られるわけですが、自社の将来を左右する決断を即時に下す場に立ち会えるのはやりがいのあることだと感じます。
——平野さんは入社10ヵ月でスピード出世されていますが、御社で活躍できる方はどんな方だと思いますか?
当社のミッション「人と組織の成長をあたりまえにする」の実現に向けて取り組める方はもちろん、自分で課題を持ち、課題に向かって努力できる方も向いていると感じます。当社は現在、社員数が10名と少ないため、業務に手が回らなくなることもあります。そのようなときに受け身の姿勢ではなく、自主的に乗り越えられる方は活躍できると思います。積極的な姿勢で行動できる人は、当社はもとよりクライアントも成長へと牽引させられるのではないでしょうか。
「クライアントファースト」より「お人好し」が似合う会社を目指したい
——再び平康社長にお聞きします。同社における今後の展望を教えていただけますか?
人事コンサルティングファームとして日本で一番になりたいと考えています。そのためには規模の拡大が重要で、5年後には社員数を少なくとも50名まで増やせられればと思います。ただし、気をつけなければならないのは、多くの社員が一気に入社しすぎて教育が間に合わなくなること、さらに当社が望まない人を採用してしまうことです。失敗しても原因を探って次回以降に活かせられれば構いませんが、社員数ばかりに目を向けていると、教育不足と人材のミスマッチが頻発しかねません。このような事態に陥らないような採用計画を立案し、入社した社員の教育や成長をサポートできる環境づくりも優先して取り組みたいと考えます。
——教育体制が未整備だったり採用のミスマッチが起きたりするのは、多かれ少なかれ起こり得る問題ではありますよね。
そうですね。しかし人事コンサルティングが基幹事業である当社では、人と組織の関係により敏感でなければいけません。
実は「セレクションバリエーション」という社名にも、人や組織を大切にしたいという想いが込められています。セレクションとバリエーションという言葉は進化生物学の用語で、生き物が進化するために必要な条件を表しています。つまり、バリエーションという多様性の中で淘汰(セレクション)され、残ったものが世界をつくっていくことを意味します。さまざまな人や組織がある中でも互いにより良い関係を築き、すべての人と組織が幸せになる仕組みをつくりたい…。そのような願いを社名に込めています。「セレクションアンドバリエーション」という名前を背負う以上、クライアントのすべてのスタッフと組織がより良くなる姿を模索し続けることが私たちの責務であると考えます。
——平康社長は、どんな人とともに働きたいと考えていますか?
クライアントと真摯に向き合い、クライアントが良い方向へ向かうにはどうすれば良いかを常に考えられる方と働きたいと思います。さらに、私は当社を「お人好し集団」にしたいと常々考え、この考えに共感する方とも一緒に働きたいと思っています。私は当社のことを、クライアントを一番に考える「クライアントファースト」という言葉より、「お人好し」という言葉の方が相応しいと考えます。「クライアントファースト」と聞くと表面的なイメージを持ちかねませんが、当社は人の根本となる考え方や行動1つ1つに気を配れる「お人好し」な集団を目指しています。クライアントの表面ではなく、担当者や組織の内面ときちんと向き合える「お人好し」な方こそ、当社に向いていると思います。なお、クライアントの成長を一番に考えつつ自分自身も成長できる方であれば、最初は人事の知識や経験がなくても良いのではないかと考えています。
——最後に、御社のアピールポイントを教えてください。
当社は「人と組織の成長をあたりまえにする」というミッションを実現する手段として、教育制度をはじめとする学習支援体制を手厚く整えています。体系的な教育として、グロービス経営大学院の3か月単科コースを会社負担で年に2コマ受講することができます。また私が人事顧問を務めているSMBCコンサルティングの定額制ビジネスセミナーは、就業時間内でも受講し放題です。自己研鑽支援としては、RCサクセッションという制度を導入し、コンサルタントクラスでも年額12万円を自由に使えるようにしています。また書籍購入については稟議すら不要で、買った後の事後承認で全額会社負担としています。こうした制度を活用し、楽しく自己研鑽を積みながら自分も組織も成長できる環境こそが、当社の何よりのアピールポイントです。
セレクションアンドバリエーション株式会社 企業情報
会社名 | セレクションアンドバリエーション株式会社 |
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設立 | 2006年3月有限会社として設立 2011年6月株式会社化 |
資本金 | 1000万円 |
代表取締役 | 平康慶浩(ひらやすよしひろ) |
主な事業内容 | 従業員向け人事コンサルティング ● 人事評価制度・考課制度設計 ● 報酬制度・賃金制度設計 ● 行動等級(コンピテンシー等級)・職務等級制度設計 ● 教育制度・人材育成制度設計 ● 人材採用基準・採用プロセス設計 経営幹部(取締役・執行役員)向け人事コンサルティング ● 経営幹部登用基準設計・運用 ● 業績管理・役員報酬制度設計 ● 次世代経営幹部育成制度設計・運用 ● 各種人事委員会(指名委員会・報酬委員会)設計及び運用 各種教育研修 ● 新入社員育成研修 ● プロフェッショナル育成研修 ● 管理職登用研修 ● 経営幹部(取締役・執行役員)研修 ● 人事評価者・考課者研修 ● 人事部門責任者・人事担当者・HRビジネスパートナー育成研修 人材紹介 ● 経営幹部(取締役・執行役員)候補紹介 ● 管理職候補紹介 ● 第二新卒人材紹介 (有料職業紹介許可番号 27-ユ-303648) |
取引銀行 | 三菱東京UFJ銀行 堂島支店 三井住友銀行 梅田支店 |
顧問税理士 | ウィンドローズ税理士法人 |
東京オフィス | 〒100-0005 東京都千代田区丸の内2丁目2番1号岸本ビル7階xLINK 丸の内パレスフロント内 TEL:03-6869-1563 FAX:03-6893-3931 |
大阪オフィス | 〒550-0005 大阪府大阪市西区西本町1丁目2-17 本町グランドビル 7F TEL:06-6695-7351 FAX:06-6695-7352 |
名古屋オフィス | 〒451-0045 愛知県名古屋市西区名駅2丁目34-17 セントラル名古屋1101号 TEL:052-766-5552 FAX:052-766-6315 |
加盟団体 | 大阪市商工会議所、東京商工会議所 |
加盟学会 | 進化経済学会、日本労務学会 |
提携先 | SMBCコンサルティング/日本総合研究所/なぎさ監査法人(大阪)/はやぶさ監査法人(東京)/ビジネスパブリッシング(月刊人事マネジメント発行)/株式会社HRビジョン/HRビジネスパートナーズ |