PEファンドとは?主な種類や業務内容・年収をわかりやすく解説

顎に手を当ててデータを見るビジネスマン

PEファンド業界への転職に興味があり、実際にどのような業務があるのか知りたい、あるいは年収相場や業界の特性について理解を深めたいと感じている方もいるでしょう。

本記事では、PEファンドの概要から業務内容、年収相場、転職のメリット、さらには成功するためのコツまで解説します。PEファンド業界におけるキャリアの全体像を把握し、自分に合ったキャリア戦略を描きましょう。

目次

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PEファンドとは

PEファンドの仕組みを解説した図解

PEファンドのPEは、Private Equity(未公開株)を意味します。つまりPEファンドは、複数の機関投資家や個人投資家から集めた資金を、未上場企業や非公開化した上場企業に投資するファンドのことです。

例えば、後継者不在の企業や事業再生を必要とする企業、大企業の非中核事業などが投資対象です。

PEファンド事業の目的は、3〜5年の投資期間に企業価値を向上させて高いリターンを得ることです。通常は資金提供だけでなく、社員を投資先企業に派遣して経営改善や成長支援も行います。

最終的にIPO(新規株式公開)やM&A(企業の合併・売却)などで投資を回収できれば、成功報酬を得られるという仕組みです。そのほか、投資家から得る運用手数料も収益源のひとつです。

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PEファンドの主な種類

オフィスを歩く人の足元

PEファンドには、主に4つの種類があります。

PEファンドの種類
  • VC(ベンチャーキャピタル)
  • バイアウトファンド
  • 事業再生ファンド
  • ディストレストファンド

各ファンドの特徴を解説します。

VC(ベンチャーキャピタル)

ベンチャーキャピタルは、主にベンチャー企業や成長初期段階の企業に投資します。

創業間もない企業の中には、革新的なアイデアや技術を保有しているものの、十分な資金調達ができない企業も少なくありません。そうした企業に資金を提供し、必要に応じて経営戦略や市場展開のアドバイスも行います。

ベンチャーキャピタルの投資は非常にハイリスクで、回収できない可能性もあります。一方で、投資先企業がIPOに成功すれば、数十~数百倍の大きなリターンを得られる見込みがあります。

近年では、M&Aによる資金回収を図るケースも増えてきています。M&AはIPOよりリターンが少ないものの、成功確率が高いエグジット手段のひとつです。

バイアウトファンド

バイアウトファンドは、成熟期にある企業や事業部門を買収し、経営に深く関与して企業価値を向上させることを目的としています。

一般的に、ベンチャーキャピタルのような高リターンは期待できません。しかし、投資対象がすでに一定の売上や事業基盤をもつ企業であるため、成功率が高い傾向にあります。投資期間は5年程度と比較的短く、ベンチャーキャピタルよりも積極的に経営に関与して企業価値向上を目指します。

多くの場合、バイアウトファンドは対象企業の株式の過半数を取得して経営権を握り、経営改革や事業再構築を行います。そのため、利用する企業にとっては、経営の自由度や経営権を失うリスクがあります。

一方で、事業の承継や再生、カーブアウト(事業の一部を分離・独立させること)ができるのがメリットです。

事業再生ファンド

事業再生ファンドは、経営不振に陥った中小企業を対象に投資を行い、再生を図ります。その目的は、企業を立て直すことで企業価値を向上させ、再生後の売却や株式公開によって利益を得ることです。

債権の買取りや出資を通じて財務面の改善を行うとともに、経営陣の刷新や事業構造の見直しなどを実施します。官民連携のファンドとして運営されるケースが多いです。

具体的には、事業が好調でも財務面で問題がある場合には、リストラやダウンサイジングといったワークアウト、財務状態が健全でありながら事業が不振に陥っている場合は、事業を方向転換するターンアラウンドといった手法を用います。

ディストレストファンド

ディストレストファンドは、財務的に困窮している企業や破綻寸前の企業に投資を行います。主に債権や株式を大幅に割り引いた価格で取得し、企業の再建や資産の売却を通じて利益を得ることを目指します。

ディストレストファンドは対象企業の経営状況が極めて悪いことから、事業再生ファンドよりもさらに高いリスクを取る手法です。一方、市場価値が低い企業を対象とするため、価値の向上と売却に成功すると大きなリターンを得る可能性があります。

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PEファンドの業務内容

ノートパソコンの横に置いたメモ帳にボールペンで書き込む様子

PEファンドは、資金調達、発掘(ソーシング)、案件の実行(エグゼキューション)、バリューアップ、エグジットという流れで業務を行います。

資金調達

PEファンドがまず行う業務は、投資家からの資金集めです。ファンドレイズとも呼ばれます。機関投資家や富裕層個人などにファンドの投資戦略や期待リターンを説明し、資金を募ります。

その際には、ファンドの運用方針、投資対象の業界や規模、リスク管理策などを明確に提示し、信頼を得なければなりません。投資額がファンドの目標額に達することがこの業務のゴールです。

投資候補企業のリサーチと分析

資金調達ができたら、PEファンドは投資対象となる企業を探索し、詳細な分析を行います。発掘(ソーシング)と呼ばれる業務です。

具体的には、企業の財務状況や市場ポジション、成長潜在力などを綿密に調査し、業界動向や競合状況も考慮に入れ、投資価値を総合的に判断します。

自社から対象企業にアプローチするケースもあれば、M&A仲介会社や金融機関から紹介を受けるケースもあります。紹介を受ける場合には、良好な関係性を築けているかどうかが重要なポイントです。

投資先企業の経営改善支援

投資先候補企業が決定すると、PEファンドはその企業に対して買収の意思を伝え、企業の公開情報を精査するDD(デュー・ディリジェンス)や価格査定(バリュエーション)、銀行からのローン調達(LBOローン)、最終交渉契約締結などを行います。エグゼキューションと呼ばれる一連の業務です。

投資実行後、PEファンドは積極的に投資先企業の経営に関与し、企業価値向上を支援します。バリューアップと呼ばれる段階です。

例えば、経営戦略の見直しや業務効率化、新規事業開発の支援などがこの作業に含まれます。また、必要に応じて経営陣の強化や組織改革も実施します。

売却戦略の立案と実行

PEファンドの目的は、投資資金を最適なタイミングと方法で回収し、投資収益を最大化することです。そのため、投資期間の終盤には、投資先企業の売却戦略を立案し実行します。エグジットと呼ばれる段階です。

エグジットの方法としては、IPOや他企業へのM&Aなどが挙げられます。

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PEファンドの年収相場

植物に水をやるスーツ姿の男性と積み上げられたコイン

PEファンド業界は、高額報酬を得られると有名です。

まずは、PEファンドの職位について理解しておきましょう。PEファンドに転職した場合、最初はアナリストから始まるのが一般的です。その後、アソシエイト、ヴァイスプレジデント、ディレクター、マネージングディレクター(もしくはパートナー)といった順番で昇格します。

成功したPEファンドのマネージングディレクターやパートナーになれれば、巨額の報酬を得ることも夢ではありません。とはいえ、実際の年収はファンドの規模や経済環境、個々の業績などさまざまな要因が影響します。そのため、転職の際には市場動向をしっかり把握しておくことが大切です。

また、下記の表でもわかるように、日系PEファンドよりも外資系PEファンドのほうが年収は高い傾向です。これは、支援する案件の規模が外資系PEファンドのほうが大きいケースが多いためです。

スクロールできます
日系PEファンド
職位年収相場
アソシエイト800〜1,200万円
ヴァイスプレジデント1,000〜1,500万円
ディレクター1,500〜2,000万円
マネージングディレクター2,000万円以上
スクロールできます
外資系PEファンド
職位年収相場
アソシエイト800〜1,500万円
ヴァイスプレジデント1,500〜2,000万円
ディレクター2,000〜3,000万円
マネージングディレクター3,000万円以上

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PEファンドは「やめとけ」「つまらない」は本当?

オフィスでパソコンを操作するビジネスマン

PEファンドの仕事に対しては、「やめとけ」「つまらない」といったネガティブな意見も存在します。理由としては、激務である点や、資料作成や分析作業といったルーチンワークが多い点などが挙げられます。

しかし、経営に深く関わって企業価値向上に貢献できたり、高い報酬を得られたりと、魅力的な側面も多いです。

まずは、自身の仕事に対する価値観やキャリア目標に、PEファンドが合致しているかどうを慎重に検討しましょう。論理的思考が得意な方や長期的な視点で物事を考えたい方、成果主義にやりがいを感じる方などは、PEファンドがマッチする可能性があります。

PEファンドに転職するメリット

「MERIT」と描かれたアルファベットレター

続いて、PEファンドで働くメリットを見てみましょう。

経営に直接関与できる

PEファンドでは、投資先企業の経営に深く関与する機会が豊富にあります。そのため、将来的に経営者としてのキャリアを目指す方にとっては、PEファンドは非常に魅力的な環境です。

例えば、PEファンドでは投資先企業に社外取締役として参画し、経営に深く関わるケースがあります。コンサルタントとしてではなく、経営の意思決定に直接関与する立場で事業を推進するため、実践的な経営スキルの習得につながります。

また、経験豊富なファンドのメンバーや実績ある企業経営者と協働しながら、M&A戦略や事業改革などの経営スキルを実践的に学ぶ機会が得られます。

対象企業の経営支援や企業価値の向上に直接貢献できるため、企業の成長を肌で実感できるのも大きな魅力です。

高額な成功報酬を得られる

PEファンドの報酬体系は、自身の努力と成果が大きく反映される仕組みです。報酬の種類としては、固定給と会社の業績に応じて支給される業績賞与、投資先企業の売却時に支給されるエグジットボーナス(成功報酬)があります。

このうち、特に注目すべきはエグジットボーナスです。一般的にファンドの利益の約20%が成功報酬として設定されているため、社員に分配されるエグジットボーナスも、かなりの高額になる可能性があります。

携わったプロジェクトが成功すれば、一般的な会社員や他の高収入業界と比較しても、非常に高い収入を得られます。

多様な業界の知見が身につく

PEファンドではさまざまな業界の企業に投資を行うため、幅広い業界の知識や経験を得られます。投資先企業の分析を通じて、各業界の最新トレンドや市場動向も深く理解できます。

また、異なる業界の企業価値向上に携わることで、多様な経営戦略やビジネスモデルを学べることも見逃せないポイントです。幅広い人脈の構築にもつながります。

このように、PEファンドでは単一の業界にとどまらない、幅広い知見を獲得する機会を得られます。これは、将来的なキャリア形成における大きな強みです。

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PEファンド業界で成功するコツ

オフィス街でこぶしを突き上げる二人のビジネスマン

PEファンド業界での成功には、専門的な知識と経験の積み重ねが不可欠です。業界特有のスキルや戦略を身につけ、実際の業務で成果を上げることが求められます。

ここでは、PEファンドでのキャリアを築くために意識すべき、重要なポイントを解説します。

ファイナンスとM&Aの専門知識を身につける

ファイナンスの知識は、投資先企業の財務状況を正確に分析し、潜在的な価値を見出すのに不可欠です。財務分析や企業価値評価、デューデリジェンス、ストラクチャリングなどの専門スキルを磨かなければなりません。

M&Aの知識は、投資先企業の価値向上戦略を策定する上で大切です。例えば、追加的な買収による企業規模の拡大や、シナジー効果の創出などを計画する際に役立ちます。これらの知識を組み合わせることで、最適なエグジットのタイミングと方法を判断できます。

そのほか、法務や税務の基礎知識を身につけるのも有益です。知識が増えることで視野が広がり、より総合的な視点で案件に取り組めるようになります。

実務経験を積み重ねる

PEファンドの業務において大きな強みとなるのは、実際のビジネス経験です。事業会社での経営や運営の経験は、投資先企業の課題を深く理解し、具体的な改善策を提案する上で非常に有用です。

また、実務経験を通じて得た業界知識や経営判断のノウハウは、投資先企業の価値向上に直接貢献できます。

成功や失敗の経験を活かすことで、戦略立案の精度が向上します。そして実績を重ねることで信頼を得られ、より大きな案件や重要なポジションに携わる機会が増えるでしょう。

継続的な学習を習慣にする

PEファンドでのキャリアを構築するためには、投資判断能力、財務分析力、戦略立案力といったスキルの習得が欠かせません。

PEファンド業界は常に変化しているため、最新のトレンドや手法を把握し続けることが成功の鍵を握ります。

専門書や業界誌の定期的な購読、セミナーへの参加、ネットワーキングイベントでの情報交換など、継続的な学習の習慣化が大切です。これらは専門知識の深化や人脈による機会の拡大につながります。

そのほか、過去の案件や市場動向の分析を通じて自身の知識やスキルを常にアップデートし、業界の変化に柔軟に対応する姿勢も求められます。

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まとめ

PEファンドは、未公開企業への投資を通じて高いリターンを目指す投資手法です。VC、バイアウト、事業再生、ディストレストの4種類があり、それぞれ異なる投資戦略をもちます。

PEファンドの業務は資金調達から投資先の発掘、経営支援、売却まで多岐にわたります。転職した場合、高額な報酬が得られる可能性がある一方で、激務ゆえにワークライフバランスを保てない可能性も否めません。

PEファンドへの転職を希望する方は、自身の価値観やキャリアの目標と照らし、慎重に検討しましょう。

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