アーキタイプは2026年5月12日、新規事業開発に関する調査結果を発表しました。国内企業など477社に、新規事業の推進状況や経営層と現場の認識のギャップなどを聞いています。
新規事業の推進状況を示した結果が図1です。調査では、推進状況を「先進帯」、「積極帯」、「平均帯」、「消極帯」の4つに区分。回答企業がどの区分に該当するのかを表しています。なお、どの区分に該当するのかは、「戦略の具体度」、「資源配分の本気度」、「判断基準・撤退ルール」、「事業化への道筋」、「外部活用の姿勢」、「データ・AI活用」の6項目の取り組み状況を回答企業が自己採点し、30点満点でスコア化。スコアが25点以上を「先進帯」、20~24点を「積極帯」、16~19点を「平均帯」、15点以下を「消極帯」と定義しています。
「積極帯」と「平均帯」を合わせた中間帯が全体の55%を占め、3社に1社が消極帯に位置していることが分かります。新規事業の推進状況が成熟段階(先進帯)に至っている企業は12%にとどまり、多くの日本企業で新規事業を推進するための戦略策定やルール作り、外部のリソースやAI活用などの底上げが課題となっていることが調査結果から読み取れます。
では企業は、新規事業を進める際の「戦略の具体度」、「資源配分の本気度」、「判断基準・撤退ルール」、「事業化への道筋」、「外部活用の姿勢」、「データ・AI活用」の6項目の推進度をどう自己採点したのか。経営側のスコアと現場側のスコアをそれぞれ5点満点で採点し、平均値を割り出した結果が図2です。
特筆すべきは、「データ・AI活用」のスコア。経営側のスコアは2.76であるのに対し、現場側のスコアは3.01となっています。これは、現場がデータやAIを実務で利用しているものの、経営層はAI活用に向けた方針や戦略を十分整えられずにいることを示しています。「データ・AI活用」において、現場が経営層よりも率先して取り組む企業の割合は33%を占めます。
一方、「外部活用の姿勢」の場合、経営側のスコアは3.04、現場側のスコアは2.90でした。これは、経営層が打ち出す方針や戦略が現場の成果より進んでいることを表しています。経営が現場より先行する企業の割合が33%であるのに対し、逆に現場が経営より先行する企業の割合は18%でした。この18%という現場先行の割合は、スコア化した6項目の中で一番少ない値となっています。調査を実施したアーキタイプはこの結果について、経営層がスタートアップ連携やオープンイノベーション推進などの外部との共創方針を掲げても、PoCや共同開発といった具体的な成果につながっていない実態があると考察します。
スコア化した6項目が「経営先行」か「現場先行」か、それともどちらかが突出しない「整合」の状態かを示した結果が図3です。
「戦略の具体度」、「資源配分の本気度」、「判断基準・撤退ルール」、「事業化への道筋」、「外部活用の姿勢」の5項目は、経営層の方針や戦略の打ち出しが現場の取り組み実態を上回る「経営先行」でした。「データ・AI活用」のみ、現場の取り組み実態が経営層の方針や戦略を打ち出すよりも先に進んでいる「現場先行」の状態でした。
回答企業の6項目の平均スコアを業界別に振り分けた結果が図4です。
「データ・AI活用」の場合、20業界中14業界で平均スコアが3.0未満となっています。一部の業界を除き、多くの業界で新規事業におけるデータ活用やAI活用の取り組みが不十分であることがうかがえます。一方、「戦略の具体度」の場合、メディア・エンターテインメント業界の平均スコアが3.0を下回ったものの、それ以外の19業界が3.0を上回りました。多くの業界で事前策定した戦略に基づいて新規事業開発を進めていることが分かります。
調査を実施したアーキタイプの菅野龍彦代表取締役社長は今回の調査結果を受け、新規事業開発の取り組みは経営層の方針策定などが先行し、現場の努力が足りないと思われかねないが、必ずしもそうではないと指摘します。経営と現場の構造的なズレを可視化し、再現性のある仕組みとして制度に落とし込むことが重要だと訴えます。
【調査概要】
調査期間:2026年4月22日〜4月30日
調査対象:経営者・役員・新規事業担当者 477人(19業種+官公庁・公共機関)
調査手法:Web調査
【関連リンク】
アーキタイプ株式会社
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