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【セミナーレポート】生成AI時代に生き残るコンサルタントのキーワードは「人間力」。大手ファーム出身者が語る、業界への影響と求められる資質とは

セミナーレポート

バインダーで挟んだ紙にメモを書く様子

みらいワークスは2025年4月23日、コンサルティング業界への転職志望者を対象としたウェビナーを開催しました。今回のテーマは「大手コンサルティングファーム出身者が語る、生成Ai時代に生き残るコンサルタントとは?」。JDSC 常務執行役員COOの佐藤飛鳥氏をゲストに招き、みらいワークス コンサルネクスト・シニアコンサルタントの塚田真仁とコンサルタントのAI活用術、これからの生成AIとの向き合い方について議論しました。

目次

登壇者のご紹介

佐藤 飛鳥(さとう・あすか)氏
株式会社JDSC 常務執行役員COO
早稲田大学大学院修了後、新卒でアクセンチュア株式会社に入社。戦略コンサルティング本部やサプライチェーン本部に所属し、幅広い業界を対象としたIT・DXプロジェクトを多数経験する。その後、ITソリューション会社を起業し、事業譲渡後にアクセンチュアに再入社。2020年1月に株式会社JDSCに参画し、主に製造業・物流業を対象とした大手企業のDX案件推進や共同開発を担当。2022年8月執行役員、2024年7月常務執行役員COOに就任。

塚田 真仁(つかだ・しんじ)
株式会社みらいワークス シニアコンサルタント
新卒で製造業の大手メーカー系半導体商社に入社し、法人営業を10年間経験。その後MBAを取得し、組織変革や人事マネジメントを専門とするコンサルティング会社で製造業や物流業の大企業向けコンサルタントを多数手掛けた。加えてITやBCP関連のコンサルティング業務も経験した後、2017年にみらいワークスへ参画。現在はコンサル転職特化型エージェントサービス「コンサルネクスト」を推進している。

生成AIが与えるコンサルティング業界への影響について

塚田: 本日のセミナーは「大手コンサルティングファーム出身者が語る、生成AI時代に生き残るコンサルタントとは?」と題し、株式会社JDSCの常務執行役員COOである佐藤飛鳥氏と特別対談を行います。

対談相手は私、株式会社みらいワークスの塚田が務めます。どうぞよろしくお願いいたします。

佐藤: 佐藤飛鳥と申します、よろしくお願いいたします。簡単に株式会社JDSCについてご説明すると、AIとデータ活用によって日本をより強い国にするという理念のもとに集まったメンバーで構成する会社です。2018年に株式会社化し、現在7期目。従業員数は約120名で2021年には東証グロース市場に上場しています。

また、JDSCは各業界のリーディングカンパニーと協力しながらイノベーションを推進している点も強みです。具体的な事業内容としては、データを使った新規事業・新サービス創出、AI・データサイエンスを活用した業務改革に加え、AI・データサイエンス活用に伴う人材育成なども手掛けています。

塚田:ご紹介ありがとうございます。それではディスカッションのテーマに入ります。
セミナーのテーマは「生成AI時代に生き残るコンサルタントとは?」。生成AIが与えるコンサルティング業界への影響からコンサル個人への影響、それを踏まえた上で今後も生き残るコンサルタント像などをお話する流れとなっています。それでは佐藤さん、よろしくお願いいたします。

佐藤:よろしくお願いいたします。

登壇者のJDSC 常務執行役員COOの佐藤飛鳥氏(写真右)と、みらいワークス シニアコンサルタント塚田真仁(写真左)

塚田:ではまず初めに「生成AIが与えるコンサルティング業界への影響について」というテーマに入りましょう。最近では、2029年にITコンサルの委託業務の3割がAIで代替可能になるんじゃないかという予測をガートナージャパンが出したことが話題になりました。具体的な内容は、ITコンサルティングやベンダーに委託している業務の約30%程度がAIで代替可能になるというもの。業務の棚卸しや整理など比較的単純作業となるものが大きく影響を受けるのではないかと言われています。こちらについて、佐藤さんはどうお考えでしょうか?

佐藤:近年生成AIの進化は凄まじく、状況も刻一刻と変わるかとは思いますが、メリット・デメリットどちらもあります。

歴史を遡ると2022年の11月にChatGPTが登場しましたが、当時は会話や要約、簡単なメール作成ぐらいでした。しかし現在は議事録作成やレポート作成など、できることが大幅に広がっています。目覚ましい進化の末、コンサルティングの業務になくてはならない存在となりました。

塚田: コンサルタントにとって影響が大きいAIの機能は何だと考えますか。

佐藤: 特にOpenAIのレポート作成機能です。例えば当社のお客様であるダイキン工業さんに対し、「今の事業環境を整理し、それに対してJDSCというAIの会社がどういうことを提案できるか」と聞いたとします。前提条件を聞かれてプロンプトを修正した後、たった13分でマクロ経済や政策動向などを踏まえた経営戦略レポートが出てくるのです。

また、JDSCはどんなことを提案できるかという部分では、「需要予測を高度化して需給計画を最適化する」「空調はエネルギーの消費が大きいため、エネルギーマネジメントに関する最適化サービスを提案する」などさまざまな提案が出ました。実はこのうちの何件かはすでに当社が行っているものもあり、精度の高さを実感しました。

塚田: 人間が実際にこのボリュームのレポートを作ろうとすると、どれくらいの工数がかかりますか。

佐藤: どれくらい詳しい業界か、また社内のアセットがどれだけあるかにも左右されますが、初めて手掛ける業界で新たなプロジェクトが始動するタイミングの場合、ざっと1~2週間ほどかけて作るものでしょう。

AIがまだなかった時代では、知見を得るために有識者にインタビューをしたり何度も書き直したりと、レポート作成以外にもさまざまな業務が出てきます。この業務をすべて包括した上でたった13分でレポートが完成してしまうのです。

塚田: このようにレポート作成一つとっても大きな効率化が図れる生成AIですが、コンサルティング業界におけるメリット・デメリットはどのような点だと考えますか。

佐藤: デメリットというか脅威と感じる部分で言うと、業界の先進事例や他業界の事例を誰もが簡単に分かってしまうことです。お客様に対して先進的な事例や成功事例などを提供することもコンサルタントの仕事の1つですが、生成AIによるリサーチ能力の高さにより、コンサルタントの力がなくとも簡単に情報が出てきます。

また、コンサルタントのビジネスは基本的に年月×どれくらいの稼働かで変わってくるため、収益モデル自体が成立しにくくなります。特に若手や中間層はこの情報収集や資料作成が主な仕事となるため、稼働時間はかなり減ってしまうのです。

塚田: 仕事の仕方も大きく変わりますよね。

佐藤: そうですね。今までこのような地道なリサーチ業務やレポート作成を行う中で、上司や先輩に指摘されながら身に付いていく考え方や経験がなくなるのもデメリットといえます。育てるプロセスが徐々に見えなくなるのです。

塚田: 成長の機会は変わりそうですね。次にメリットをお聞かせください。

佐藤: 圧倒的に業務効率は良くなります。先ほどのレポートは初期調査という前提でご紹介しましたが、プロジェクト遂行中でも使えることは多くあります。特に仮説立案や情報をざっとまとめる分には大いに有用です。ただAIから出てきたものをそのまま提出するほどのクオリティにはまだ至っていないため、80点ほどのものができたと考え、残り2割は人間の手で完成させるのが良いでしょう。

また、大手コンサルティングファームに多く当てはまることではありますが、社内のドキュメントや過去事例を容易に探せるデータベースのような役割も担えると考えています。情報の質を保つことや属人化を抑えるという副次的な効果にもつながるでしょう。

塚田: 仮説立案の高速化は、選択肢が欲しいという意味で確かに有用ですね。自分の頭で一生懸命考えるものの、やはり自分の経験から来るものが多く、どうしても限界があります。その限界を飛び越えて選択肢を与えてくれるのは大変便利ですね。

コンサルタントへの影響とは?

塚田: 今回のセミナーにあたり、ChatGPTに「今までコンサルタントが行ってきた業務の中で、生成AIができることは何ですか」と聞いてみました。すると、先ほど伺った情報収集やリサーチ、市場調査、競合調査、ニューストレンドの収集などのさまざまなタスクが出てきました。

しかし逆を言えば、人間にしかできないこともまだたくさんあります。具体的にはお客様の組織風土や人間関係を踏まえた実行支援、経営層との信頼関係構築、対話での合意形成などです。この点を踏まえ、佐藤さんの考える個人のコンサルタントへの影響や代替されること、されないことはどんな部分だと考えますか。

佐藤:おっしゃる通り情報収集や事例収集はすべてAIで代替されると感じます。しかし、組織の中でどのような判断を下すか、どのような意思決定をするかは、人間が形成する組織である限り生成AIは入り込めない領域だと考えています。

塚田:そうですね。 佐藤さんは製造業のお客様を担当されているためよく分かるかと思いますが、現場を理解しないとプロジェクトを受け入れてもらえないことが多いです。現場を知らないで施策や戦略だけ打ち出しても、「絵にかいた餅」になるだけで実行に移せなかったら意味がありません。AIでは代替しにくいコミュニケーションや現場への理解という部分は、今後より求められていくのではないでしょうか。

佐藤:そうですね。もちろんさまざまなタイプのコンサルタントがいるものの、ここ10年で「実行支援」というキーワードがより大きな意味を持つようになったと感じます。戦略コンサルタントと言われる方も戦略だけ描くのではなく実行部分や実際の業務にまで入り込むようになるなど、支援の幅はより広がりつつあります。

その最たる例は、アクセンチュアが支援の幅を広げたことです。戦略や答えを出すことだけがコンサルティング業界の役割ではなく、意思決定からいかに関係者を巻き込んで実現していくかが求められている気がします。

生成AI時代のJDSC社の戦略について

塚田:では生成AIの脅威も踏まえて、AI活用を強みとする御社だからこそ掲げているAI活用の戦略などあれば教えていただけますか。

佐藤:先ほど言ったように、やはり描いた絵をいかに実現していくかに価値を置くことを意識して支援を行っています。もちろん実行支援はこれまでも重視していましたが、この価値がより加速していくと感じます。

例えば絵を描く役割や分析をする役割にも、AIを活用する中でギャップがあることに私たちは課題を感じていました。ではより実行に移すために当社がどうしたかというと、「お客様のカルチャーと照らし合わせるとこの施策が良い」など人間でしか判断できない部分に重きを置いたのです。また、AIでは予測できない不確実性に対応するのも、人間にしかできないことでしょう。不確実性とともにお客様と進めていく体制づくりにすることが非常に大切だと考えています。

さらに忘れてはならないのが、絵を描いたものを実行するまでがお客様とのお付き合いではありません。例えば業務システムの導入ではその後の社内に浸透したかどうかまで確認するといったように、AIにはできない「実行のその先」を見ていくことも、当社が重要視している部分です。

塚田:AIの進化が進んで一人でできることも増えてきますが、だからこそお客様やチームとコミュニケーションをとる力が必要になってくると感じます。

佐藤: まさにコミュニケーション能力も今後さらに必要になると考えます。ただ強引に実行するのではなく、気持ちよくスムーズに実行に移せるかどうかに今後の付加価値が移っていくと考えます。そういった意味で、今後もコンサルタントの価値が大きく変容していくでしょう。

塚田:AIが発達するにつれて人間力を強化することが求められるというのは、興味深いですね。

佐藤: おっしゃる通り、AIが進化することで人間しかできない部分がより浮き彫りになり、その力が今後求められていく気がします。

塚田:そのほか御社で生成AIを活用する中で意識していることはありますか。

佐藤: 専門性や業務について、これまで以上に深く知らなければいけなくなると考えています。どうしたら良いかという答えはAIが比較的早く教えてくれるため、その答えを現場の方へどれだけ納得してもらえるか、さらにその答えをいかに自分事に落とし込み、生々しく話せるかが重要視されると思います。

当社のお客様であるダイキン工業さんに話をうかがった際、「゙空調機器自体を理解することに非常に熱心だった」と当社を評価いただいたことがあります。データを扱う会社はどうしても数字から得るものだけで予測を出したり、機械的にプロセスを出したりしてしまいますが、そこから一歩踏み込み、人間と関わる上で理解を深めて支援を行えたと感じています。このような対人間という部分により価値が付いていくことも身をもって体感しました。

塚田:うわべだけではない支援ということですね。

今後も生き残るコンサルタントとは?

塚田:AIを活用したコンサルティングを実行する中で、今後も生き残るコンサルタント像について教えてください。

佐藤: 一言で言うならば「実行力」あるいは「実現力」のある人が生き残っていくと考えます。ただ、ここでいう実行や実現は個人でできる話ではなく、いかに多くの人を巻き込めるかが重要です。社内や取引先、社会全体といったように、どれほど巻き込んで実行や実現に移していくかが肝になるでしょう。戦略やデータだけ分かっているのではなく、戦略もデータもマルチに知見のある方がコミュニケーションを深く取れるのだと考えます。

加えて実現者でなければならないため、パッションも非常に重要です。何らかの障害にぶつかった際も自分事としてとらえ、根気強く実行に挑戦できる方が生き残っていくでしょう。

塚田:やはり最後は人間でしか持てない感情が実行支援を突き動かすのですね。佐藤さん、本日は誠にありがとうございました。

佐藤:こちらこそ貴重な時間をいただき、ありがとうございました。

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