Profile

2001年生まれ、大阪府在住。大阪府立夕陽丘高等学校在学中、2018年11月に日本経済大学主催「2018年高校生未来開発ビジネスアイデアコンテスト」で最優秀賞を受賞。2019年2月、株式会社BOUQUET LABを設立。自社イベントをプロデュースするなど、精力的に活動。2019年7月から株式会社MOVEDにも参画し、プロモーションマネージャーとしてイベント運営、新規事業を担当している。2020年3月、大阪府立夕陽丘高等学校を卒業予定(その後、2020年3月に卒業)。

※役職は、インタビュー実施当時(2020年02月)のものです。

株式会社BOUQUET LAB(ブーケ・ラボ)
2019年2月設立。主な事業内容は、学生向けイベント・サービスの企画・運営。イベントを通じ、若い人々が楽しみをもち生きられるような「生きがい」づくりの支援をミッションに掲げ、サービス・イベントを企画している。2019年4月には、学生に「働く」ことを伝えるイベント「BOUQUET AWARD Vol.1」を開催。高校生・大学生が審査員となって企業の会社説明を審査するという内容で、多くの来場者を集めた。

働き方が多様化する現代の日本社会では、起業して自分の会社をもつという働き方にも多くの関心が集まるようになりました。学生起業家も珍しくないなか、中学生や高校生で起業するケースもみられるように。高校2年生で株式会社BOUQUET LAB(ブーケ・ラボ)を設立し、代表取締役社長を務める山口真由さんもその一人です。

さらに山口さんは、前編でインタビューした渋谷雄大さんの会社・株式会社MOVED(ムーブド)のメンバーとしても活動しています。そんな山口さんに、高校生として学業に勤しむかたわらで起業するに至った経緯、MOVEDでの仕事、今後やってみたいことなどについて、幅広くお話をうかがいました。

 

高校生である自分が「今」働くには、起業が最善の選択だった

山口さんが高校に通いながら働きたいと思った理由、そこでアルバイトではなく起業に踏み切った理由を教えてください。

山口さん(以下、敬称略):私は小さいころから、働くことに関心がありました。また、学生時代に関われるコミュニティというと、中学校なり高校なり、どうしても狭いものになってしまいがちです。私は働くことを通じて、もっと広く社会と関わりをもちたい、触れ合っていたいと考えました。

インターンシップへの参加も考えましたが、大阪で全日制の高校に通いながら参加できるインターンシップを当時の私は見つけることができませんでした。自分が今働くには、起業が一番早い選択肢だったのです。

起業に対して、それほど強い関心を抱くようになったきっかけは?

山口:祖父が経営者で、会社を運営する祖父の姿を比較的近いところで見て育ったことです。小さい規模の会社ではありましたけれど、会社経営や事業の運営を手がける祖父の様子を見ながら、「私が祖父の立場だったらどうするかな」「どういう方針で会社を動かしていくかな」といったシミュレーションをしていました。

並々ならぬ思いがおありだったことがうかがえますが、そこから実際の起業へと一歩踏み出す行動力がすばらしいですね。

山口:高校に入学してから、起業家講座などのいろいろなイベントに参加して勉強していたのですが、それらの場では、日本政策金融公庫の方や数々の起業家の方々とお会いする機会がありました。皆さん真剣に話を聞いてくださって、私のビジネスプランにさまざまなフィードバックをくださいました。そうしてプランをブラッシュアップしていくうちに、起業する、事業を興すという世界への興味がどんどん膨らんでいくのを感じました。

同時に、交流する起業家の皆さんの“背中”を見て、「私もこうなりたい」という奮起の気持ちが生まれました。年の近い先輩起業家も多く、そういう挑戦もありなのだなと思うようになったのです。そしてその年の11月、私は「2018年高校生未来開発ビジネスアイデアコンテスト」(日本経済大学主催)で最優秀賞を受賞することができました。それを後押しに、起業しました。

ご両親は反対しませんでしたか?

山口:小さいときから、私がやりたいと言ったことなら遊びのことでも応援してくれる両親でした。起業についても「もしかしたら起業するかも」「ビジネスアイデアコンテストで優勝したら起業するかも」と言い続けていましたので、両親にとっても「とうとうこのときが来たな」という感じだったのだろうと思います。「高校ではちゃんと勉強して」と、それだけ言われました。

 

「高校生」と「起業家」を両立することへの評価

高校生で起業すると話したときの周囲の反応についてうかがえますか。

山口:起業家の方々は、基本的には応援してくださる方が多かったです。私が起業家だと知ると、「高校生」ではなく「起業家」として接してくださるような方が本当に多く、環境に恵まれているなと感謝しています。

学校にいるときは、聞かれない限り仕事の話はしませんし、友達もこれまでどおりに接してくれました。もともと「起業家」より「高校生」の期間のほうが長いですし、友達も私がそういう仕事をしているのが信じられないぐらいの感覚だと言っています。私がテレビに出たのを見てくれて、「本当に仕事してるんだ」と思ったと話してくれました。

ネガティブな反応はありませんでしたか?

山口:そういう反応もありました。「高校生起業家」という肩書きは私が名乗っているものではありませんが、メディアなどではそのように表されることもありますし、起業した高校生に対して「すごいね」と声をかけてくださる方もいらっしゃいます。そういうところをほかの方が見聞きされて、私が調子に乗っているように捉えられてしまったことも少なくありません。インターネットの掲示板で私に関するネガティブな書き込みを見てしまったときは、悩んで人に相談もしました。

それでも、家族や友達、学校の先生、知り合った起業家の方々が応援してくださいましたし、なにより私自身が「そんなつもりではない」と思っていましたので、外からの評価を必要以上に気にする必要はないと思い、進み続けることができました。ネガティブな反応のダメージ以上に、広がった社会で出会った方々から得たものはとても大きいです。

BOUQUET LABではどのような事業を?

山口:当初考えていたのはファッション系のECサイトでしたが、学業との並行などで問題が生じて、一旦方向転換することに。それで、サービス・イベントの企画を中心に進めることにして、開催したのが「BOUQUET AWARD Vol.1」です。

これからも、チャンスを提供できるサービスやイベントを企画していきたいです。

 

起業以外の「働く」を経験できるMOVEDでの仕事

山口さんは現在、ご自身の会社の仕事をしながら、渋谷雄大さんが社長を務める株式会社MOVED(以下、MOVED)でも仕事をしていらっしゃいますね。

山口:2019年5月に始まった「よこぜプレゼン部」というイベントがあります。これは埼玉県横瀬町を舞台に、社会で活躍する高校生・中学生がプレゼンするというイベントなのですが、この「よこぜプレゼン部」のオフィシャルスポンサーがMOVEDです。そして私は、第1回イベントの登壇者としてお声をかけていただきました。

イベント開催前には、渋谷さんやMOVEDメンバーによるプレゼントレーニングを受講でき、その様子はMOVEDのブログにも掲載されています。MOVEDへお誘いいただいたのはイベント後、2019年7月のことです。渋谷さんからご連絡をいただき、私もぜひ参加させていただきたいということで話が決まりました。

全員業務委託で働くMOVEDについて渋谷さんからお話をうかがいましたが、山口さんもそのおひとり。MOVEDのなかで担っていらっしゃる役割を教えてください。

山口:新規事業を立ち上げるチームに入っています。今後機会があれば、MOVEDが関わるイベントの仕事にも携わることができればと思っています。

MOVEDは完全リモートワークですが、そういった仕事のやり方に抵抗はありませんか?

山口:私にとってMOVEDでの仕事は、自分の会社以外で働く初めての経験です。そういう意味では、リモートワークかどうかにかかわらず未知の領域。どうなるかなという不安はありました。でも、今はもう慣れています。

渋谷さん以外のメンバーの方とはお会いになりましたか?

山口:2019年11月に東京でサイボウズのイベント「Cybozu Days 2019」があり、そこで多くのメンバーの方にお会いしました。サイボウズのイベントということで渋谷さんがいらしていて、そこにメンバーの皆さんが集まっていました。私もお伺いして、ご挨拶しました。それまでずっとチャットツールを使って話をしていた方々が目の前にいらして、「ついにお会いできた」という感じがありました。

リモートワークの弊害を感じることは?

山口:チャットのみであればどうしても、話が進みにくくなるところはあるのかなと思います。直接話をしていたら、もっと速く意思決定できただろうなと感じることはあります。けれど、チャットで支障があるときはZoomを使って話すことができますし、総合的には、皆さんそれぞれの仕事などがあるなかで、バランスよく仕事できている環境だと感じます。こういう働き方を実現できる時代、こういうかたちで仕事を進められることは素晴らしいことだと感じます。

 

いろいろ経験して「自分の選択」をしていきたい

山口さんは、これまで「学生」「BOUQUET LABの社長」「MOVEDのメンバー」という3つの“顔”をもって活動してこられましたが、この2020年3月に高校を卒業されます。今後の活動について考えていることを伺えますか。

山口:自分の選択肢の幅を広げるためにも、大学でもっと多くの学びに出会い研究し、今後のことを決めていきたいなと思っています。

社会には雇用されての働き方や、フリーランスとして働くといった選択肢もあります。今後も起業家・経営者であることにこだわっていきたいとお考えですか?

山口:働き方にはこだわりはありません。起業したいと考えていたのは、単純に事業をつくって運営していくことにフォーカスしていたからであって、経営者になりたいという発想からのものではありませんでした。

祖父は起業家ですが、両親は雇用された働き方をしていて、私はどちらの姿も見ています。働き方は、そのときの自分の生活スタイルにあったものであれば、それでいいのではないかと考えています。私がこれからどのような道を歩んでいくことになるかわかりませんが、いろいろな働き方を経験してみたいですし、これからもいろいろな挑戦をしていきたいです。

それと、スタートアップという“世界”には、これからもずっと関わっていきたいなという思いがあります。海外のスタートアップについても、知識を増やしたいです。

スタートアップに関わりたいというのはなぜ?

山口:厳しい世界で諦めずに戦い、時代を変えるような素晴らしいサービスをつくっていらっしゃる起業家の方々が、社会を変えていく瞬間を目の前で見られる、そのダイナミズムに私も触れていたいんです。

働くことで広い社会と関わりたいとおっしゃっていましたが、実際いま、山口さんの世界は相当広がっているのではありませんか。

山口:そうですね、いろいろな業種、職種の方にお会いして、お話を伺う機会に恵まれました。痛感したのは、「外から見聞きした情報」と「自分の経験で得たもの」は全然違うのだなということです。

なんとなく知っていた業界のことも、実際そこで働いている方の仕事を拝見すればイメージが変わります。偏った意見に出会い、それが全てなのだと信じることは誤った先入観を築いてしまうのですが、実際には人やケースによりますし、受け取り方は千差万別です。

私は、私が体験して得たもので判断したい。人に聞いた情報でイメージを決定するのではなく、私が見て聞いて会って感じたもので一つひとつ判断していくのが大切だなと思っています。

 

< 前編:1人で始めた会社が、アメーバのような生命体に。そこにあるのは「多様な働き方の応援」の思い>