Jリーグの地方創生プロジェクトで実感した、専門性を社会課題に生かす独立コンサルタントの働き方
2026.6.30 Interview
近年は行政とスポーツチームがタッグを組み、地方創生に取り組むという事例も日本で急増しています。
こうした中、Jリーグが手掛ける社会連携活動「シャレン!」は、JリーグやJクラブが地域と手を組み、多様な社会課題に取り組む活動として注目を集めています。テレビ東京系列のテレビ番組「田村淳のTaMaRiBa」と「シャレン!」がコラボレーションした地方創生プロジェクト「シャレン!ユース」では、全国のJクラブから選出された6つの高校生チームが、地域課題の解決策を提案するアイデアピッチ大会が行われました。
このプロジェクトにおいて、2025年は「湘南ベルマーレ」とタッグを組んだ「湘南一ツ星高等学院」が参加校に選出。同番組のスポンサーを務めたみらいワークスは、同校サポート体制との円滑な進行を強化するため、独自のプラットフォームを通じてプロフェッショナル人材の参画を呼びかけました。結果、厳選された5名のアドバイザーが合流。その一人として、戦略コンサルタントとして活躍する関田力さんが参画することになりました。
SIer出身の関田さんは、約10年間にわたり大手コンサルティングファームに勤務した後に独立。現在はITソリューションの導入支援から、必要な機能を見極め、限られた資源でより製品・サービス・事業の価値を高めるバリュー・エンジニアリングの手法を用いた経営コンサルティングまで、クライアントの課題に応じた幅広いアプローチで企業の支援を手掛けています。
「ライスワーク(生活のための仕事)」と「ライフワーク(自己実現のための仕事)」の両輪でビジネスと社会貢献の双方に挑む姿がたたえられ、当社が主催する第4回「プロフェッショナル アワード」では個人賞を受賞しました。今回のプロジェクトへ参加した背景や、働き方に起きたパラダイムシフトについて話を伺いました。
専門性をどこに生かすかを自分で選ぶ。独立後に広がった地域貢献の可能性
独立後もビジネスコンサルタントとして、さまざまな案件を手掛ける関田さん。普段案件を受ける際には、報酬よりも重視していることがあると言います。「数字を追いかけるのが一般的なコンサルタントの姿だとしたら、私は少し異端かもしれませんが、正直なところ単価や報酬はあまり気にしたことがないんです。こちらが提供するものを理解してくれるか、共感できるテーマか、そういうことを大切にしています。困っている人に対して自分のできることをしていたい、そういう思いが根底にあるんです。
これは大手ファームから独立した今の立場だからこそ、柔軟に選択できる強みだと思っています。そういう意味では、普段のクライアントは中小企業が多いですね。やはり中小企業の多くが、予算も限られていますしさまざまな課題に直面しています。そういうところに役立ちたいという気持ちがあります。『シャレン!ユース』も、自分のできることを提供したいという思いで参加しました。」
スポーツビジネス、湘南、高校生――3つの要素が掛け合わさった必然のプロジェクト
スポーツビジネスのコンサルティングの案件も手掛けている関田さんですが、今回のプロジェクトに関心を持った背景には、競技そのものへの好き嫌いを超えて、地域に根ざしたスポーツクラブがどのように価値を生み出し、持続的に発展していくかという問題意識があったと言います。「サッカーは人気の高いスポーツですが、トップチーム以外となると経営が大変な小規模のチームがたくさんあります。そういうところに関心を持ちました。」
もともと独立する前から、スポーツビジネスの価値を上げるための研究をしていたという関田さん。「ドイツでスポーツビジネス研究発表をしたこともあります。そういう意味では、スポーツビジネスに関わる案件なので、やってみたいと思いました。」

また今回神奈川県の湘南という土地で、高校生と一緒に取り組むプロジェクトという点も参加のきっかけとなったそうです。「湘南という地域は友人が多く住んでいて、よく訪れます。ですから僕自身にとってもともと縁のある場所なんですよ。
また高校生や大学生に向けて、講義やレクチャーをした経験もあります。僕が今メインでやっているバリューエンジニアリングという方法論は、自分の世界を変えてくれました。この考え方そのものはすごくわかりやすいので、ぜひ若い世代に伝えていきたいなと思っていました。
スポーツビジネスと湘南と高校生、この3つの要素が組み合わさった案件はなかなかありませんから、ぜひやってみたいと思いました。」
子ども扱いせず「対等なパートナー」として向き合う。高校生の変化を支えたプロの伴走
プロジェクト発足当時は、どのような結果になるのか戸惑いもあったという関田さん。「高校へ何度か赴き、ディスカッションの場に参加しました。正直言うと最初は、うまく最後まで持っていけるか心配でした。限られた時間で、自分に何を期待され、何を伝えたらいいのか、ちょっと見えていなかったんです。」
しかし高校生たちの最後のアウトプットを見た際には、感動のあまり涙が出たと言います。「最後はテレビ収録当日だったのですが、ものすごく心が動かされましたね。実は前日のリハーサルの時点では、まだ課題も多く、高校生たちはしっかりした発表ができていませんでした。
でも翌日の本番になったら、みんな話す内容がガラッと変わっていて、すごく驚きました。短期間でこれほど成長できるものなのかと思いました。
また本番後に反省会が行われたのですが、その場で高校生たちは良かったことだけではなく、何が大変だったのかを率直に話していました。もし僕がその立場なら、反省会とはいえあまりネガティブなことは言えないと思うんです。みんなの正直な気持ちを聞いて、本当に頑張ったんだなと、こみ上げてくるものがありました。」
関田さんはプロのコンサルタントとして豊富な知見を惜しみなく高校生に提供しながらも、高校生たちを子ども扱いせず、常に同じ目線で向き合っていました。しかし関田さん自身は、あまり意識していなかったそうです。「高校生や大学生と接する機会はこれまでも何度もあったので、慣れているということはあったかもしれません。ただ学生に限らず、普段クライアントと話をするときも基本的に相手の立場に近づくようにしています。現場の方、中間管理職の方、経営者の方、それぞれの方とお話をしますが、相手の立場や文脈を理解し、同じ目線で対話することを大切にしています。そういうことを普段からしていたから、今回もそうだったのかなと思います。
もちろんそれがいい時もあればそうではない時もあるので、うまく使い分けなければいけないと思っています。」

報酬に関係なくやりたい仕事を選べる。この働き方がいい
これまで培ったスキルや経験を生かし、今回のような社会課題解決のプロジェクトに取り組む関田さん。生活の糧を得るための仕事「ライスワーク」と自己実現・社会貢献のための仕事「ライフワーク」をどう両立させているかお聞きしたところ、意外にも区別をしていないそうです。「僕の場合、最初にお伝えした通り、金額で仕事を選んでいないんです。ですから、ライスワークかライフワークかという区別を、そもそもしていないんですよね。
もちろん時間的な制約はありますが、直感でやってみたいと思ったら挑戦する。そういう働き方です。これは独立した今だからこそできることですよね。」
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