教員の9割が隠れ残業、外部人材による支援の満足度は37.6%/小学館調べ

小学館は2025年7月29日、教員の勤務実態に関する調査結果を発表しました。勤務時間や休憩時間、休日の勤務状況、外部人材による支援状況などを聞いています。
出勤してから退勤するまでの勤務時間を聞いた結果が図1です。
図1:勤務時間(出勤から退勤するまで)は、平均でおよそ何時間ですか?(出典:小学館)
「11時間以上12時間未満」がもっとも多く、1663人でした。10時間以上と答えた割合は8割超で、4人に1人が12時間以上勤務しています。
なお、自由回答の中には、「土日=休日という概念が存在しないくらい仕事が多い」、「仕事量が多すぎてストレスと疲労がたまり、育児が思うようにできない」、「65歳まで延長された定年退職まで続けられる自信がない」などの声がありました。
勤務時間中に実際に休憩している時間を聞いた結果が図2です。
図2:上記の勤務時間の間に、「実際にとれている」休憩時間は合計で何分程度ですか?(出典:小学館)
「ほとんどとれない」と答えた人は3522人で、全体の65.6%を占めます。「15分未満」(19.3%)を加えると、84.9%の人が十分な休憩を取れずにいることが分かります。労働基準法が定める休憩時間(45分以上)を確保する人は1.5%にとどまります。
1週間のうち、持ち帰り残業する日数を聞いた結果が図3です。
図3:出勤前や退勤後、「持ち帰り残業」をする日は週に平均でおよそ何日ありますか?(出典:小学館)
「ほとんど毎日」と答えた人がもっとも多く、1954人でした。「3~4日」と答えた人(868人)を合わせると、回答者の半数超が週3日以上、持ち帰り残業していることになります。理由を聞いたところ、「学校では集中できないので持ち帰らざるを得ない」、「家庭の事情で早く帰りたいが、仕事が終わらないので持ち帰るしかない」などの声がありました。
1ヵ月のうち、休日に仕事をする日数を聞いた結果が図4です。
図4:1ヵ月の中で、休日に仕事をする日は平均でおよそ何日ありますか?(出典:小学館)
「3~4日」と答えた人が1637人でもっとも多く、「1~2日」(1106人)、「5~6日」(956人)と続きます。休日勤務も持ち帰り残業も「ほとんどない」と答えた人は401人で、回答者の9割以上が持ち帰り残業か休日勤務、もしくはその両方をしていると推察されます。
では時間外勤務が発生する要因は何か。理由を聞いた結果が図5です。
図5:時間外勤務が発生する主な要因は何ですか?(出典:小学館)
「1日の業務量がそもそも8時間以内にできる設定ではないため」と答えた人がもっとも多く、4469人でした。以下、「授業準備や記録は平日の日中に集中して取り組めないため」(3294人)、「会議や打ち合わせが放課後に設定されているため」(2983人)と続きます。なお、有効回答数5233人のうち、89.4%が複数の要因を選択し、時間外勤務を抜本的に解消するのが困難であることがうかがえます。
外部人材を用いた支援策の満足度を聞いた結果が図6です。
図6:国や自治体が導入している「外部人材による学校支援」(教員業務支援員、学習指導員、特別支援支援員など)に、どの程度満足していますか?(出典:小学館)
「導入されていない」(537人)と答えた人を除くと、「全く満足していない」と「あまり満足していない」を合わせた人は2968人で、不満足の割合は62.4%でした。「とても満足している」と「ある程度満足している」を合わせた満足な割合(37.6%)を約25ポイント上回ります。満足していない理由で多かったのは、「人手が足りない」や「質のばらつき」でした。

【調査概要】
調査対象:全国47都道府県の教育関係者
調査期間:2025年5月20日~6月30日
有効回答数:5412人(男性:1605人、女性:3472人、その他・無回答:335人)
回答者の年代:20代:995人、30代:1358人、40代:1631人、50代:1127人、60代以上:219人、無回答:82人
回答者の校種:小学校:4628人、中学校:373人、特別支援学校:141人、高等学校:73人、義務教育学校:62人、教育委員会:19人、中等教育学校:8人、その他:30人、無回答:78人

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