メンバーズは2025年4月24日、ビジネス変革や新規事業開発などの「攻めのDX」に関する調査結果を発表しました。大手企業の経営者や役員、管理職301名を対象に、DXの達成度や課題、外部委託の実態などを聞いています。
具体的にどのようなDXに携わっているのかを聞いた結果が図1です。

「プロセス改善」と答えた人がもっとも多く、67.4%でした。以下、「ビジネスモデルの変革・新規事業」(45.8%)、「カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上・改善」(35.2%)と続きます。
DXに関わる人材は十分足りているのかを聞いた結果が図2です。戦略、企画、実行の工程ごとに聞いています。

戦略、企画、実行の全工程で、「大幅に不足している」「やや不足している」が90%を超えました。とりわけ実行工程では「大幅に不足している」の割合が46.2%と他の工程より高く、人材不足が実行工程に支障を来していることが読み取れます。
攻めのDXを成功させるために重要なことを聞いた結果が図3です。経営層、部長層、課長・主任層の役職別に聞いています。

経営層の場合、「明確なビジョン・目標と共通認識」を重視する人がもっとも多く、64.2%でした。「経営層のコミットメント」も59.7%と高い割合でした。一方、「自社データの効果的な活用」(46.3%)や「AIやクラウドなど最新技術の活用」(41.8%)といったテクノロジーを活用すべきと考える割合も、他の役職より高い傾向となっています。
部長層の場合、「専門スキルを持った人材育成と採用」の割合が48.4%で、他の役職より高くなっています。一方、経営層が重視していた割「明確なビジョン・目標と共通認識」の割合は低く、必ずしも重要と考えていないことが推察されます。
課長・主任層の場合、「継続的な変化・改善」の割合が49.1%で、他の役職より高くなっています。ボトムアップでDXを推進する際に重要な項目の重視度が、他の役職より高い傾向です。
DXを進めるにあたって内製が多いのか、外部委託が多いのかを聞いた結果が図4です。

戦略工程の場合、「内製が多い」が49.5%で「外部委託が多い」(26.3%)を大きく上回りました。これに対して実行工程では「内製が多い」が34.5%で、「外部委託が多い」(34.6%)の割合を下回りました。戦略や企画工程に比べ、実行工程で外部委託する割合が高いことが分かります。
内製した場合と外部委託した場合の達成度を聞いた結果が図5です。図3のDXを成功させる重要な要素別に聞いています。

多くの項目で「外部委託が多い」の達成度が「内製が多い」の達成度より高くなっています。内製化するだけでは、DX推進の鍵を握る重要な取り組みを必ずしも達成できないことが分かります。とりわけ内製化した場合、「専門スキルを持った人材育成と採用」の達成度が28.3%ともっとも低くなっています。
一方、「迅速で柔軟なプロジェクト推進、アジャイル開発」の達成度は、内製と外部委託では18.8ポイントの差があります。「外部委託が多い」の割合が55.1%なのに対し、「内製が多い」の割合は36.3%にとどまります。実行工程に限ると、内製化ではなく外部委託の方が達成度を高められることが分かります。
外部委託の満足度を聞いた結果が図6です。支援内容別に満足度を聞いています。

「満足」「やや満足」を合わせた割合がもっとも高かったのは「常駐など密なコミュニケーションを取れる支援体制」で、合わせて44.9%でした。もっとも低かったのは「費用対効果」で、合わせて24.9%でした。
「不満」「やや不満」を合わせた割合がもっとも高かったのも「費用対効果」で、合わせて30.3%でした。その他、「自社内の知見・ノウハウの蓄積への支援」(24.6%)、「自社内の組織連携・変革に対する支援」(24.5%)も不満と感じる割合が相対的に高くなっています。
調査を実施したメンバーズは、攻めのDXを進めるためには内製体制を充実させるべきと訴えます。その上で中長期的に伴走支援する外部委託先との共創を模索すべきと考察します。
【調査概要】
調査方法:アンケート調査
調査対象:従業員数1000人以上の大手企業において、攻めのDX推進に関与している経営者・役員、管理者層(本部長・部長、課長・主任/係長)
サンプル数:301名
配信期間:2025年3月10日(月)~3月13日(木)
【関連リンク】
株式会社メンバーズ
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