経済産業省は2024年10月1日、経済安全保障に関する産業・技術基盤強化のための有識者会議を開催しました。経済安全保障政策に関わる産業界の関係者や有識者、関係省庁が参加し、今後の政策の方向性について情報共有、意見交換しました。
不安定感が増す世界情勢の中、「経済安全保障」という考え方が注目されつつあります。日本では2022年5月に「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」(経済安全保障推進法)が成立。経済を通じて国の安全を確保する取り組みを強化しています。
こうした中、経済産業省では国際環境の変化を踏まえた今後の産業政策の在り方を意見交換する場を用意。2023年から有識者会議を開催し、5日目となる今回は今後の方向性を議論しました。
具体的には、官民連携について協議。その一環として、経済インテリジェンスの強化が示されました。国を脅かす有害活動に関する情報、市場に関する情報、経済や技術動向の分析に関する情報を収集、分析、共有する仕組みを官民連携で進めます。産業界やシンクタンクとリスク分析、対処戦略を共有するコミュニティ構築を目指します。
一方、会議ではコミュニティを支える経済安全保障専門家の育成にも言及。経済インテリジェンスのエコシステムを形成するため、政府内外で経済安全保障の専門家の育成すべきとの考えも示されました。グローバルサプライチェーンを構築する際の脅威やリスクを分析する専門人材などを受け入れる体制づくりを進め、官民一体による戦略立案に取り組みます。

今後は外部専門家による分析を進めるとともに、脅威に対するシナリオやサプライチェーンをより深堀りしていく予定です。分析結果のアップデートを繰り返し、分析結果に基づいた政策に反映する取り組みも進めます。さらに、世界の政府関係者や企業、学者などの相互理解や連携促進を目的とした国際会合の開催も目指します。
【関連リンク】
経済産業省
https://www.meti.go.jp/
経済産業省 貿易経済安全保障局「経済安全保障に関する産業・技術基盤強化アクションプラン再改訂に向けた検討状況と今後の方向性」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/economic_security/05-03.pdf