海外で学び直す「グローバルリスキリング」で、世界で活躍するリーダーを目指す
2024.11.29 Interview

日本でも大きな注目を集める「リスキリング」(社会人の学び直し)。最近は、海外での「グローバルリスキリング」に挑戦するビジネスパーソンも増えています。
コーチング関連のスタートアップ企業に勤める飯田真由さん(24歳)も、グローバルリスキリングにチャレンジしたひとりです。本業の他に副業にも取り組む多忙な飯田さんは、2024年秋に国際団体が主催する海外研修プログラムへ参加しました。
「不安もありましたが、新たな気づきを得ただけではなく自分に自信を持てるようになりました。海外のさまざまな国の方と交流できたことも、大きな財産になりましたね。」と語る飯田さん。今回は、飯田さんが参加したプログラムの内容や得られた効果について、お話を伺いました。
飯田さんがプログラムへ参加するまでの経緯は、以下の記事でご紹介しています。
スタートアップで働きつつ海外での学びに挑戦!「パラレルキャリア」の魅力とは
「グローバルリーダーシップ」を学ぶプログラムに参加

国際基督教大学を卒業後、コーチング関連のスタートアップ企業ZaPASS JAPAN(ザッパスジャパン)株式会社に勤務する飯田さん。今回は一時的に仕事を休み、Global Peace Chainという国際団体が主催するリーダーシップ育成プログラム「Leadership Management & Conflict Resolution」へ参加されました。なお飯田さんは、渡航費以外の費用を団体が負担する「一部奨学枠」に選ばれています。
「イギリスのケンブリッジで行われた今回のプログラムは、リーダーシップの育成というテーマでした。ただ実際には個人にフォーカスしていて、まず自分がどう変化できるか?という内容が多かったですね。最初に運営団体の方から『世界平和というと大きな規模で考えがちだけれど、実際は個人レベルで人と人との間で起こっている』というお話があり、なるほどと思いました。
全体的にびっくりするような新しいことを学んだというより、私がこれまでコーチングで得たものをあらためて整理して深めるものでした。最初は意外に感じましたが、今はすごくいいプログラムに参加できたと思っています。」(飯田さん)

プログラムのメインは3日間の講義で、毎日異なる講師からレクチャーを受けたそうです。
「1日目はモチベーショナルスピーカーの方が講師で、コンフォタブルゾーン(※編集部注:今のスキルでこなせる居心地のいい状況)から抜け出すことの大切さや周囲に助けを求めることの大切さ、周りの人を巻き込むには自分がエネルギーを持って取り組むことが必要、ということを教えていただきました。
2日目はオリンピックに出場経験のある方が講師で、テーマはセルフアウェアネスでした。自分自身をよく理解してマネジメントして、その先に社会全体の気づきや他者とのマネジメントがあるというお話でしたね。
3日目はマインドフルネスのトレーナーもされているビジネスコーチの方が講師で、とてもユニークなものでした。例えば講師が『Joy』という単語を提示して、参加者は目を閉じてその単語で思うこと、感じることを話し合いました。次に『Death』という単語で同じことをしたのですが、当然二つの単語で全く違う結果になりました。
そこから言葉にはパワーがあり、リーダーとしてはそういう言葉のパワーを理解した上で話すべきという内容でした。シンプルなことですが、すごく考えさせられました。
またこの講義では、コンフリクトの解決についても話がありました。当然衝突を好む文化もあれば、避ける文化もあります。衝突自体が悪いものではないという前提で、円滑に進めるフレームワークを教えていただきました。」(飯田さん)
世界70カ国以上の参加者と交流して、あらためて意識したことと

世界各国の人と交流できる点も、グローバルリスキリングの大きなメリットです。今回飯田さんが参加したプログラムでは、世界70カ国から約130人が参加しました。
「グループワークでもカンボジア、ブラジル、コスタリカ、フィリピン、インド、ウズベキスタンなどの方がいて、すごく刺激を受けました。食事や休憩の時など自由に参加者同士で話せる機会も多くて、自分でもびっくりするぐらいみんなと仲良くなれたんですよ。最終日のレセプションでは、日本らしさを出そうと思い浴衣を着ました。周りの人たちからすごく関心を持ってもらえて、うれしかったですね。
また大学内の寮に滞在しまして、ルームメイトはナミビア出身の女性でした。ナミビアの方と会うのも初めてでしたし、アフリカ出身の人と同じ部屋で過ごすのも初めてだったので、貴重な体験でした。」(飯田さん)
海外の方々と交流する中で、飯田さんはあらためて日本という国を意識したと言います。「世界には微妙な関係の国や地域もありますよね。参加者同士は仲が良くても国単位で見るとそういう事情があって、写真撮影の時に国旗を出すのを遠慮するような参加者もいました。
また、ある国の参加者に『あなたの国、知っているよ』と話をしたら『私の国を知っているの?』と驚かれたんです。そういう意味では、日本という国は世界でよく知られていますし、他国との関係も比較的良好なところが多いので、恵まれているとあらためて感じました。」(飯田さん)
リーダーに必要なのは、コンフォタブルゾーンから抜け出すこと

飯田さんは今回、コンフォタブルゾーンから出る大切さをユニークな方法で学んだそうです。
「講師の方が何かを言ったら、参加者全員で大きな声を出してYESと答えるというワークがありました。最初はみんな小さい声なのですが、続けていくうちに大きな声になるんです。
これがコンフォタブルゾーンから出るという体験だったんです。講師の方は『僕もこうして人前で話すのは緊張するけれど、大きな声であいさつした方が全然印象が違うよね』とお話されていました。つまりリーダーとしていい結果を得るには、自分のコンフォタブルゾーンから一度出ていかないといけない、ということを伝えてくれたんです。
これは講師の方の実体験に基づいているそうです。講師の方は恵まれない環境で育ち、逮捕歴もあるとのことで、なかなか就職ができなかったと言います。そこで自らフルーツショップを始めて、エネルギーを持って人と接したら収益が上がったというお話をしてくださいました。すごくわかりやすかったですね。」(飯田さん)
飯田さん自身、プログラムへの参加がコンフォタブルゾーンから出る経験になったと言います。
「私は高校と大学も一部つながっていましたし、インターン先に就職したので、今回のような知らない人たちの中に飛び込む経験は多くありません。英語も母国語ではないので、プログラム参加前は不安もありました。でも実際に参加してみたら内容も面白かったですし、その後も連絡を取り合える友人もできました。本当に参加してよかったと思っています。」(飯田さん)
プログラム参加前にもインタビューに応じてくださった飯田さん。こうした取材を受けることも、飯田さんにとって新たな経験でした。「先日みらいワークスさんに取材していただき記事にしていただいたことも、私にとってはチャレンジだったんですよ。
記事を私のSNSで紹介したところ、しばらく連絡を取っていなかった友達からコメントやメッセージがきました。最初は私なんかがインタビューを受けていいのかな?という気持ちもありましたが、今はいい機会をいただけたと思っています。」(飯田さん)
グローバルリスキリングで、自信が持てるようになった

コーチング関連の会社に勤め、副業としてビジネスコーチも行っている飯田さん。今回のプログラムは、コーチングで学んできたことと親和性が高かったと言います。
「これまで私が学んで理解していることを、グローバルな視点で学べたことは自分にとって大きかったですね。自分の学んできたことは世界で見ても同じ方向性だったんだなと感じることができました。」(飯田さん)
これはリスキリングにおいて、重要なポイントと言えます。新たな学びだけではなく、これまで得たスキルや経験を客観的に見つめ直すことで、自信につながる。またこれが次の新しい挑戦への原動力になります。
最後に、今回の学びをどのように今後に生かすのか、飯田さんにお聞きしました。
「私自身これからどんなキャリアに進むかは、まだ明確に決めていません。ただどんな道を目指すとしても、まずは自己理解を深め、その上で周囲を意識して行動していかなければいけないということをあらためて学びました。
これまで、自分がどう思われるかあまり気にするタイプではありませんでした。でも今回のプログラムによって、自分の言葉遣いや立ち振る舞いをすごく意識するようになりましたね。また世界のさまざまな背景を持つ方と一緒に学んだことで、すごく視野が広がりました。」(飯田さん)
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