スタートアップで働きつつ海外での学びに挑戦!「パラレルキャリア」の魅力とは
2024.8.26 Interview
本業の他に副業や社会貢献活動に取り組む「パラレルキャリア」が、日本でも広がっています。スタートアップに勤める飯田真由さん(24歳)も、パラレルキャリアを実践するひとりです。
飯田さんは本業の傍ら副業でPR会社に関わる他、個人でビジネスコーチとしても活動しています。さらに国際団体が主催する海外研修プログラムにも挑戦。日本人で唯一の奨学枠に選ばれ、この秋にプログラムへ参加することが決まっています。
多忙な中で飯田さんがなぜパラレルワークに取り組み、次々と新たなチャレンジができるのか、その理由についてお聞きしました。
スタートアップに勤務しながら、広報やコーチングの副業もこなす
2022年 国際基督教大学を卒業後、ビジネスパーソン向けのコーチングプラットフォームを運営するスタートアップ企業のZaPASS JAPAN(ザッパスジャパン)株式会社に入社した飯田さん。現在は同社の経営企画チームで働きながら、副業にもチャレンジしています。
「副業としてPR会社のお手伝いをしています。本業も副業もリモートでの業務がメインなので、両立できています。」(飯田さん)
PR会社では、プレスリリースを作成する上で必要なリサーチ業務を主に担当。もともと持っていたリサーチスキルを評価され、声がかかりました。
「実は副業を始めるまで、広報そのものはほぼ未経験でした。本業である経営企画の業務にも一部広報の仕事がありますので、副業で得た経験は本業にすごく役立っています。こういうところは、パラレルキャリアの大きなメリットだと感じます。」(飯田さん)
インターン時代にはZaPASSのコーチングスクールで学んだという飯田さん。この経験を活かし、現在は本業と副業に加え個人でビジネスコーチとしての活動もしています。
「まだそれほどクライアントは多くありませんが、私と同じような社会人になって1~5年目の方をメインに、コーチをさせていただいています。」(飯田さん)
もともと、ZaPASS社の『自分らしく笑える大人と、未来が楽しみな子どものために』というビジョンと、そのビジョンを達成するのために、コーチング事業を行う一貫性に魅力に感じて入社しました。しかし、入社する前はコーチングについての知識はなかった飯田さんです。インターン中にコーチングの魅力に気づきました。
「コーチングを受けているクライアントの方々がすごく魅力的でした。皆さん仕事も人生も真剣に取り組んでいらっしゃって、かつ成果も出されている。それなのに私のような年下の人間にもフラットに接してくださいました。こうしたクライアントの皆さんを見てコーチングに興味を持ち、約3年間のインターンを経てZaPASSに入社しました。
20代でパラレルキャリアに取り組んできた飯田さん。このような働き方に最初から抵抗はなかったのでしょうか。
「ZaPASS代表の足立も、かつて他の会社で社員として働きながらZaPASSを起業しました。私はインターンの頃にそれを近くで見ていましたから、パラレルキャリアには全然抵抗がないですね。」(飯田さん)
国際団体主催のリーダーシップ育成プログラムに挑戦
パラレルキャリアを実践する飯田さんですが、さらに海外で学ぶという新たなチャレンジを決意しました。この秋には、Global Peace Chainという国際団体が主催するリーダーシップ育成プログラム「Leadership Management & Conflict Resolution」への参加を予定しています。
グローバルピースチェーンは、世界平和に貢献することを目的に2018年設立された団体。この団体では世界中の若者を対象に研修プログラムを行っており、飯田さんが参加するプログラムは2024年9月にイギリス・ケンブリッジで行われます。
プログラムの参加者は約130人。自費で参加する人もいれば、団体が費用を負担する奨学枠もあります。飯田さんは渡航費以外の費用を団体が負担する「一部奨学枠」に選ばれました。全額奨学枠と一部奨学枠をあわせた全奨学枠の中で、日本人は飯田さんただひとりだそうです。
「このプログラムは社会問題の解決を大きなテーマにしつつ、リーダーシップの育成を主要な目的としています。時事問題を学ぶというよりは、応用できる理論やスキルを学ぶ感じですね。私もそこに興味を持ち、参加したいと思いました。また世界中から集まる参加者の皆さんと交流できるところも、すごく楽しみです。」(飯田さん)
以前から海外で学びたいという強い思いがあったという飯田さん。大学生時代には短期留学に参加したことはあったものの、予定していた交換留学はコロナ禍の影響で中止となってしまいました。
今回念願かなって、海外での学びが実現。ただし社会人にとってこうした海外研修プログラムに参加するというのは、勇気のいることでしょう。飯田さんの場合、背中を押したのはコーチングでした。
「プログラムの申し込みに費用がかかることもあって、最初は迷いました。そんな時にたまたまその月のコーチングセッションで決めたアクションが『やりたいことをやってみる』というもので、これがきっかけとなりました。このコーチングセッションがなかったら、申し込んでいなかったと思います。」(飯田さん)
数日間のプログラムのため、参加中は基本的に他の仕事を休むという飯田さんですが、もともとリモートワークが主体のため、緊急時の対応はできる体制にしておくそうです。こうした仕事への対応をしっかりしておくことも、やりたいことをやるために重要なポイントです。
「プログラム終了後も1週間ほどヨーロッパに滞在予定なのですが、その期間はワーケーションという形で、仕事もする予定でいます。」(飯田さん)
挑戦によって人との縁ができ、これが次のアクションにつながる
高校生の頃から「新しいことでも、とにかくまずやってみる」という考えだったという飯田さん。高校生時代は「キャリア甲子園」というイベントに友人とチームを組んで参加し、審査員特別賞を受賞しました。「キャリア甲子園」とは企業が出したテーマに高校生がチームで挑むという、一種のビジネスコンテストです。
飯田さんはこのキャリア甲子園にチャレンジする前、「エコノミクス甲子園」という経済知識を問うクイズイベントに出場した経験がありました。しかし「エコノミクス甲子園」では、地方大会止まりで全国大会へは進めませんでした。その帰り道に友人から「キャリア甲子園」の話を聞き、地方大会で終わった悔しさもあってキャリア甲子園への挑戦を決意しました。
「エコノミクス甲子園はうまくいかなかったけれど、そのチャレンジがあったからこそ、次のキャリア甲子園につながりました。興味のある活動に参加すると、人との縁ができて、それが次の行動につながる。そういうサイクルがあることを実感しました。」(飯田さん)
飯田さんの周囲にいる人たちも、一旦仕事を休んで海外の大学院に留学する人など、チャレンジする人が多いそうです。やはりポジティブな人の周りには、やはり同じ雰囲気の人が集まります。これによって縁がつながり、新たなチャレンジにつながるのでしょう。
Doing(行動)とBeing(在り方)を併せ持つ人がプロ
新たなチャレンジを続けていくためには、「なりたい自分」という目標を持つことも重要です。飯田さんはコーチングを通じて、プロフェッショナルになるためには2つの要素が大切だと感じていると言います。
「コーチングの世界では、Being(在り方)とDoing(行動)に分けて考えることがよくあります。私のイメージするプロフェッショナルは、そのどちらも持っている人ですね。
ビジネスにおけるプロフェッショナルというと、幅広い知識と何らかの専門性や強みがあるというイメージがありますよね。これはDoing(行動)面でのプロフェッショナルだと思います。ただし、それだけではなくてBeing(在り方)面も大切です。これは仕事や関係者の方に向き合う姿勢、また自分のキャリアや人生に対する姿勢のことです。この2つを併せ持つ方が、本当の意味でのプロフェッショナルだと思います。」(飯田さん)
飯田さんに現状を伺うと、「まだまだ私はプロフェショナルではありません」という答えが返ってきました。
「私自身Doing面で言えば、まだこれで食べていけるというスキルが十分ではないと感じます。Being面においても、マネジメントや人生経験もまだまだだと感じています。」(飯田さん)
客観的に自己分析をした上で、成長に向けてチャレンジを続ける飯田さん。海外プログラムへの参加も、やはり将来のキャリアを見据えた目的がありました。
「今回海外プログラムに参加したのは、今後ジェンダーや働き方といった分野でリーダーシップを発揮していきたいと思っているからです。現在はコーチングで個人の内面の変化から行動の変化というところをサポートしていますが、今後はより広い、社会的な変化を起こしていけるような人になりたいと思っています。」(飯田さん)
とはいえ将来のキャリアパスについては、いくつか見えてきているものの、まだ決めきれていない段階だと言います。
「副業でチャレンジしているような広報領域の仕事もすごく楽しいですね。その一方で本業ではプロダクトにも関わっていて、プロダクト関連のキャリアにも興味があります。」(飯田さん)
パラレルキャリアによって多くのチャレンジを続けているからこそ、キャリアの選択肢が広がっていると言えるのではないでしょうか。
<写真>
TOP、6枚目:撮影:伊藤圭、撮影場所:MIDORI.so NAGATACHO
2、4、5枚目:本人提供
3枚目:撮影:@SHIN、撮影場所:MIDORI.so NAGATACHO
<後編>
海外で学び直す「グローバルリスキリング」で、世界で活躍するリーダーを目指す
Ranking ランキング
-
「おカネをもらう=プロフェッショナル」と考える人が見落としている重要な視点
2024.6.17 Interview
-
さすがにもう変わらないと、日本はまずい。世界の高度技能者から見て日本は「アジアで最も働きたくない国」。
2018.4.25 Interview
-
評価は時間ではなくジョブ・ディスクリプション+インパクト。働き方改革を本気で実践する為に変えるべき事。
2018.4.23 Interview
-
時代は刻々と変化している。世の中の力が“個人”へ移りつつある今、昨日の正解が今日は不正解かもしれない。
2018.4.2 Interview
-
働き方改革の本質は、杓子定規の残業減ではなく、個人に合わせて雇用側も変化し選択できる社会になる事。
2018.3.30 Interview