佐賀市の異業種11社が共同でカーボンニュートラル推進、CO2削減量やカーボンオフセットの実績を示した年次レポート公開

佐賀市に拠点を置くSAGA COLLECTIVE協同組合は2025年7月22日、環境に配慮した活動状況をまとめた年次レポート「サステナビリティレポート2025」を発表しました。同組合に参画する組合員(企業)のカーボンニュートラルに向けた取り組み内容やCO2の削減量などを公開しています。

SAGA COLLECTIVE協同組合は、佐賀県佐賀市に拠点を構える企業で構成する異業種連携の組織。組合員は2021年度の発足時点で10業種11社でしたが、現在は11業種、12社が共同でカーボンニュートラルなどに取り組みます。なお、組合員の半数超が創業100年以上の企業で、諸富家具や有田焼、佐賀海苔などの「ものづくり」を手掛けるメーカーで構成しています。

「サステナビリティレポート2025」では、組合員によるカーボンニュートラルの取り組み状況を公開。具体的には照明のLED化、再生可能エネルギーへの切り替え、ボイラー運転の管理、電力モニタリングシステムの導入などを実施し、これらのノウハウを組合内で共有してCO2排出量削減に取り組みます。さらに、空調や冷凍/冷蔵設備の高効率化、社用車のEV化といった設備投資や、生産スケジュールの見直しによる加工機械の稼働時間短縮といった運用改善も積み重ねています。

図1:組合では除伐、植林、下刈りなどの森林保全活動にも取り組む

こうした取り組みの結果、2024年度のCO2排出量(Scope1、2)は1249tでした。2021年度の1617tから368t、22.8%削減しています。なお、同組合は2030年度のCO2排出目標を1031tとしており、削減目標値まで228tに迫っています。

図2:CO2排出量(Scope1、2)の推移(出典:SAGA COLLECTIVE協同組合)

一方、削減しきれない温室効果ガス排出量についてはカーボンオフセットを実施。他企業などの温室効果ガス削減活動に投資するなどして、排出される温室効果ガスを埋め合わせています。カーボンオフセットの実績は885.8tで、スギ1本あたりのCO2吸収量を8.8kg/年とすると、14万2477本のスギを保全した実績に相当します。なお、カーボンオフセットには地元の自然吸収系のカーボンクレジットを活用。佐賀の事業者が排出したCO2を地元の自然で吸収する循環モデルを確立しています。

各企業の取り組みも進んでいます。加盟企業の1社である丸秀醤油は2024年度にScope3を算定し、サプライチェーン全体の排出傾向を把握しました。廃棄物については、これまで肥料化していた醤油粕を飼料化に切り替えることで、CO2の排出原単位をおよそ4分の1に低減しています。

図3:丸秀醤油では社員向けに脱炭素の勉強会を実施する

徳永製茶は2024年度にScope1、2の排出量削減計画について中小企業版SBT認証を取得し、一部商品ではカーボンフットプリント(CFP)も算定しています。CFP算定により、商品ライフサイクル全体の排出量の約8〜9割が原材料の調達によることが判明し、サプライチェーン全体の削減にも意欲的に取り組み出しています。

同組合は今後、サプライチェーン全体へ取り組みを拡大するほか、組織単位から商品単位への精緻化を順次進めていく予定です。2025年度には環境省のモデル事業に採択され、カーボンフットプリントの算定・表示ルール策定と、これらの取り組みを先導する人材育成にも着手します。

なお、同組合に参画する企業(12社)は、レグナテック(諸富家具)、丸秀醤油(醤油・味噌)、三福海苔(佐賀海苔)、小野原製茶問屋(うれしの茶)、川原食品(柚子こしょう・粕漬け)、天山酒造(日本酒)、徳永製茶(うれしの茶)、名尾手すき和紙(和紙)、李荘窯業所(有田焼)、井上製麺(神埼そうめん)、吉島伸一鍋島緞通(鍋島緞通)の11社と、賛助会員となる旅館あけぼのの1社です。

【関連リンク】
SAGA COLLECTIVE協同組合
https://saga-collective.com/

サステナビリティレポート2025
http://saga-collective.com/wp-content/uploads/2025/07/2025sustainability-report.pdf