2022年|「企業の業務委託利用」に関する実態調査

「企業の業務委託利用」に関する実態調査を実施いたしました。

調査概要

調査概要:「企業の業務委託利用」に関する実態調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2022年3月10日〜同年3月14日
有効回答:業務委託契約の決裁権を持つ事業部長・経営者・役員403名

83.4%の企業が、「今後プロ人材の業務委託が必要になる」と回答

「Q1.あなたのお勤め先では、今後プロ人材の業務委託が必要になってくると思いますか。」(n=403)と質問したところ、「非常にそう思う」が42.2%、「ややそう思う」が41.2%という回答となりました。

・非常にそう思う:42.2%
・ややそう思う:41.2%
・あまりそう思わない:12.9%
・全くそう思わない:3.7%

プロ人材の業務委託が必要になる理由、「プロフェッショナル人材の育成の難易度が上がっているため」が52.1%で最多‍

Q1で「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した方に、「Q2.今後プロ人材の業務委託が必要になってくると思う理由を教えてください。(複数回答)」(n=336)と質問したところ、「プロフェッショナル人材の育成の難易度が上がっているため」が52.1%、「新規事業の必要性があるため」が37.5%、「内部での事業・経営変革が難しいため」が37.2%という回答となりました。

・プロフェッショナル人材の育成の難易度が上がっているため:52.1%
・新規事業の必要性があるため:37.5%
・内部での事業・経営変革が難しいため:37.2%
・ジョブ型の業務が増えたため:26.5%
・マネジメント人材が空洞化しているため:21.4%
・正社員雇用を限定的にするため:13.4%
・業務委託の方が成果に対するコミットメントが高いため:13.4%
・その他:0.9%
(回答例)50歳:内部の実態は皆素人同然のため
46歳:リソース不足
58歳:社員の高齢化対策

「コア業務以外はその道のプロにお願いすることで、トータルコスト削減も期待できる」や「市場の動きに合わせて、人材教育をしても間に合わない」などの声も

Q1で「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した方に、「Q3.Q2で回答した以外に、今後プロ人材の業務委託が必要になってくると思う理由があれば自由に教えてください。(自由回答)」(n=336)と質問したところ、「コア業務以外はその道のプロにお願いすることで、トータルコスト削減も期待できる」や「市場の動きに合わせて、人材教育をしても間に合わない」など229の回答を得ることができました。

<自由回答・一部抜粋>
・54歳:コア業務以外はその道のプロにお願いすることで、トータルコスト削減も期待できる。
・56歳:市場の動きに合わせて、人材教育をしても間に合わない。
・47歳:若手社員向けの教育分野をプロ人材に外注したい。
・53歳:特定のスキルが必要なのが、特定時期のみの可能性があるため。
・53歳:委託会社ではなく、専門性の高い業務を個人に依頼したい。
・51歳:短期間で成果を出すため。
・59歳:事業拡大に伴う新たな領域への知見を得るため。
・39歳:仕事が専門的かつ高度化している上、幅広いジャンルと組まなければ成り立たなくなるから。

プロ人材の業務委託に求める業務、「エンジニア」や、「PM/システム企画開発」、「事業企画・事業開発」

「Q4.プロ人材の業務委託に求める業務を教えてください。(複数回答)」(n=403)と質問したところ、「エンジニア」が36.7%、「PM/システム企画開発」が28.0%、「事業企画・事業開発」が21.3%という回答となりました。

・エンジニア:36.7%
・PM/システム企画開発:28.0%
・事業企画・事業開発:21.3%
・マーケティング:20.8%
・専門職(弁護士、会計士等):16.1%
・営業:15.9%
・WEBディレクター:14.6%
・コンサルティング:12.2%
・法務:11.4%
・デザイナー:10.9%
・財務・経理:10.2%
・クリエイター:8.9%
・人事:8.4%
・広報・IR:7.9%
・経営企画:6.0%
・総務:4.5%
・編集・ライター:4.0%
・経営者:3.7%
・その他:2.5%
・特になし:5.0%
・分からない/答えられない:3.0%

プロ人材へ「データサイエンス」や「商品開発」なども任せたい声

Q4で「特になし」「分からない/答えられない」以外を回答した方に、「Q5.Q4で回答した以外に、プロ人材の業務委託に求める業務があれば自由に教えてください。(自由回答)」(n=371)と質問したところ、「データサイエンス」や「商品開発」など214の回答を得ることができました。

<自由回答・一部抜粋>
・51歳:データサイエンス。
・60歳:商品開発。
・59歳:M&A。
・56歳:最先端の技術に対応できるエンジニアが必要。
・53歳:セキュリティアナリスト。
・48歳:機械メンテナンス。機械開発。
・59歳:コンプライアンス。
・50歳:PMO、業務改善、ITガバナンス。

一方で、自社正社員に求めるスキル、「マネジメント能力」や「責任感」の声多数

「Q6.プロ人材の業務委託と比較して、正社員に求めるスキルを教えてください。(複数回答)」(n=403)と質問したところ、「マネジメント能力」が53.6%、「責任感」が50.4%、「コミュニケーション能力」が49.1%という回答となりました。

・マネジメント能力:53.6%
・責任感:50.4%
・コミュニケーション能力:49.1%
・会社の理念やビジョンに共感して行動できる:40.4%
・リーダーシップ:39.7%
・会社の利益を考えて行動できる:39.0%
・その他:2.5%
(回答例)56歳:専門性
60歳:ロイヤルティ
54歳:知識
49歳:技術力
54歳:先見力
・特になし:2.2%
・分からない/答えられない:1.7%

現在の正社員と業務委託の人数割合、約半数の企業が「正社員9、業務委託1」

「Q7.現在の正社員と業務委託の人数割合を教えてください。」(n=403)と質問したところ、「正社員9、業務委託1」が46.2%、「正社員8、業務委託2」が14.9%という回答となりました。

・正社員1、業務委託9:3.2%
・正社員2、業務委託8:2.5%
・正社員3、業務委託7:3.2%
・正社員4、業務委託6:3.2%
・正社員5、業務委託5:7.2%
・正社員6、業務委託4:3.5%
・正社員7、業務委託3:9.9%
・正社員8、業務委託2:14.9%
・正社員9、業務委託1:46.2%
・わからない:6.2%

一方、理想の人数割合は、「正社員7、業務委託3」が20.1%で最多

「Q8.将来的な正社員と業務委託の理想の人数割合を教えてください。」(n=403)と質問したところ、「正社員7、業務委託3」が20.1%、「正社員5、業務委託5」が10.7%という回答となりました。

・正社員0、業務委託10:1.8%
・正社員1、業務委託9:1.7%
・正社員2、業務委託8:4.2%
・正社員3、業務委託7:6.2%
・正社員4、業務委託6:4.0%
・正社員5、業務委託5:10.7%
・正社員6、業務委託4:8.9%
・正社員7、業務委託3:20.1%
・正社員8、業務委託2:15.6%
・正社員9、業務委託1:9.9%
・正社員10、業務委託0:8.2%
・特にない/わからない:8.7%

約6割が「今後、新卒採用より業務委託活用が活発になる」と予想

「Q9.今後、人材が流動的になるにつれ、「新卒採用」より業務委託活用の方が活発になると思いますか。」(n=403)と質問したところ、「非常にそう思う」が18.1%、「ややそう思う」が39.5%という回答となりました。

・非常にそう思う:18.1%
・ややそう思う:39.5%
・あまりそう思わない:28.8%
・全くそう思わない:7.4%
・わからない:6.2%

7割以上が、業務委託でプロ業務を外注し「うまくいかなかった経験」あり

「Q10.業務委託でプロ業務を外注し、うまくいかなかった経験はありますか。」(n=403)と質問したところ、「ある」が45.9%、「何度もある」が25.8%という回答となりました。

・ある:45.9%
・何度もある:25.8%
・ない:28.3%

プロへの業務委託での失敗経験、「経験から想定していたスキルと実際のスキルの相違(59.9%)」や、「業務要件の定義をできておらず、十分な成果をあげられなかった(53.6%)」

Q10で「何度もある」「ある」と回答した方に、「Q11.うまくいかなかった経験について教えてください。(複数回答)」(n=289)と質問したところ、「経験から想定していたスキルと実際のスキルが相違していた」が59.9%、「業務要件の定義をできておらず、十分な成果をあげられなかった」が53.6%、「コミュニケーションが取りづらかった」が25.3%という回答となりました。

・経験から想定していたスキルと実際のスキルが相違していた:59.9%
・業務要件の定義をできておらず、十分な成果をあげられなかった:53.6%
・コミュニケーションが取りづらかった:25.3%
・提案が出てこなかった:13.5%
・その他:0.7%
(回答例)53歳:お取引先とのコミュニケーションがとれない

他にも「責任感の無い委託先だった」や、「こちらの意図と相手方の意図が食い違い」などの失敗談も

Q10で「何度もある」「ある」と回答した方に、「Q12.Q11で回答した以外に、どのような失敗を経験したか自由に教えてください。」(n=289)と質問したところ、「責任感の無さ」や「こちらの意図と相手方の意図が食い違い、満足いく結果とならなかった」など183の回答を得ることができました。

<自由回答・一部抜粋>
・51歳:責任感の無い委託先だった。
・57歳:こちらの意図と相手方の意図が食い違い、満足いく結果とならなかった。
・54歳:求める機能とフィットしていない業者を選定してしまった。
・56歳:経営陣との相性が合わない。
・50歳:業務上の待ち時間(システム側での開発待ちなど)があると、契約期間・時間を無駄にしてしまう。
・57歳:仕事の指示系統が曖昧になった。
・53歳:専門性を期待したが、自社スキルの方が高かった。
・45歳:スキルと費用の乖離。

まとめ

今回は、業務委託契約の決裁権を持つ事業部長・経営者・役員403名に対し、「企業の業務委託利用」に関する実態調査を実施しました。

まず、83.4%の企業が、「今後プロ人材の業務委託が必要になる」と回答しており、その理由として、「プロフェッショナル人材の育成の難易度が上がっているため」が52.1%で最多の結果となりました。他にも、「コア業務以外はその道のプロにお願いすることで、トータルコスト削減も期待できる」、「市場の動きに合わせて、人材教育をしても間に合わない」などの声も挙がりました。

次に、プロ人材の業務委託に求める業務を伺ったところ、「エンジニア」(36.7%)や「PM/システム企画開発」(28.0%)、「事業企画・事業開発」(21.3%)に多数意見が集まり、他にも「データサイエンス」や「商品開発」などの業務を任せたいという声が挙がりました。一方で、プロ人材の業務委託と比較して、自社正社員には、「マネジメント能力」(53.6%)や「責任感」(50.4%)のスキルを求める声が多い結果となりました。

そこで、現在の正社員と業務委託の人数割合を伺ったところ、約半数の企業が「正社員9、業務委託1」と回答しました。一方で、理想の人数割合については、「正社員7、業務委託3」が20.1%で最多の結果となり、更には約6割の企業が「今後、新卒採用より業務委託活用が活発になる」と予想しました。

また、7割以上の企業が、「業務委託でプロ業務を外注し、うまくいかなかった」経験があることが判明しました。そこで、具体的な失敗経験を伺ったところ、「経験から想定していたスキルと実際のスキルの相違」(59.9%)や、「業務要件の定義をできておらず、十分な成果をあげられなかった」(53.6%)ことが挙がり、他にも「責任感の無い委託先だった」、「こちらの意図と相手方の意図が食い違い」などの失敗談も伺うことが出来ました。

今回の調査では、業務委託で活躍するプロフェッショナル人材の需要が高まっていることが明らかとなりました。時代が急速に変化を遂げている今、そのスピードに合わせて社内の人材を育成することは難しいと企業が判断しているようです。企業が業務委託のプロフェッショナル人材に任せたいと思っている業務も多岐に渡り、自社人材と同等か、それ以上の活躍を期待していると言っても過言ではないでしょう。調査でも、約6割の企業が、新卒採用ではなく、業務委託の活用が活発になると回答していることから、より即戦力となる人材を求める傾向が強くなりそうです。ただしその一方で、プロフェッショナル人材への業務委託における失敗経験を持つ企業も一定数あり、特にスキルや人柄のアンマッチが問題になることが多いようです。企業にとって、業務委託で優秀で信頼できる人材と今後いかに接点を持てるか、そして人材のスキルや人柄のマッチングの精度をいかに上げられるか次第で、明暗が分かれると言えるでしょう。