KPMGコンサルティングは2026年4月22日、人的資本経営に関する調査結果を発表しました。経営戦略と人事戦略を連動させているかどうかの状況や成熟度を調べています。
企業価値向上に向けて一貫性ある筋書きを描く「人的資本ストーリー」の成熟度を示した結果が図1です。成熟度を5段階(レベル1:人材の価値認識、レベル2:人事部門のPDCAサイクル、レベル3:経営部門と人事部門のストーリー化、レベル4:経営部門と人事部門の戦略連動、レベル5:独自価値の創出)に分け、調査対象企業の状況を示しています。
レベル1の「全社の価値創造ストーリーのなかに人的資本が明確に位置付けられている」に当てはまる企業は96%でした。一方、レベル3の「人的資本をストーリー化したチャートがある」に当てはまる企業は37%、レベル4の「人的資本と経営・事業戦略との接続がある」に当てはまる企業は19%でした。人的資本経営を打ち出して人材の価値を認識する企業は多いものの、経営戦略や事業戦略と結び付けて人事戦略を策定する企業は必ずしも多くないようです。
人材ポートフォリオの成熟度を示した結果が図2です。成熟度を3段階(レベル1:重点人材設定、レベル2:重点人材の強化、レベル3:戦略起点の人材設計)に分けて、調査対象企業の状況を示しています。
レベル1の「重点人材タイプを定めている(グローバル/新規事業/DX等)」に当てはまる企業は71%でした。7割の企業が経営人材やグローバル人材、デジタル人材などの重点人材のタイプを設定していることが分かります。一方、レベル3の「経営・事業戦略(事業ポートフォリオ等)に沿って人材区分を設定している」に当てはまる企業は10%でした。多くの企業で人材ポートフォリオが中長期の戦略と連動していないことがうかがえます。
調査を実施したKPMGコンサルティングは、経営戦略と人事戦略を連動させるには、人材ポートフォリオから人事基盤に至るまでの各要素が整合し、相互連動している状態が望ましいと指摘します。さらに、こうした状況を実現するには、人事部が単独で人事戦略を策定せず、経営層や財務部門をはじめとするステークホルダーとの密な連携と議論が不可欠だといいます。加えて、CHRO(最高人事責任者)やHRBP(HRビジネスパートナー)が経営視点を踏まえて人的資本を語り、議論をリードする状態も求められると指摘します。
【調査概要】
対象:日本国内の人的資本先進企業73社(東証プライム上場企業のうち人的資本レポートを発行している企業32社、人的資本コンソーシアム好事例集掲載企業のうち東証プライム上場企業41社)
調査時期:2025年9月~12月
調査方法:経営戦略と人事戦略の連動に関する全14問について、各社の公開情報2を基にYes/Noで精査
【関連リンク】
KPMGコンサルティング株式会社
https://kpmg.com/jp/ja.html
本調査の詳細
https://kpmg.com/jp/ja/insights/2026/04/hr-strategy-alignment.html