「IT戦略コンサルタントってどんな仕事?」「どんなスキルが必要なの?」という疑問をお持ちではありませんか?
本記事では、そんな疑問の解決に役立つ内容を
- IT戦略コンサルタントの仕事内容
- IT戦略コンサルタントのやりがい
- IT戦略コンサルタントの将来性
の順に解説します。
IT戦略コンサルタントに興味をお持ちの方に役立つ記事です。ぜひ最後までご覧ください。
IT戦略とは?
IT戦略とは、企業がITをどう活用してビジネス目標を達成するかという計画や方針のことです。ITとは、情報技術(Information Technology)の略であり、情報を取り扱う技術の総称です。パソコンやスマートフォンのような情報端末から交通系ICカードなど、その範囲は非常に幅広く、私たちの生活にも欠かせないものになっています。
デジタル社会と言われる現在では、企業もITを活用し効率化を進めることが求められます。大企業だけでなく中小企業でもITは広く導入されていますが、導入の際にはきちんと問題解決につながるように計画を立てる必要があります。その際に必要になるのが、IT戦略とIT戦略コンサルタントです。
IT戦略コンサルタントの仕事内容
現状の分析
適切なIT戦略を策定するためには、まずはクライアント企業の現状を把握・分析することが重要です。現状を分析することで、業務効率や生産性に関わる改善点を見つけ出すことができます。
その課題に対して、どうIT技術を活用するかの計画を立てていくというのが一連の流れです。また、クライアント企業の内部の分析だけでなく、周囲の環境も分析する必要があります。
具体的には市場の動向や業界のトレンド、競合他社の状況などです。マーケティング分析の基本とも言われる「3C分析」では、市場・顧客、自社、競合の3つを順に分析することで成功要因を見つけやすくしています。戦略策定のために現状の分析は必要不可欠でしょう。
経営戦略・IT戦略の立案
IT戦略を立てる前に、企業のビジョンや経営戦略を把握していく必要があります。クライアント企業がどのような企業成長を求めているのかを明確に理解した上で、計画を立てるようにしましょう。
現状の分析に基づいて、具体的な施策を提案します。IT戦略の要素としては、テクノロジーの選択や導入の支援、プロジェクトのスケジュール管理、セキュリティ対策などが挙げられます。また、予算やリソースの管理も重要です。クライアントの希望にできる限り沿いながらIT戦略を立てるのが、ITコンサルタントの最も主要な業務です。
最新のIT情報の調査
ITは特に進歩の目覚ましい分野です。
新たな技術についての知識やノウハウを常に仕入れ続けていく必要があります。最新のIT技術を知っておくことで、選択肢が広がり、より適切な改善案を提案できるようになります。
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IT戦略コンサルタントの大変な点
プロジェクト初期に仕事が急増する
コンサルタントは大変な職業だと言われることが多いです。その理由の一つとして、プロジェクト初期に仕事が急増することが挙げられます。資料作りやコンサルタントとのミーティングなど、求められる業務は多岐に渡ります。特に複数の案件が重なった場合には、拘束時間が長くなる場合もあります。
クライアントの都合に合わせて休日出勤を求められることもあります。ワークライフバランスを犠牲にする可能性もあるため、体力のない人など、人によっては負担に感じることもあるかもしれません。
常に新たな情報を仕入れる必要がある
コンサルタントは、市場や競合他社の動向に気を配っておく必要があります。新たな情報を仕入れるという業務は、案件が忙しくないときでも常に着いて回るため、休まらないという印象を受ける場合もあります。変化の激しいIT分野では特にその傾向が強く、継続的に最新の情報を仕入れなければいけません。
優秀な人が多くプレッシャーが強い
コンサルタントは、年収が高い分優秀な人材が集まりやすい傾向にあります。また、求められる成果の水準も高いです。そのため、周囲と自分を比較しやすい人は、競争に疲れてしまいがちです。
コンサルティングファームは年功序列というよりは実力主義であり、成果が分かりやすく役職や年収に反映されることが多いです。
そのため、他の社員との差が目に見えやすいという面もあります。また、コンサルティング業界は実力主義の文化が根強く、「アップ・オア・アウト(昇進か退職か)」という選択肢が浮かぶような職業でもあります。自分のペースで仕事をしたい人や、現状維持に重きを置いている人には難易度の高い業界かもしれません。
コンサルを辞めると収入が下がる可能性が高い
コンサルタントは比較的年収が高い職業だと言われています。年収1,000万円を超えている方も多くいますし、若手であっても多額の給料をもらえることが多いです。そのため、もしコンサルタントを辞めたくなった時、転職すると年収が下がる可能性が高いです。コンサルティング業界から転職しようと思っても、収入面の関係でまた戻ってくる方は少なくありません。
IT戦略コンサルタントのやりがい
難易度の高い仕事ができ達成感がある
大変だと言われるIT戦略コンサルタントですが、その分大きなやりがいもあります。まず、難易度の高い仕事ができ達成感があるという点です。クライアント企業がコンサルティングファームに持ち込むのは、どれも自社では解決できなかった課題であり、難易度が高いものです。
適切な提案や解決策を導き出すのが難しい分、上手く課題を解決できた時の達成感は大きいです。自らの分析力や創造性を駆使して、ビジネスの根幹に関わることができます。自分が導入したIT技術が長く使われるなど、クライアント企業のその後にも影響を与えます。
高いスキルを身につけやすい
コンサルタントは優秀な人材が多い分、切磋琢磨して高いスキルを身につけることができます。自身を競争の激しい環境に置くことが、成長への強力な動機となります。
成長しなければ置いて行かれてしまうという環境下で、継続的な成長を目指せるのがメリットです。コンサルタントに求められるスキルはコミュニケーション能力から論理的思考力、問題解決能力など多岐にわたります。
また、クライアントとして経営層とも直接関わることができ、経営についてのリアルな考え方を学ぶことができます。この経験は、その後もコンサルタントとして働き続けていく場合にも、事業会社へ転職したり起業したりする場合にも役立ちます。
グローバルに働ける
コンサルタントは、国際企業やそのプロジェクトに関わる機会も多く与えられます。グローバルな視点を磨き、世界を股にかけて活躍している方も多くいます。また、外資系コンサルティングファームの場合は、社内でも異文化間のコミュニケーション能力を向上させることができます。
IT戦略コンサルタントに必要なスキル
コミュニケーション能力
コンサルタントとしてまず重要になるのは、コミュニケーション能力です。適切なIT戦略を立てるためには、まずはクライアントの要望を正確に汲み取ることが大切です。
コミュニケーション能力の一つである「聞く力」が求められるでしょう。信頼関係を築き、相手のニーズを徹底的に理解することにつながります。次に、IT戦略を策定しクライアントにプレゼンテーションを行う際には、「話す力」が必要です。
理論立てて簡潔に話を組み立てる力や、人を惹きつける話し方が求められます。脚色して話すのではなく、あくまで双方向のコミュニケーションです。一緒に解決策を考えるという姿勢が重要です。また、社内でも良好な人間関係を保つ必要があります。様々な場面で求められるコミュニケーション能力は、コンサルタントにとって非常に重要なものだと言えるでしょう。
ITに関する知識
IT戦略コンサルタントには、ITの知識が必要不可欠です。クライアントにアドバイスをするという立場上、基礎的な知識だけでなくITへの深い理解が求められます。
IT戦略コンサルタントの中には、エンジニアとして働いてからコンサルティングファームに転職してきている方もいます。設計開発などシステム関連のスキルや専門知識を持っている人も多いです。そうしたコンサルタントと肩を並べて戦うためには、IT知識を継続的に習得していく必要があります。クライアントごとに課題の分野は異なるため、案件に応じてさらに新たな知識を仕入れられるとよいでしょう。
チームで働く能力
コンサルタントはチームで動くことも多い職業です。上記のコミュニケーション能力に加え、他のチームメンバーの意見を尊重しながら話し合いを深めることで、新たな視点が生まれます。
問題解決能力
コンサルタントの一番の仕事は、分析した現状やクライアントのニーズを考慮しながら、クライアントの抱える問題を解決することです。そのため、問題解決能力は非常に重要です。
近年のコンサルティングファームでは、戦略のプレゼンテーションを行うだけではなく、戦略を実行に移してフィードバックを得るというケースが多いです。一つの戦略に対して複数の課題を見出し、改善を重ねていく必要があります。ここでも問題解決能力を活かすことで、より効率的に成果を出すことができます。
マネジメントスキル
マネジメントとは、組織の目標達成のための道具や機能のことを言います。マネジメントスキルとは、具体的には「目標管理能力」や「適材適所を見抜く能力」などを言います。
コンサルティング業務の際には、チームメンバーやクライアント企業のメンバーを指揮するリーダーになることも少なくありません。そのような際にマネジメントスキルを身に着けていることで、プロジェクトを遅延なく進めることができます。
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IT戦略コンサルタントに向いている人
責任感のある人
コンサルタントには責任感が必要不可欠です。クライアントは問題を抱えて困難な状況に陥っており、適切なコンサルティングを受けるために費用を払っているだけでなく、内部の機密情報を開示していることも多いです。
そうしたコンサルタントの期待に応えるべく成果を出さなければならない、と思える人に向いている仕事です。責任感が足りず仕事を適当に済ませてしまうタイプの人では、クライアントからの信頼を損なうことにつながります。時間を守ることや、報告・連絡・相談、案件に手を抜かないことは最低限必要だと思った方がいいかもしれません。
実力主義のコンサルティング業界では、担当を変更してほしいと希望される場合もあり、自身のキャリアも停滞してしまいかねません。その道のプロフェッショナルだという意識を持って仕事に向き合う必要があります。
考え続けられる人
コンサルタントは激務であり体力の必要な職業ですが、考え続けるという精神力も求められることが多いです。先述したように、コンサルティング業界は変化と競争が非常に激しいです。
そんな業界で生き残っていくためには、新たな知識を仕入れ続け、それをどう活かすのかにまで考えを巡らせていく必要があります。また、与えられる課題は難易度の高いものが多く、少し考えただけで解決策を思いつくことは多くありません。壁に直面してしまった時にも、諦めずに考え続けられる人におすすめです。
完璧主義ではない人
案件に対して手を抜いてしまう人は、コンサルタントには不向きです。一方で、完璧主義の傾向がある人も向いていない場合があります。コンサルティングの業務には迅速な意思決定が求められるため、完璧主義の人は納期に間に合わなくなってしまうこともあります。
完璧を目指すというよりは、ある程度の業務の中で最大の成果を目指すという傾向の業界だと言えます。また、チームメンバーとの意見の折衝にもストレスを感じる場合もあるかもしれません。
IT戦略コンサルタントの仕事に必要な資格
資格を取るメリット
IT戦略コンサルタントになるために、資格は必須ではありません。しかし、資格を保持していることで、自身のスキルを客観的に示すことができ、クライアントからの信頼につながります。転職の際にも役立ちます。また、資格取得のために勉強を重ねることで、知識がついて専門的な視点からアプローチできるようになるというメリットもあります。
IT戦略コンサルタントにおすすめの資格
基本情報技術者
基本情報技術者は、情報処理推進機構が行う試験に合格することで取得できます。ITを活用した戦略の立案や、システムの構築ができるような実践的な知識・技能が身に付きます。
ITエンジニアの登竜門とも言われています。ITの基礎的な知識を身に着けることができるため、初めて資格取得を検討している方や、IT関連の知識に乏しい方におすすめです。テクノロジー系の分野だけでなくマネジメント系やストラテジ系からも出題されるため、幅広い分野について知識があることを示せます。
プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル
プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル(PMP🄬)とは、PMI本部が認定しているプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。
法的な免許ではありませんが、国際的に通用する資格のため、グローバルに活躍したいと考えている方には非常におすすめです。体系的な仕事の進め方を身に着け、業務を効率化することができます。また、PMIコミュニティに参加して人脈を広げることも可能です。
中小企業診断士
中小企業診断士とは、中小企業の経営課題に診断・助言をする専門家です。筆記試験と口述試験の二つの試験に合格する必要があります。
ITの導入を進めている企業には中小企業も多いため、中小企業の経営課題について専門的な知識を持っていることで、より適切な提案ができるようになります。また、産業経済大臣が登録する国家資格であり、クライアントからの信頼を得やすいです。
IT戦略コンサルタントのキャリアパス
コンサルティングファームでキャリアアップを目指す
コンサルタントには、マネージャーやパートナーなど様々な役職があります。実績や勤務年数により昇進するため、同じコンサルティングファームでより高い職位を目指すのも一つのキャリアパスです。また、コンサルティング業界はキャリアアップのための転職が非常に多いことが特徴です。同じ分野のコンサルティングファームに転職してよりよいポジションを目指すというキャリアパスもあります。
戦略コンサルタントに転身する
IT戦略コンサルタントとして働く中で、ITだけでなく全般的な問題解決に興味を持つ方もいます。そうした方のキャリアパスとして多いのが、戦略コンサルタントへの転職です。
戦略コンサルタントとは、事業計画や新規事業の立ち上げなどの相談を受け、提案をする仕事です。業務範囲は幅広く、会社の方針全体に関わるものから採用や会計などの専門性の高い分野まで様々です。
ITに特化したコンサルティングではなくなりますが、企業の問題を解決するために戦略を立案するという基本的な業務の流れは変わりません。IT戦略コンサルタントとして培ったスキルのほとんどをそのまま活かすことができるでしょう。

CIOとして経営に関わる
IT戦略コンサルタントに関わらず、コンサルタントの転職先として多いのが、事業会社です。コンサルタントとして企業の経営戦略を支援するうちに、経営の方に興味を持ったという方は少なくありません。
CIO(最高情報責任者)として経営者になるケースもあります。コンサルタントとしてクライアントである経営層と関わり、経営についての考え方を学んだ経験を活かせます。
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IT戦略コンサルタントの将来性
少子高齢化による人手不足
近年、日本社会全体が、少子高齢化による労働力人口の減少で人手不足に苦しんでいます。人的リソースが限られた中でより高い経営目標を達成するには、生産性の向上が重要です。
そのために、単純作業やルーティンワークから改善する必要があります。IT導入への注目度はますます上昇しているため、IT戦略コンサルタントの需要も高まっていると言えます。
中小企業での需要の拡大
人手不足が叫ばれていますが、特に中小企業では十分な人材を確保できていない傾向にあります。ITを導入したいけれど何から始めればいいのか分からない、どう戦略を立てたらいいのか分からないという悩みを抱えていることも多いようです。
そこで、IT戦略コンサルタントが活躍します。まずはスモールステップでITを導入するよう支援していくのが有効です。例えばクラウドサービスが充実している経理部門からITを導入していくと、簡単かつ効果が見やすいため抵抗が少ないでしょう。
コンサルタントにとっては、中小企業は経営層が少ないため、意思決定や動き出しが早いというメリットがあります。中小企業がITを導入する動きが加速している今、IT戦略コンサルタントは需要が高く将来性のある職業だと言えます。
他のコンサルタントとの違い
IT戦略コンサルタントとPMOの違いとは?
IT戦略コンサルタントとPMOの主な違いは、支援の内容です。PMOとは、プロジェクトマネジメントオフィスの略であり、進捗状況やリソース、コストの管理など、マネジメント関連の支援を中心に行っています。
ITの専門的な知識は必要なく、マネジメントスキルが求められる際に活躍します。ですが、共通する部分もあるため、IT戦略コンサルタントがPMO支援業務を行うケースが増えているようです。
IT戦略コンサルタントと戦略コンサルタントの違いとは?
IT戦略コンサルタントと戦略コンサルタントは混同されがちですが、違う職業です。戦略コンサルタントが支援するのは事業戦略や企画全般であり、IT戦略コンサルタントはシステムや業務の改善を行うことが多いです。
プロジェクトの進め方にも違いがあり、IT戦略コンサルタントは業務改善という特性上クライアントとの接点が多いです。一方で戦略コンサルタントは、事業を代行するケースなど、クライアントと週に一度しか接点がないという場合もあります。

IT戦略コンサルタントに関するQ&A
IT戦略とDX戦略の違いとは?
ITとDXは混同されることも多い用語です。DXはデジタルトランスフォーメーションの略であり、デジタル技術を活用することで人々の生活をより良いものにしていくことを指します。
変革という語があてられることも多く、顧客体験の向上や市場機会の創出など、ビジネスモデルを革新していくことがDXに当たります。時には、日本社会全体にまで大きな影響を及ぼすこともあります。
一方で、IT戦略は業務効率の向上を重視しているものが多いです。今ある業務にデジタル技術を活用して最適化していく、という目的が中心です。IT戦略が技術面に特化している一方、DX戦略はビジネス全体に関わるものだという違いがあります。
IT戦略コンサルタントは未経験でもなれる?
コンサルティングファームは中途採用に積極的な場合が多いです。未経験でも他の業界で経験を積んでいれば、それを直接仕事に活かすことができます。IT戦略コンサルタントの場合は、プログラマーやエンジニアとしての経験があると歓迎される傾向にあります。他にもITの知識がある場合は、アピールポイントになるでしょう。
まとめ
今回の記事では、IT戦略コンサルタントに興味をお持ちの方に向けて、IT戦略コンサルタントの仕事内容ややりがい、役に立つ資格などについて解説しました。IT戦略コンサルタントはITの分野に特化しているため、関連した経験や知識があると活かしやすいでしょう。
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