WIPOがイノベーションの実績を評価した世界ランキングを発表、1位はスイスで日本は12位。アジア圏では韓国4位、シンガポール5位、中国10位

世界知的所有権機関(WIPO)は2025年9月16日、イノベーションの実績を評価するランキング「グローバル・イノベーション・インデックス(GII)2025年版」を発表しました。約140の国や地域、経済圏を対象に、イノベーションの動向などをランク付けしています。

WIPOは特許や商標、著作権などの知的財産制度の発展と国際的な保護を目的とする国連の専門機関。スイスのジュネーブに本部を構え、国際特許出願や出願制度のルール策定、紛争解決によるイノベーション創出などを支援しています。

イノベーションの実績をランキングで表す報告書「グローバル・イノベーション・インデックス(GII)」も毎年公開しています。18回目となる2025年版では約140の国や地域、経済圏を対象に、その実績をランク付けしています。具体的には、研究開発(R&D)支出、ベンチャーキャピタル(VC)取引、ハイテク輸出、知的財産権出願件数など、約80の指標に基づき順位を決めています。

図1:「グローバル・イノベーション・インデックス(GII)2025年版」

上位のランキングは次の通りです(カッコ内は2024年の順位)。
1位:スイス(1位)
2位:スウェーデン(2位)
3位:米国(3位)
4位:韓国(6位)
5位:シンガポール(4位)
6位:英国(5位)
7位:フィンランド(7位)
8位:オランダ王国(8位)
9位:デンマーク(10位)
10位:中国(11位)
11位:ドイツ(9位)
12位:日本(13位)
13位:フランス(12位)
14位:イスラエル(15位)
15位:香港(中国)(18位)
16位:エストニア(16位)
17位:カナダ(14位)
18位:アイルランド(19位)
19位:オーストリア(17位)
20位:ノルウェー(21位)

1位はスイス、2位はスウェーデン、3位は米国で、昨年と順位の変動はありませんでした。日本は12位で、2024年の順位(13位)から1つランクを上げています。東南アジア、東アジア、オセアニア(SEAO)地域に限ると、もっとも順位が高いのは韓国で4位。WIPOによると、韓国とシンガポールが引き続きSEAO地域を先導しており、両国とも企業の研究開発、教育、イノベーション基盤で高い実績を示しているといいます。一方、10位の中国は、世界の中所得経済圏の中で首位を維持。研究開発費、ハイテク輸出、イノベーション成果で引き続き強みを発揮しています。

なお、今回の調査対象となったSEAO地域の国や地域、経済圏は17。そのうち9つが2025年に順位を上げています。特に香港(中国)(15位)、フィリピン(50位)、カンボジア(100位)、ミャンマー(122位)が大きな進歩を遂げているといいます。世界を対象にした場合、サウジアラビア(46位)、カタール(48位)、ブラジル(52位)、モーリシャス(53位)、バーレーン(62位)、ヨルダン(65位)が2020年代に入って以降、急速にランキングを上げています。

GIIの主な調査結果は次の通りです。

・研究開発(R&D)の成長率は2024年に2.9%に低下しました。これは前年度の4.4%増から減速したもので、2010年の金融危機以降でもっとも低い伸び率です。WIPOの予測では、2025年には成長率がさらに鈍化し、2.3%となる見込みです。

・企業の実質研究開発(R&D)支出は、続くインフレの影響で1%に減速しました。過去10年間の平均(4.6%)を大きく下回る水準です。情報通信技術関連企業(特に人工知能を多用する分野)、ソフトウェア企業、製薬企業は研究開発予算を拡大した一方、自動車部門や消費財などの製造業の企業は、企業収益の減少を背景に研究開発費を削減しました。

・ベンチャー・キャピタル投資額は回復傾向を示しました。2024年の取引額は7.7%増加しました。主に米国を拠点とする大型取引と、生成AIへの投資急増に起因します。しかし、これらの投資を除くとベンチャー・キャピタル価値は縮小したと考えられます。

・WIPO経由の国際特許出願件数は+0.5%で回復傾向を示しています。韓国では+7%と堅調な伸びが見られたものの、日本や米国、ドイツでは減少しています。

・技術の採用は進みましたが、その速度は鈍化しています。ロボット工学と接続性の分野における成長は引き続き顕著で、2025年に新たに指標として追加された高速鉄道ネットワークも拡大しました。一方、ロボットと電気自動車の導入は顕著な減速が見られました。

WIPOの事務局長であるダレン・タン氏は今回の調査結果を受け、「イノベーションの普及や影響力といった分野では回復の兆しが見られるが、世界的なイノベーションのエンジンは全開で稼働しているとは言えない」とコメント。さらに、「研究開発投資とベンチャー・キャピタル活動の成長鈍化からは、イノベーションには上流で持続的な資金提供の取り組みが必要である」との見解を述べました。

【関連リンク】
世界知的所有権機関(WIPO)
https://www.wipo.int/portal/en/

グローバル・イノベーション・インデックス(GII)の全文ダウンロード
https://www.wipo.int/publications/en/details.jsp?id=4807