グロービスは2024年11月7日、リスキリングに関する調査結果を発表しました。学習習慣や学習の必要性、企業のデジタル人材育成状況などを聞いています。
普段の学習習慣を聞いた結果が図1です。学習の必要性を感じているかも聞いています(図2)。


学習習慣を聞いたところ、「学習は行っていない」が63%を占めました。残りの37%は学習習慣があるものの、「ほぼ毎日」と答えた割合は4%にとどまります。
では、学習の必要性をどう感じているのか。図1の「学習は行っていない」の内訳をみると、「学習していない、必要性を感じない」が28%、「学習していない、必要性は感じる」が35%でした。学習する必要性を感じていない人は約3割を占めます。
学習の必要性を感じない理由を聞いた結果が図3です。前問で「学習していない、必要性を感じない」「学習していない、必要性は感じる」と答えた人に聞いています。

学習の必要性を感じないと回答した人の場合、81%が具体的なキャリア目標を持っていないことが分かりました。さらに、55%が仕事やキャリアの振り返りをまったく実施していませんでした。一方、学習の必要性を感じると回答した人の場合、キャリア目標を持っていない割合は28%、振り返りをまったく実施していない割合は24%でした。調査を実施したグロービスは、社内の人事制度やキャリアに関する仕組みが、学習の必要性の認識に影響を与えていると推察します。
役職別に学習習慣と学習の必要性を聞いた結果が図4です。

学習の必要性を感じているのは、「管理職」が76%、「若手・中堅社員」が78%、「ベテラン非管理職社員」が58%でした。学習しているのは、「管理職」が50%、「若手・中堅社員」が35%、「ベテラン非管理職社員」が27%でした。
「管理職」「若手・中堅社員」「ベテラン非管理職社員」別に、仕事への課題意識やキャリア目標を聞いた結果が図5です。

仕事に「課題あり」と答えた割合は、「管理職」が83%、「若手・中堅社員」が76%、「ベテラン非管理職社員」が71%でした。「ベテラン非管理職社員」に限ると、約3割の人が課題意識なく仕事に取り組んでいることになります。
キャリア目標を持っている割合は、「管理職」が53%、「若手・中堅社員」が30%、「ベテラン非管理職社員」が23%でした。
なお、「課題あり」と答えた「ベテラン非管理職社員」に具体的な課題を聞いたところ、もっとも多かったのは「論理的に分かりやすく考えをまとめる力(論理的思考力)」でした(図6)。さらに、「Excel、Word、PowerPoint等での資料作成・分析」「同僚とのコミュニケーション」という課題が上位を占めました。一方、人材育成・研修担当者はベテラン非管理職社員に対し、「部下とのコミュニケーション」や「チームマネジメント」「部下の育成・キャリアサポート」などを学んでほしいと考えています。

従業員数100人以上の企業に所属する人材育成・研修担当者にデジタル人材育成の取り組み状況を聞いた結果が図7です。

「取り組んでいる」と答えた割合は68%で、企業規模が大きくなるほど、「取り組んでいる」の割合が高くなっています。「取り組んでいる」と答えた人材育成・研修担当者にどんな取り組みを進めているのかを聞いたところ、「専門的なデジタルスキル人材の育成」(81%)や「デジタルリテラシーやデジタル基礎の育成」(82%)といった回答が上位を占めました。
では、研修や支援制度を設ける会社の社員は、それらを活用しているのか。会社が提供する研修や支援制度の利用状況を聞いた結果が図8です。

「希望して参加できる研修や支援制度はない」がもっとも多く、42%でした。「参加している/したことがある」と答えた割合は17%にとどまり、自社に研修や支援制度があるかどうか「わからない」と答えた割合は24%でした。
【調査概要】
調査期間:2024年4月26日~2024年4月28日
調査対象・回答人数:20歳~59歳の正社員 (営業職、事務職など) 1032人、従業員数100名以上の企業に所属する人事・育成担当者 412人
調査エリア:全国
調査方法:インターネットによるアンケート
【関連リンク】
株式会社グロービス
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