有価証券報告書記載の人的資本開示情報を調査、男性育休取得率は大幅増も女性管理職比率は微増に/日本生産性本部調べ

日本生産性本部は2025年8月1日、「有価証券報告書における人的資本開示状況」(速報版)を公表しました。2025年3月末決算の東証プライム上場企業(1104社)の有価証券報告書をもとに、人的資本や多様性の動向をまとめています。

人材を資本と捉え、その価値を最大限に引き出す「人的資本経営」が注目される中、有価証券報告書で人的資本や多様性の情報を開示することが内閣府令により義務付けられました。2023年3月末以後の事業年度にかかる有価証券報告書から、人材育成方針や社内環境整備方針、さらには男女間賃金格差、女性管理職比率、男性育児休業取得率の開示が義務付けられています。

日本生産性本部はこうした動きを受け、有価証券報告書への記載状況を2023年より独自に調査・集計。3回目となる今回は、事業創造大学院大学の一守靖教授、浅野浩美教授の監修、分析指導のもとで調査を実施し、速報版を公表しました。

主な調査結果は次の通りです。
・男性育休取得率:取得率60%以上の企業が大幅増
男性育児休業取得率は、60%以上の企業が全体の62.9%で、2023年の33.5%、2024年の48.8%から大きく伸びました。業種別の差異は解消されつつあり、女性管理職比率や男女間賃金格差と比べて成果が表れやすい取り組みであることが推察されます。

・女性管理職比率:5%未満の企業が4割で減少傾向
女性管理職比率が5%未満の企業は全体の40.6%でした。2023年は48.2%、2024年は46.0%で、減少傾向が続きます。なお、10%未満は67.6%で、2023年72.0%、2024年70.5%と減少傾向が続いています。一方、女性管理職比率の平均は9.1%で、2023年の8.1%、2024年の8.5%から微増しています。業種別に見ると、サービス業、金融・保険・不動産業、情報通信業の順で女性管理職の割合が高く、鉱業・建設業、電気・ガス業で低くなっています。

・男女間賃金格差:平均格差72.0とわずかに改善
男性の賃金を100とした時の女性の賃金の割合(男女間賃金格差)は、全体平均で72.0でした。2024年71.4からわずかに縮小しています。割合でみると、70~75未満が24.3%ともっとも多く分布しています。75~80未満の分布が22.3%で、70~80未満が46.6%を占めます。業種別に見ると、男女の賃金格差がもっとも小さいのは情報通信業で77.7、サービス業と製造業が73.9で続きます。賃金格差がもっとも大きいのは金融・保険・不動産業で66.2、鉱業・建設業が66.7で続きます。

・人的資本に関する記載の傾向:記載量は2年前より2割増加
有価証券報告書における人的資本に関する記載の文字数は、平均2505字でした。2023年の2095字と比べて19.6%増加、2024年2319字と比べて8.0%増加しています。

・人的資本に関する記載内容分析:DX推進企業ほど男女間賃金格差が小さい
「人的資本経営」と関わりの深い語句として使われているのは、「人材育成」が98.0%でもっとも多く、「ダイバーシティ」(96.4%)、「健康経営」(66.0%)、「DX」(43.3%)と続きます。「健康経営」や「DX」といった語句を使って言及している企業(推進企業)とそうでない企業(非推進企業)では、言及している企業の方が、男性育児休業取得率が高い傾向が見られます。「DX」に言及している推進企業は、非推進企業と比べて男女間賃金格差が小さい傾向も見られました。

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