東京大学とTOPPANホールディングスは2026年6月15日、「AIイノベーションセンター」の開設を発表しました。AIの基礎研究から社会実装に向けた応用技術の研究開発までを担う組織として運用します。TOPPANホールディングスから東京大学への寄付金の運用益を事業財源として活用します。
「AIイノベーション研究センター」は、さまざまな領域の未解決課題にAI技術を応用することに主眼を置きます。実践的なAIシステムを構築し、そこで得られた解決策をケースとして収集。AIシステムを設計、実装する方法論を体系化することで、さまざまな工学領域に解決ノウハウを適用できるようにします。産業界と連携して社会経済活動の円滑化と産業改革の加速も後押しします。
センターの研究活動を通じ、最先端AIの社会実装の推進と業界横断的な生産性の向上も見込みます。具体的には、急速に進化するロボティクスやモビリティ、高度な判断が必要とされる医療・ヘルスケア、サプライチェーンマネジメント、新規材料の開発や設計などの分野でAI実装を推進していきます。
さらに、研究プロセスを通して人材育成にも注力します。各分野でAIを駆使する次世代リーダーを輩出できるようにし、AIによるイノベーションが社会に浸透し、安全・安心で豊かな未来社会の構築に寄与することも目指します。

「AIイノベーション研究センター」は2026年7月1日に開設。当面は、選定した研究分野のデータ基盤の整備と、実環境での検証に向けたセキュリティ設計を進めます。2027年度以降は、実環境での検証、効果測定を通じて研究を段階的に深化させる予定です。関連分野との連携を強化しながら研究領域も拡張していきます。
データ基盤の整備から社会実装までを一貫して進めることで、物流・製造・医療・ヘルスケアなど、複数の産業分野での実環境実証や、プロダクト開発も目指していく考えです。研究知と実務知が循環するエコシステムを構築し、AIの価値を社会全体へと広げる取り組みを推進します。
そもそも東京大学とTOPPANホールディングスは2024年10月、社会連携講座「サプライチェーンの全体最適の科学と実践」を開設。講座では、企業の販売実績やプロモーションデータ、製品情報に加え、間接的に影響を及ぼす可能性のある多様なデータを活用し、需給最適化に貢献するAI技術の共同研究を推進してきました。こうした実績をさらに発展させる取り組みとして、今回の「AIイノベーション研究センター」を新たに開設するに至りました。
なお、東京大学は現在、大学独自基金(エンダウメント)の拡大を進めています。これは、寄付金を原資として運用し、その運用益を研究用財源として継続的に確保する仕組み。「AIイノベーション研究センター」もTOPPANホールディングスからの寄付金の運用益を事業財源として活用するエンダウメント型の組織に位置付きます。こうした仕組みを駆使することで、「AIイノベーション研究センター」では持続的かつ安定的な研究活動が可能となります。

