キャディは2025年7月30日、製造業や金融業のリスキリングに関する調査結果を発表しました。製造業・金融業で働く400人を対象に、リスキリングの実施状況や習得したいスキル、課題などを聞いています。
勤務先からリスキリングを求められているかどうかを聞いた結果が図1です。

製造業の場合、「はい」と答えた割合は69.5%で、「特に求められていない」(13.0%)を大きく上回りました。金融業の場合も「はい」の割合は70.0%と高く、「特に求められていない」(12.5%)を大きく上回っています。
勤務先のリスキリング支援策についてどう感じているのかを聞いた結果が図2です。

「支援を受けており、満足している」と答えた割合が、製造業・金融業とももっとも高く、製造業で28.5%、金融業で29.5%でした。一方、「支援を受けているか不満を感じている」と答えた割合は、製造業で22.0%、金融業で17.0%でした。従業員のリスキリングを支援する企業は約半数を占めるものの、満足度は必ずしも高くないことがうかがえます。なお、「支援は受けていないが今後受けられるようになってほしい」と答えた割合は、製造業で26.0%、金融業で25.5%でした。
AIに関するリスキリングの実施状況を聞いた結果が図3です。

「全社で実施されている」と答えた割合は、製造業で26.0%、金融業で27.5%でした。「一部の部署や役職で実施されている」(製造業38.0%、金融業34.0%)を合わせると、AIのリスキリングを実施する企業の割合は、製造業で64.0%、金融業61.5%でした。
そもそもリスキリングの必要性を感じているのかどうか。必要性を聞いた結果が図4です。

「必要性を感じている」と答えた割合は、製造業で39.0%、金融業で45.5%でした。「どちらかというと必要性を感じている」との回答(製造業47.5%、金融業41.0%)を合わせると、両業界ともに86.5%の人がリスキリングの必要性を認識しています。
リスキリングを通じて身に付けたいスキルを聞いた結果が図5です。

製造業・金融業とも1位は「AIや自動化ツールの活用スキル」で、製造業で34.1%、金融業で26.0%でした。両業界とも2位は「業務の効率化・標準化に関するスキル」(製造業28.3%、金融業20.2%)、3位は「新しい業務や役割への適応スキル」(製造業12.1%、金融業16.2%)でした。
前問で回答したスキルをなぜ身に付けたいと考えているのか。その理由を聞いた結果が図6です。

製造業・金融業とも1位は「AIやITの進化によって業務の内容ややり方が今後大きく変わるから」で、製造業で28.3%、金融業で24.9%でした。
一方、製造業の場合、「人材難で、人手不足をAIや自動化などの技術で補う必要があるから」と答えた割合が25.4%でした。これは金融業の15.6%より10ポイント近く高くなっています。多くの製造業が人材不足を解消する切り札としてAIやITに期待を寄せていることがうかがえます。
過去1年以内にリスキリングで学んだ内容を聞いた結果が図7です。

製造業の場合、1位「AI」(36.5%)、2位「語学」と「マネジメントスキル」(ともに23.0%)でした。金融業の場合、1位「AI」(27.5%)、2位「業界の専門知識」(27.0%)、3位「財務・会計」(21.0%)でした。両業界ともAIを直近で学んだ人の割合が高くなっています。特に製造業ではAIを学んだ割合が他のスキルより突出して高く、業務に不可欠なスキルとして根付き始めている実態が読み取れます。
リスキリングに取り組む際の課題を聞いた結果が図8です。

「業務が忙しく、学ぶ時間を十分に確保できない」と答えた割合が両業界とももっとも高く、製造業で28.0%、金融業で35.0%でした。リスキリングと業務を両立できるようにするための体制づくりや支援策が企業に求められていることがうかがえます。
では、どんな支援策を望むのか。理想的なリスキリングの支援策を聞いた結果が図9です。

「AIツールや業務システムの使い方に関する支援」と答えた割合が両業界とももっとも高く、製造業で33.0%、金融業で28.0%でした。製造業・金融業とも、実際の業務に役立つ実践的なスキルを習得するための支援を求めていることが分かります。
働く上で今後、リスキリングをどう捉えているのかを聞いた結果が図10です。

「成長のチャンスとして前向きに捉えている」と答えた割合が両業界とももっとも高く、製造業で40.5%、金融業で44.0%でした。両業界とも4割以上の人が、リスキリングを成長するために必要な施策と考えています。
一方、「業務の変化に対応するため仕方なく必要だと捉えている」と答えた割合は、製造業で29.0%、金融業で23.0%でした。さらに、「会社から求められており、業務の一環として捉えている」と答えた割合は、製造業で23.0%、金融業25.5%でした。外発的な理由でリスキリングに取り組む人も決して少なくないことが調査から読み取れます。
【調査概要】
調査期間:2025年 7月7日~7月14日
調査方法:インターネット調査
調査対象者:製造・金融・保険・証券業界従事者
有効回答数:スクリーニング調査4000名、本調査400名
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