政府の行政改革推進本部は2024年11月15日、「令和6年度 秋の年次公開検証(秋のレビュー)」を実施しました。事業の効果を検証するのが目的で、今回は文部科学省の事業を検証。教師の業務を補助する外部人材の活用について議論しました。
秋の年次公開検証(秋のレビュー)は、各府省庁の事業の妥当性を調べるための会議。見直しの余地がある事業を対象に、有識者が公開の場で検証します。今回対象となった事業の1つが、文部科学省の「補助等のための指導員等派遣事業(外部人材の活用)」。会議では有識者から事業の改善や見直しを求める声がありました。
「補助等のための指導員等派遣事業」は、教師が本来取り組むべき業務に集中できる環境整備を目指すための取り組み。その手段として外部の支援スタッフを学校に配置し、教師の負担を軽減できるようにします。
具体的には、教師の業務を支援する教員業務支援員、学校マネジメントに関わる業務を支援する副校長・教頭マネジメント支援員、教師が生徒一人ひとりにきめ細かく対応するための学習指導員の配置を目指します。教師と外部人材の連携により、学校教育の充実と教師の働き方改革を実現できるようにします。
文部科学省はこうした環境整備を進めるため、2024年度は約121億円を予算化。さらに2025年度は約163億円を要望額として計上しています。内訳は、教員業務支援員の配置に110億円、副校長・教頭マネジメント支援員の配置に16億円、学習指導員の配置に37億円です。
会議では文部科学省の担当者が、教員業務支援員を配置したときの効果も説明しました。教員業務支援員を配置し続けた学校では、教師が業務時間外に学校にいる時間(時間外在校等時間)の縮減効果が表れているといいます。具体的には、支援員を未配置だったときの時間外在校等時間は平成30年度が11.4時間/月だったのに対し、配置後の令和4年度は6.5時間/月と43%減少しています。会議では、外部人材を活用する効果に触れたほか、これまでの支援員配置の推移や学校の働き方改革の進捗状況なども有識者と共有されました。
こうした実施状況を受け、会議では有識者が事業について次のように指摘しました。
「教員の労働時間の削減に十分な効果が出ているとはいい難い。予算に見合う効果が発現されるよう改善すべき」
「まずは業務の棚卸やデジタル化に着手し、その上で業務遂行に必要な適正人数を割り出すべき。不足人員を補うには、求める人材の要件や役割を明確にすべき」
「副校長・教頭マネジメント支援員には、求められる能力を十分備えていることが不可欠。もしくは経営の専門家やチームによる支援システムの構築を検討すべき」
「まずは市町村費負担の事務職員を適正に配置した上で、なお不足が生じる場合に支援員を配置すべき」
「支援員を配置することで子供たちにどのように役立っているのかの指標を設定すべき。外部人材を受け入れる学校の負担状況を可視化する指標も設けるべき」
「支援員を配置して十分な効果を上げられずにいる自治体については、具体的な支援や助言する仕組みを構築すべき」
【関連リンク】
政府の行政改革
https://www.gyoukaku.go.jp/index.html
「秋のレビュー2024」インターネット配信(YouTube)
https://live.nicovideo.jp/watch/lv346070566?ref=extplayer&po=extplayer
補助等のための指導員等派遣事業(外部人材の活用)
https://www.gyoukaku.go.jp/review/aki/R06/img/7_2_1_monbu.pdf