リスキリングに取り組む神奈川県内企業は9.2%、時間確保が一番の課題に/帝国データバンク調べ

帝国データバンクは2024年12月11日、神奈川県内企業のリスキリングに対する調査結果を発表しました。神奈川県に拠点を構える565社を対象に、リスキリングの取り組み状況などを聞いています。

リスキリングに取り組んでいるかどうかを聞いた結果が図1です。

図1:リスキリングの取り組み状況(出典:帝国データバンク)

「取り組んでいない」がもっとも多く、半数近くの44.6%を占めました。「取り組んでいる」は9.2%にとどまり、「取り組みたいと思う」(18.2%)を合わせてもリスキリングに積極的な企業は27.4%と3割を下回っています。「意味を理解できない」(9.7%)、「言葉も知らない」(9.7%)がそれぞれ1割近く占めているのも特筆すべき点です。

リスキリングに積極的な企業を業種別に分類した結果が図2です。前問で「取り組んでいる」「取り組みたいと思う」と回答した企業を業種別に分類しています。

図2:リスキリングに「積極的」な業種別の割合(出典:帝国データバンク)

もっとも多かったのは「金融」で50.0%でした。2位は「運輸・倉庫」(33.3%)、3位は「サービス」(32.7%)でした。

企業規模別に取り組み状況を分類した結果が図3です。

図3:リスキリングの取り組み状況(企業規模別)(出典:帝国データバンク)

「取り組んでいる」がもっとも多かったのは大企業で、20.0%でした。企業規模が小さくなるほど「取り組んでいる」の割合が低くなっています。同様に、「取り組みたいと思う」がもっとも多かったのは大企業で、企業規模が小さくなるほど、その割合は低くなります。

では、リスキリングに取り組む企業と人材不足の状況に因果関係は見られるのか。リスキリングに取り組む企業に人材不足状況を聞いた結果が図4です。

図4:リスキリングに「取り組んでいる」企業の人材不足状況(出典:帝国データバンク)

リスキリングに「取り組んでいる」と答えた企業のうち、人材が「不足」と答えた割合は10.9%でした。人材が「適正」と答えた割合は7.9%、「過剰」と答えた割合は4.3%でした。リスキリングに取り組む10社に1社は人材不足に直面していることが分かります。しかし一方、「適正」や「過剰」と答えた割合と必ずしも大差がついるわけではないとも読み取れます。調査を実施した帝国データバンクは、リスキリングに注力する人材や時間を捻出するのが難しく、取り組みたいと考えながらも着手できない状況が背景にあると推察します。

リスキリングに取り組む企業に、具体的にどのようなことに取り組んでいるのかを聞いた結果が図5です。

図5:リスキリングの取り組み内容(出典:帝国データバンク)

「従業員のスキルの把握、可視化」が58.1%でもっとも多く、「eラーニング、オンライン学習サービスなどの活用」(51.0%)、「経営層から従業員に学習が必要なスキルを伝達」(38.1%)と続きます。まずは従業員のスキルを把握したいというニーズが高いことが読み取れます。

リスキリングに取り組む上での課題を聞いた結果が図6です。

図6:リスキリングに取り組む際の課題(出典:帝国データバンク)

「対応する時間が確保できない」がもっとも多く、42.3%でした。2位は「対応できる人材がいない」(36.8%)、3位は「必要なスキルやノウハウがない」(29.7%)でした。リスキリングに取り組む企業も取り組んでいない企業も、時間を確保できない点が一番の課題となっています。

なお、回答者の中には「必要であろうスキルは把握できているが、実際に実行する時間に制約があり、最初の第一歩に踏み切るのが困難」、「会社人材への投資は積極的に行うべきだが、経費が増加するため全員に一様に行うことは難しい」などの声もありました。

【調査概要】
調査対象:神奈川県の企業1281社
有効回答企業:565社
調査期間:2024年10月18日~10月31日

【関連リンク】
株式会社帝国データバンク
https://www.tdb.co.jp/