「ブティック系コンサルティングファームの年収はどれくらい?」「ブティック系コンサルティングファームに転職するにはどうすればいい?」という疑問をお持ちではありませんか?
本記事では、ブティック系コンサルティングファームの特徴や年収、ブティックファームのカオスマップや企業、ブティック系コンサルファームへの転職する際の注意点などを解説します。
ブティック系コンサルティングファームとは
初めて「ブティック系コンサルティングファーム」という言葉を耳にする方に向けて、まずはその意味をご紹介します。
そもそもブティックとは
ブティック(boutique)とは、フランス語で「小さいショップ」を意味する言葉です。
フランス・パリのオートクチュール(高級衣装店)における小売店を意味する言葉として使われていました。そのため、現在でもファッショナブルな洋服や装身具、高級アパレル商品などを扱う小売店を意味することが多いです。日本においても、アパレル商品を扱う小売店はブティックと呼ばれることがあります。
ブティック系コンサルティングファームとは
それでは、ブティック系コンサルティングファームとはどのような企業を指すのでしょうか?
ブティック系コンサルティングファームとは「小規模なファームや特定領域に特化したファーム」のことです。BIG4(ビッグ4)などの大手コンサルティングファームとは異なり、ブティック系は少数精鋭でサービスを提供します。
ブティック系コンサルティングファームのカオスマップとは
ブティック系コンサルティングファームのカオスマップとは、資本金や創業年を軸に、企業の立ち位置をまとめたマップのことです。
以前よりDXやシステム導入などのIT領域が多い傾向ではありますが、近年は働き方改革により組織・人事系のニーズも増えつつあります。他にも事業戦略や経営改善、DXなどへのニーズが高まってきていることや、生成AIの登場によりAI(ディープラーニング)/ビッグデータ系のブティックファームの登場などコンサルティング業界は著しい変化を遂げています。
コンサルネクスト.jpによるブティック系コンサルファームのカオスマップは以下ページでご覧ください。
ブティック系コンサルティングファームの特徴
ブティック系コンサルティングファームについて理解を深めるために、以下でその特徴について確認していきましょう。
少数精鋭
ブティック系コンサルティングファームは「少数精鋭を武器にしたサービス」を展開している点が特徴的でしょう。
一人ひとりのコンサルタントが即戦力としてクライアントと対峙し、クライアントの抱える課題解決を目指します。さらに、少人数で会社が成り立っているため、自社経営に携わる機会がある点も特徴のひとつです。
ちなみに「即戦力が求められる少数精鋭の企業は未経験に向いていないのでは?」と考える人もいますが、人材育成に力を入れているファームもあるので安心してください。
専門性が高い
ブティック系コンサルティングファームの2つ目の特徴は「専門性が高い」点です。
さまざまな部門を抱える大手コンサルティングファームとは異なり、ヘルスケアや財務、人材などの特定領域に特化したコンサルティングを行います。近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)の需要の高まりから、IT・テクノロジー分野に特化したブティック系コンサルティングファームも多いです。
大手出身のコンサルタントが創業者のケースが多い
「大手出身のコンサルタントが創業するケースが多い」ことも、ブティック系コンサルティングファームの3つ目の特徴と言えます。
大手コンサルティングファームで経験を積んだ後、ノウハウや知識、専門性を活かして起業をするコンサルタントが多いです。小規模ながらも大手企業をクライアントにもつブティック系コンサルティングファームが多いのは、創業者が大手出身であることに起因しているでしょう。
ブティック系コンサルティングファームのメリットについては、下記で説明しています。
ブティック系コンサルティングファームの年収
ブティック系コンサルティングファームの平均年収は「1,100万円程度」です。
BIG4における平均年収(25歳〜30歳)は「約590万円〜850万円」程度と言われているので、ブティック系コンサルティングファームの年収水準が比較的高いことが伺えます。
年収水準が高い理由としては、ブティック系コンサルティングファームは小規模ではあるものの、専門性が高いことが考えられるでしょう。専門性を活かしてクライアントの課題解決を行うので、中には年収3,000万円を超えるコンサルタントも見受けられます。
ただし、コンサルティング業界はコンサルファームや役職により年収にかなりの幅があります。
ブティック系コンサルティングファーム一覧
それでは、実際にどのようなブティック系コンサルティングファームがあるのでしょうか?以下で、ブティック系コンサルティングファームを一覧で紹介します。
株式会社クロスフィールド
株式会社クロスフィールドは、公認会計士の資格をもつ磯貝光一氏によって2001年に設立されたブティック系コンサルティングファームです。
設立当初は会計・経理領域に限定したサービスを扱っていましたが、現在は以下のサービスを展開しています。
- 経営管理強化ソリューション
- 組織設計・プロセス設計ソリューション
- システム導入・DX推進ソリューション
- グローバルプロジェクトソリューション
株式会社ジェネックスパートナーズ
株式会社ジェネックスパートナーズは、2002年にスタートしたブティック系コンサルティングファームです。「日本企業の進化論 グローバルで闘い抜くための“5つの進化”」の出版経験をもつ大池拓氏が代表取締役社長を務めます。
株式会社ジェネックスパートナーズの展開しているサービスは、以下の通りです。
- 企業変革の支援サービス(企業・事業の立ち上げ支援など)
- シックスシグマの導入サービス
株式会社ピー・アンド・イー・ディレクションズ
株式会社ピー・アンド・イー・ディレクションズは、アップルやボストンコンサルティンググループで勤務経験をもつ島田直樹氏が2001年に創業したブティック系コンサルティングファームです。
これまで手がけたプロジェクト数は967件にも及びます。
公式サイトによると、同社の事業内容は「企業成長および事業成長を実現するための戦略立案およびその実行支援」です。
ビュルガーコンサルティング株式会社
ビュルガーコンサルティング株式会社は、2004年にコンサルティング・プロフェッショナルとして立ち上げられたブティック系コンサルティングファームです。
日本信販株式会社(現:三菱UFJニコス )や三井住友カード株式会社などでの勤務経験をもつ浜岡周作氏が代表取締役社長を務めます。
ビュルガーコンサルティング株式会社の展開する事業は、以下の通りです。
- 海外進出コンサルティング
- クレジットカードビジネスコンサルティング
- IT戦略・計画&PMOコンサルティング
- データマイニング・ソリューションコンサルティング
- 製薬業ITコンサルティング
- ITマネジメントコンサルティング
株式会社情報技術センター
株式会社情報技術センターは、1968年に設立されたブティック系コンサルティングファームです。現在は渕脇德也氏が代表取締役社長を務めています。
IT領域に強みをもつ株式会社情報技術センターのサービス内容は、以下の通りです。
- システム・エンジニアリング・サービス
- システム・インテグレーション・サービス
- IT基盤構築支援サービス
- アライアンス
株式会社システムフロンティア
株式会社システムフロンティアは、1987年創業のブティック系コンサルティングファームです。現在は宇治研一郎氏が代表取締役に就任しています。
株式会社システムフロンティアは、情報処理システムのコンサルテーションや設計、開発、運用、そしてインフラの設計、運用などに強みを持ちます。主な事業内容は以下の通りです。
- プロジェクト実績
- アプリケーション開発
- インフラ構築
- BI ソリューション
- ERPソリューション
コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社
コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社は、アクセンチュアでのコンサルタント経験をもつ大谷内隆輔氏によって2009年に立ち上げられました。
コンサルティング業界に関連したメディア「コンサルのあんなこと、こんなこと」を手掛けるなど、さまざまなサービスを展開しています。事業内容は以下の通りです。
- コンサルティング全般(経営・戦略・業務・組織人事・IT)
- 人材紹介事業『コンサルキャリア』(ポストコンサルタント・コンサルタント・コンサルタント候補ご紹介)
- コーポレートベンチャーキャピタル事業
株式会社ビスタクルーズ
株式会社ビスタクルーズは、PriceWaterhouse ConsultantsでのITコンサルタント経験をもつ成瀬徹氏が2006年に設立したブティック系コンサルティングファームです。
同社はエミリーというブランドを軸にさまざまなサービスを展開しています。主な事業内容は以下を参考にしてください。
- フリーランス紹介・マッチングプラットフォーム(ママ/女性)
- コンサルティング事業
- 教育事業(エミリーママ(子どものためのAI)、AIアカデミー)
- AI国際法務・リーガルテックサービス開発・提供
- その他、有料職業紹介事業、人材派遣事業等
株式会社Gran Manibus
株式会社Gran Manibusは、住友商事・SCSKグループのブティック系コンサルティングファームです。ミゲル・アンヘル・エステベス・アベが代表取締役社長を務めています。
株式会社Gran Manibusがサービスを展開する領域は、以下の通りです。
- マネジメント領域(計画立案・事業構造改革・アドバイザリーなど)
- オペレーション領域(業務プロセス改革・ITシステム導入・PMO・デジタル変革など)
- カスタマー領域(新商品・サービス立上・営業提案活動・ビジネスデザインなど)
【転職者目線】ブティック系コンサルティングファームのメリット
大手コンサルティングファームではなく、ブティック系コンサルティングファームに転職するメリットはあるのでしょうか?
幅広い領域や業界に携われる
ブティック系コンサルティングファームを転職先に選ぶメリットとして、幅広い領域や業界に携われることが挙げられるでしょう。
ブティック系は少人数で事業を展開しているため、必然的に個人が抱えるプロジェクト、クライアントの数が多くなります。そのため、さまざまな業界のクライアントと携わる機会が多いです。多種多様なクライアントと意見交換する中で知見が広がり、自分の成長につなげることもできます。
裁量権が大きい
裁量権が大きい点も、ブティック系コンサルティングファームに転職するメリットのひとつです。
大手コンサルティングファームの場合、アナリストやコンサルタントとして経験を積んだ後、プロジェクトリーダーを任されるパターンが多いです。
一方、ブティック系コンサルティングファームは若手のうちから責任のあるポジションを任されることが多く、マネジメントスキルが身につきやすい点が特徴に挙げられます。
そのため「スピード感を持って成長したい」「裁量権の大きい仕事に挑戦したい」という方は、ブティック系コンサルティングファームへの転職が向いているかもしれません。
経営の知識が身につきやすい
ブティック系コンサルティングファームに就職することで、経営の知識が身に付く可能性があります。
大手コンサルティングファームの場合、クライアントの課題解決がメイン業務であるコンサルタントは、経営層と関わる機会が限られています。しかし、少人数のブティック系コンサルティングファームの場合、日常的に経営層とコミュニケーションを図る機会が多いです。
自社経営に携わることもあり、経営の知識を身につけやすい環境にあると言えます。
専門性を高められる
ブティック系コンサルティングファームに転職することで、専門性を磨くことが可能です。一般的にブティック系コンサルティングファームは「専門性の高さ」を売りにしています。そのため、特定領域の知識やノウハウを活かしたコンサルティングを行うことができます。
専門性は転職市場でも評価されるポイントなので、将来の選択肢やキャリアパスが広がる点もメリットでしょう。
【企業目線】ブティック系コンサルティングファームのメリット
クライアント目線で、ブティック系コンサルティングファームを活用するメリットについても確認しておきましょう。
組織ならではの縛りがない
ブティック系コンサルティングファームは、組織ならではの縛りが少ないです。大手コンサルティングファームの場合、インダストリーカットやソリューションが確立されたマトリックス構造が採用されています。
しかし、ブティック系コンサルティングファームではそういった構造が採用されていません。そのため、部門を超えたサービスの提供や俯瞰的な視点を活かしたコンサルティングを期待できます。
柔軟な対応を期待できる
ブティック系コンサルティングファームに依頼するメリットとして、柔軟な対応を期待できる点が考えられるでしょう。大手コンサルティングファームでは、さまざまなプロセスを踏み、社内調整をしてから、意思決定が下されることが多いです。
一方、ブティック系コンサルティングファームは柔軟性が高く、スピーディーに対応してもらえます。また、特定のシーンで求められるスポット支援を依頼することも可能です。
コストを抑えられる
大手と比較すると、ブティック系コンサルティングファームのほうが低コストで依頼できます。大手コンサルティングファームは大規模案件を扱うことが多く、チームの規模に応じてコストも高くなりやすいです。しかし、ブティック系コンサルティングファームは最適な人数でサービスを提供するため、比較的コストを抑えることができます。
さらに、ブティック系はスポット支援などにも対応してもらえるため、コストを最小限に抑えることが可能です。
専門性の高いサービスを受けられる
専門性の高いサービスを期待できる点も、ブティック系コンサルティングファームを活用するメリットでしょう。ブティック系コンサルティングファームは専門性の高さを強みとしています。特定領域に特化した専門家による支援を受けられるため、課題解決を実現しやすいです。
ブティック系コンサルティングファームによって、特徴や強み、サポート内容などが大きく異なります。依頼する際はしっかりとリサーチをして、自社に最適な依頼先を選ぶことが重要です。
ブティック系コンサルティングファームに転職する際の注意点
ブティック系コンサルティングファームに転職するメリットが多くある一方で、事前に知っておくべきポイントもいくつかあります。以下で、注意点を確認しておきましょう。
業務量が多い
ブティック系コンサルティングファームに転職する場合、業務量が多くなることが懸念されます。少人数でプロジェクトを進めていくので、必然的に一人当たりの労力が大きくなるためです。
大手コンサルティングファームの場合、アナリストが情報収集やデータ分析を担当して、コンサルタントが提案内容を考案するといったように、適宜分業が可能です。
しかし、ブティック系コンサルティングファームでは、1人のコンサルタントがさまざまなタスクを抱えるというケースも珍しくありません。
年収が安定しない
年収が安定しない点も、ブティック系コンサルティングファームに転職する際の懸念事項に挙げられるでしょう。会社の規模が小さいブティック系は、業績が従業員の給与に響きやすいです。業績が悪いと、年収が大幅に低下してしまうこともあります。
一方、大手コンサルティングファームは組織として安定しており、年収が大幅に変化する可能性は低いです。
業績が悪化するリスクがある
ブティック系コンサルティングファームに転職する場合、業績が悪化するリスクがあることも理解しておく必要があります。
大手コンサルティングファームは、経営状態が安定しています。そのため、外的要因・内的要因の影響を受けにくく、業績が著しく悪くなる可能性も低いです。
しかし、ブティック系コンサルティングファームは外的要因・内的要因によって、経営に大きな影響が及ぶことも少なくありません。
会社の知名度が低い
大手コンサルティングファームと比較すると、ブティック系コンサルティングファームは知名度が低いです。会社名だけでは何をやっているか伝わらないので、どのような事業を展開している会社かを説明する必要があります。
会社の知名度や社会的ステータスなどを気にする方は、ブティック系コンサルティングファームに不向きかもしれません。
ベンチャーコンサルティングファームに向いている人の特徴については、以下の記事で詳しく解説しています。
おすすめのブティック系コンサルティングファーム
ここでは、転職先におすすめのブティック系コンサルティングファームを紹介します。
株式会社エッジコネクション
株式会社エッジコネクションは、2007年に創業したコンサルティングファームです。シティバンク銀行での勤務経験がある大村康雄氏が代表取締役社長を務めます。
株式会社エッジコネクションの主な事業内容は以下の通りです。
- マーケティングコンサルティング事業
- 営業コンサルティング事業
- 経営コンサルティング事業
- 営業研修事業
- 人材紹介事業
- 海外企業の日本進出支援事業
- M&A仲介事業
- 資金調達支援事業
これまでに1,400社以上のクライアントをサポートしており、継続売上構成比は80%を誇ります。
ドットアンド株式会社
ドットアンド株式会社は、2019年に設立されたコンサルティングファームです。大手のアクセンチュア株式会社でコンサルティング経験がある野田祥氏が設立しました。
ドットアンド株式会社の事業内容は以下の通りです。
- 企業変革アクセラレーション事業
- 事業創出スタジオ事業の運営
新規事業創出支援に特化しており、社会に大きな影響を与える事業を生み出しています。現在はビジネスアクセラレーターの募集も行っているので、ぜひご確認ください。
SEEDER株式会社
SEEDER株式会社は、2020年にスタートしたコンサルティングファームです。
株式会社SEEDATA(博報堂子会社)で、薬局チェーンの資金調達支援や電子機器メーカーの事業実装支援などの経験をもつ村田寛治氏が代表を務めます。
SEEDER株式会社の事業内容は以下の通りです。
- 商品開発・事業開発コンサルティング
- 生活者データ配信サービス「SEEDATA Global」
- 総合人材マッチングサービス「JINCHI」
同社は、商品開発・事業開発コンサルティング領域のマーケティングプランナーを募集しています。
Coum株式会社
Coum株式会社は、2019年に設立されたコンサルティングファームです。
アクセンチュアやタワーレコード、スカイライトコンサルティングでの勤務経験をもつ廣瀬真彦氏によって立ち上げられました。
Coum株式会社の事業内容は以下の通りです。
- デジタル領域に関わる経営コンサルティング
- 顧客接点のデジタルトランスフォーメーション
- 業務プロセスのデジタルトランスフォーメーション
現在、Coum株式会社はビジネスコンサルタントの募集も行っているので、チェックしてみてください。
まとめ
今回の記事では、ブティック系コンサルティングファームへの転職を検討している方に向けて、ブティック系コンサルティングファームの特徴や年収、転職するメリットなどを解説しました。
少数精鋭かつ専門性の高さを強みとするブティック系コンサルティングファームでは、スピード感を持ったスキルアップを実現できます。
ブティック系コンサルティングファームによって、携われるプロジェクト内容や働き方、身に付くスキルが異なるので、転職する際は情報収集することが重要です。
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